4マス概して軟調が継続、電通の『その他』がほぼ唯一突出した強さ(電通・博報堂売上:2013年3月分)

2013/04/11 08:45

博報堂DYホールディングス(2433)は2013年4月9日、同社グループ主要3社の2013年3月における売上高速報を発表した。これにより、電通(4324)が同年4月5日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内二大広告代理店の2013年3月次における売上データが揃ったことになる。今回は両社の種目別売上高前年同月比を再計算した上でグラフの生成を行い、両社それぞれの広告売上動向、さらには広告業界全体の動きを確認・推測する。

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グラフを作るために取得したデータに関する解説、各項目の留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で記述している。そちらで確認のこと。

二大広告代理店(電通・博報堂)の2013年3月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2013年3月分種目別売上高前年同月比

本震から2年以上経過したこともあり、各自の努力もあり、東日本大地震・震災による直接的な広告費の額面における影響は、少なくとも数字の上では終息。昨今では震災以前同様に、広告業界・メディアそのもののトレンドがグラフ上には描かれている。具体的には中期的な概況として「4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)が苦境の中にある。しかしテレビは例外的にやや復調が見えている」「デジタル系、及び屋外広告などの非4マス系の一部が堅調」という具合である。特にこの数か月においては4マス・ネット以外の項目の中で、「その他」が強い動きを示していた。

今回月・2013年3月分の特徴としては「4マス軟調」「インターネットはそれなりに強含み」「従来型は押し並べて弱いが、電通の『その他』がほぼ唯一突出した強さを見せる」の3項目を挙げることができる。比較対象となる1年前の状況を示す記事を見ると、ちょうど震災から1年を迎えた月であることから、震災の際の大きな減少分との比較により、軒並み数十%のプラスを示している。それとの比較ということを考えれば、マイナスばかりなのも仕方ないように思える。

電通の各年3月におけ広告売上総額推移をグラフ化すると次の通り。

電通月次売上総額推移(各年3月、億円)
↑ 電通月次売上総額推移(各年3月、億円)

電通の広告売上総額動向を見る限りでは、すでにリーマンショックのダメージからは脱しており、2007年夏に始まる金融危機・不況前の水準までもう少しのところにある。大きなマイナスを示している部門の動きは、あるいは時代の変化に耐え切れない結果によるものかもしれない。この数か月では4マス中唯一手堅い動きを示していた「テレビ」ですらマイナスを呈しているのが興味深い。

あるいは、今回月は年度末ということもあり、広告出稿側が該当年度末の調整をした、または次年度以降の基本方針の先走りをした可能性もある。仮に来月4月分以降も似たような傾向を各部門が示すのなら、次年度(2013年4月から始まる年度)の広告出稿の特徴が、今回フライングの形で出たことになる。

また4マス以外では電通の「その他」が相変わらず強い。同項目は1年前もプラス45.2%を示しており、成長株的な存在なのが分かる。とはいえその内容としては説明によると「衛星その他のメディア、メディアプランニング、スポーツ、エンタテインメントその他コンテンツなどの業務」としか書かれておらず、具体的にどの項目が成長しているのかまでは把握できないのが残念だ。

なお今件記事中最上位にあるグラフに記された値は、あくまでも「個々の会社の前年同月比」であり、取引額そのものではない。例えばインターネット分野の額面は、他の分野と比べればまだ小さめ(市場規模が小さいということ)。そして個々の分野をそれぞれの会社毎に比較した額面では、博報堂より電通の方が大きくなる。念のために一部のデータをグラフ化しておく。

電通・博報堂HDの2013年3月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂HDの2013年3月における部門別売上高(億円、一部部門)

2012年夏に続き冬もまた、場所によってはそれ以上の電力需給問題を起因とする「被害」が生じることとなった。その「被害」とは直接事件事故性のあるものだけでなく、経済面・雇用面・リスク面における影響も多分に含まれる(【続く節電要請・逃げる企業…関電管轄内企業の「今後も節電継続」の場合の対応は?】など)。そして政治状況に大きな変化が生じた現在もなお、前政権党の政策による日本経済への傷跡は多大で、特に電力需給問題は今なお進行中。今夏もまたその呪縛からは逃れられず、節電関連の備えを官民共に各方面で始めている。

電力はあらゆる産業の糧(かて)となり血となり燃料となる。それは広告業界でも変わるところはない。昨今ではある程度落ち着きを見せつつあるが、いまだに派手な、多量の電力消費を要する広告はリスクが生じる。クライアント側が非難を受けるの可能性を考え、腰が引けてしまうからだ。

節電自販機新スタイルの広告手法として注目されている「デジタルサイネージ(デジタル系、インターネット系技術を取り入れた従来型広告の発展版。液晶パネルがよく使われる)」も、地震直後のような「電力需給を考慮・配慮し全面電源オフ、あるいは撤去」といった状況からは復帰しているが、積極的な節電の「強要感」は深く浸透。以前のような活力・積極性は見られない。「全国規模で」電力浪費(と見られかねない)による非難を広告主は敬遠するため、代理店側も工夫を凝らすようになる。一方で極度の節電は、売上へのマイナスの影響が懸念される。消費者心理の観点では、暗い場面での意思決定は積極性を欠いてしまうからだ。

そのような状況においては当然のごとく、電力消費の心配が要らない、立て看板をはじめとした従来型野外広告に注目が集まることになる。震災後特に際立つようになった「従来型広告の堅調さ」も、これら電力事情によるところと考えれば道理が通る。

震災による直接的な影響が収まり、各広告種類が再び本来の力量による動きを示す中で、4マス中「テレビ」以外の3項目における軟調さが継続している。これはそれら媒体の「メディア力」の低下を意味する。その低下が「絶対的なもの」か、他メディアと比較しての「相対的なもの」かは広告費の動向だけでは判断は難しい。現状として言えるのは、広告出稿側から厳しい評価がなされているということだけだ。

今後も広告費動向を注意深く見守り、他の業界の動きや社会全般との関連性を探り、各メディアにおけるパワーバランスの変化を感じ取りたいものである。

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