ラジオが最軟調だがマイナス5%には届かず(経産省広告売上推移:2013年4月発表分)

2013/04/15 08:45

経済産業省は2013年4月11日、特定サービス産業動態統計調査において、2013年2月分の速報データを発表した。それによると、2013年2月の広告業全体における売上高は前年同月比でマイナス0.4%と減少していることが明らかになった。今件記事で精査対象となる5項目中では「ラジオ」がマイナス4.9%と、もっとも低迷している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得元、選択項目の詳細については記事の一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】で説明している。そちらで確認してほしい。今記事はその2013年2月分データ(公開は2013年4月)の速報値を反映させたもの。

↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2013年1-2013年2月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2013年1-2013年2月)

前月分と比較しやすいよう、2013年1月分発表データ(確定値に修正済み)と並列してグラフ化した。今回月は先月同様、取り上げた5項目において、ここ数か月続いている中期的流れと似たような結果が出ている。すなわち4マスでは「テレビ」がやや弱含みながらもプラス、それ以外は下落、そして「インターネット広告」の増加という具合。ただし今月は「雑誌」がかろうじてプラスを示しており、奮闘ぶりがうかがえる(とはいえ前年同月の2012年2月における「雑誌」の前年同月比はマイナス7.2%。その反動も多分にある)。

該当月の電通・博報堂に関する記事【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2013年2月分)】でも、「テレビ」はそれなりにポジティブ、「雑誌」は昨年同月の反動、「インターネット」は堅調と、似たような動きを示している。経産省のデータの傾向が特異的なものでは無く、広告市場全体の状況を表していることが再確認できる。もっとも日本を網羅している「特定サービス産業動態統計調査」の特性上、そのような結果が出るのは当然といえる。

今回も該当月における各区分の具体的売上高をグラフ化しておく。広告代理店業務を営む企業は電通と博報堂のみだけではないため(、さらには各広告種類の区分が異なるため)、額面の一致・類似性は無い。今調査内における相対的な値、比較用の参考値として見るのが妥当だ。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年2月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年2月、億円)

金額面で見ると昨今では「インターネット広告」は「新聞」の額を抜く月が増え、主要5項目では「テレビ」に次ぐポジションを得る機会が増えている(【新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる(2012年7月まで対応版)】)。今月発表分は先月分から転じ、「インターネット広告」を「新聞」が追い抜く形となった。再び定例のパターンに戻ったようだ。

次に、公開されているデータの中期的推移をグラフ化し、俯瞰的に眺めてみることにする。今調査でインターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月から。そこで、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年2月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年2月分まで)

大勢としては次の通り。「インターネットは激しい起伏の中で2009年前半に一時落ち込みを見せるも、後半以降は回復、プラス圏を維持。他項目には見られない大きなプラスを示すことが多い」「テレビは2010年から戻しの雰囲気を見せ、プラス圏に手が届いた」「ラジオはマイナス圏で低迷」「雑誌はリーマンショックで一番大きな痛手を受け、その後もかなり厳しいレベルの下げ幅を継続していたが、ここしばらくは復調の気配」。今グラフ期間中には2007年の金融危機ぼっ発、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大地震・震災と3つの大規模でネガティブな出来事が起きているが、個々の事象後の動きを見ると、各媒体の耐久性をも推し量ることができる。

昨今ではそれらのマイナス要素となる出来事の影響も薄れ、個々の現況にあった形での動きが出ている。「雑誌」はややイレギュラーのような感じで、次回以降の動きにはこれまで以上に注視せねばなるまい。

メディアスクラム(イメージ)これまでの紙媒体から新しい電子媒体への一部移行、そして双方の適正な住み分け、さらには電子媒体の広告プラットフォームとしての正当な評価は、メディアの技術進歩やメディア・広告の需給関係の変化、媒体の世間一般への浸透と共に、漸次進行する。日本では欧米をはじめとする他の先進諸国よりも強い形で既存メディアが「既得権益」化し、手持ちの権利を固持しており、「立ち位置の正常化」「世界の流れに追随する歩み」は遅れている。

一方、2011年3月に発生した東日本大地震・震災とそれに起因する各種震災・人災は、消費者の大きな心理変化も生み出した。そして広告出稿側のコスト意識の変動(多くは費用対効果の厳粛・厳密化)、地震報道などで露呈した各媒体の「本当の価値」に対する、視聴者さらには広告主による意識の移り変わりのきっかけとなった。旧態依然な広告業界ですらも一部軌道修正の上で、全体における変化の「時計の針」を少しずつ、一部分だが、確実に押し進めている。

今件特定サービス産業動態統計調査は電通・博報堂の月次レポートの分析と共に、単に広告費の動向としてだけではなく、メディアの力の変化を見る資料となる。中長期的に追い続けることで、時代の躍動が、頭に浮かび上がるに違いない。

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