【更新】業界規模は3兆1695億円・お菓子の売れゆき具合をグラフ化してみる(2012年版)

2013/04/11 11:30

お菓子全国菓子卸商業組合連合会と全日本菓子協会が共同で設立したe-お菓子ねっと製販代表会議運営による【e-お菓子ねっと】は2013年3月29日、2012年における日本のお菓子業界の動向を記した白書的レポート「平成24年 菓子統計」を公表した。それによると2012年のお菓子の推定小売金額総計は3兆1695億円となり、前年比でマイナス0.8%となった。今回は発表された2012年分の最新データを元に、昨年掲載した2011年分の分析記事の内容を更新する形で、2012年分のお菓子業界の精査を行うことにする(【発表リリース一覧ページ】)。

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元来お菓子は比較的景気動向の影響を受けにくい商品として知られている。単価が安く買いやすい趣向品は不景気でも買われ、むしろ不景気下でのストレス解消のために購入頻度が高まる動きがある。またアレンジがしやすく、多種多様な新商品が生み出されやすい一方で、定番のアイテムも多い。

その上、昨今では【82.8%が「購入経験あり」・女性はやっぱりコンビニスイーツが大好き】などで解説している通り、コンビニエンスストアが展開する独自ブランド(プライベートブランド)の洋菓子、さらには和菓子への注力に伴う多様性が推し進められている。和菓子の展開重視傾向は、健康志向の高まりの他、コンビニ来場客におけるシニア層の増加によるところも大きい。

昨年2012年に限った事象としては、2011年の震災で生じた大きな変動(主に非常食としての菓子類の購入による需要増加)の反動に加え、夏期から秋口にかけての高温に伴う減退が生じている。また原材料価格(特に砂糖や小麦)の上昇、海外からの旅行客の土産品の需要低迷も、業界の厳しさに拍車をかける形となった。

今件リリースで取り上げられている、お菓子の品目区分の具体例は次の通り。

・飴菓子…キャンディ類、キャラメル、ドロップ、グミ、ゼリー、清涼菓子、マシュマロ

・チョコレート…チョコレート、チョコレート菓子

・チューインガム…板ガム、粒ガム、風船ガム、シュガーレスガム

・せんべい…小麦粉せんべい

・ビスケット…ビスケット、クッキー、クラッカー、プレッツェル、乾パン、パイ、サンドビスケット、その他

・米菓…あられ(もち米製ののもの)、せんべい(うるち米製のもの)

・和生菓子…ようかん、まんじゅう、その他和菓子

・洋菓子…ケーキ、カステラ、ドーナツ、その他洋生菓子

・スナック菓子…ポテト系、コーン系、小麦粉系、米粉系のもの

・油菓子…かりんとうなど

・その他…豆菓子、甘納豆、錠菓、清涼菓子、玩具菓子、おこし、その他の焼菓子、砂糖漬菓子など

気になる4項目を例に、概況を抽出すると次の通りとなる。

・和生菓子
贈答品需要の低迷は一段落している。記念日需要などについては減少傾向が継続。和菓子店では、核家族化などの影響で年中行事日の販売客数は堅調だが、販売単価が低下、売上額の減少を余儀なくされている店も少なくない。一方、コンビニにおける和菓子の販売数量は大幅に増加している。さらに異業種におけるあめ製品などの和菓子に類似する商品が増えている。それらの状況を受けて、手土産需要や一般家庭内消費は堅調に推移し、総体的に前年実績を維持。

・スナック菓子
ドラッグストアに対する積極的な対策でチップスをはじめとするポテト系スナックが伸長した反面、コーン系については前年を下回った。スナック菓子全体としては、数量・金額ともに若干の伸びに留まっている。

・飴菓子
天候異変、原料高、デフレ圧力などの中で、前年の震災後における一時的需要の反動で、飴菓子全体の生産数量は前年をかなり下回った。その中で、塩飴、グミなどが堅調だったが、生産金額、小売金額についても前年を下回った。

・チューインガム
人口減少・高齢化の流れと、ここ数年高まりつつある「節約志向」の浸透により、チューインガムの需要は落ち込み続けている。このような市場環境、消費者意識の変化の中で、今後はメインユーザーに向けた新たな機能・価値を持った商品を提供することにより、チューインガムの喫食頻度を上げるとともに、チューインガム本来の「噛(か)む楽しさ」の啓発に取り組み、中長期的な視点を持って需要拡大に取り組んでいく。

前年2011年は震災による影響が多分にあり、そのイレギュラー的な動きの反動が随所で見受けられる。一方でこの数年におけるお菓子を取り巻く環境の変化、一般店舗で見受けられる動きが、業界が率先して行ってきたことであったり(ドラッグストアにスナック系菓子の陳列が増えている)、お菓子業界全体としても大きな影響が生じている(コンビニでのシニア層向け和菓子の注力)ことが確認できる。

「チューインガム」は前年に続き大きくセールス面で減少しているが、その理由として節約志向・高齢化などを挙げており、前回のリリースよりさらに切迫感を覚える内容となっている(何しろ本来現状を解説すべき場所で2012年分の分析がほとんど無く、「今後は-しなければならない」という展望が語られているのだから)。またその文言の中にある「新たな機能・価値を持った商品を提供」には、例えば先日紹介した【小腹退治に役立つガム「プクー」登場】のように、単なるガムを超えたプラスα的なものを期待できる新商品の発売を思い起こさせる。

さて分野別の売り上げ高だが、和生菓子がトップで約4650億円。次いでチョコレートが約4450億円。洋生菓子、スナック菓子などが続き、合計は3兆1695億円(小売りベース)。前年比258億円減(-0.8%)。

↑ 菓子小売金額の構成比率(2009年-2012年)
↑ 菓子小売金額の構成比率(2009年-2012年)

↑ 菓子小売金額(2009-2012年、億円)
↑ 菓子小売金額(2009-2012年、億円)

上記でも触れているが昨今の高齢化の後押しを受けてか、米菓のシェア・小売金額が伸びていること、販売チャネルの拡大でスナック菓子も堅調さを見せていること、今年は生産数量こそ猛暑でやや減らしたものの、生産額・小売額共に横ばいを維持し、シェアもわずかに拡大するなど、チョコレートが地味に成長しているのが分かる。

最後は売上高の前年比。他業種の類似グラフと比べると2ケタ台%のような下げ率は無く減退率は少なめ。ただしそれだけに、各種類別の勢いが良くわかる形となっている。

↑ 菓子小売金額前年比(2010-2012年)
↑ 菓子小売金額前年比(2010-2012年)

和菓子は個人消費ベースでは伸びているものの、個人贈答品ベース、さらには法人ベースでの減退が大きく、この数年はマイナスが続いていた。しかし上記にある通り、コンビニルートでの販売が後押しする形となり、2012年は前年比でほぼプラマイゼロにまで戻す形となった。一方で洋菓子は下落が続いているが、リリースには震災の影響が未だに継続しているとのニュアンスの説明があり、あらためて規模の大きさを知るばかりである。

ビスケットやチューインガムはこの3年では漸次下げ幅を拡大し、市場縮小傾向に歯止めがかからない状態にある。特にチューインガムは前年比で7.7%ものマイナスを示しており、上記で示した「慌てぶり」も理解できるというものだ。



コンビニのスイーツコーナー冒頭でも触れているように、お菓子、特に甘味系のものは景気後退時にも手堅い売上を見せるアイテムとして知られている。幅広い年齢層からの支持を集められるのもポイント。しかし節約志向や慣例の変化から贈答品としてのお菓子の活躍の場が減り、旅行機会が減ることで土産品としてのお菓子の売り上げが落ちるなど、少なからぬ影響を受けている状況も確認できる。

今回の2012年分では2011年の震災特需の反動、国際情勢の変化に伴う影響(観光客の減少、原材料の高騰化など)もあり、全体としてはわずかながらもマイナスという結果に終わった。他方、短期・イレギュラー的な影響以外に、中期的な流れとして、例えばチューインガムの売れ行き不振のような動きも顕著化している。

国内情勢の変化を受け、2013年では各種お菓子たちはどのような販売実績をあげていくのだろうか。その動きは、一般消費者ベースでの経済の動きを知る上でも、良い判断材料となるに違いない。

※2013/04/11 13:40 項目区分の具体的事例を追加しました

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