ハンバーガーは復調の兆しあれど中食シフトの玉突きか…世帯単位での外食などの利用性向推移をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(2017年)(最新)

2017/03/10 05:13

就業者の昼食や家族の団らんの場、気分転換のきっかけとしてなど、多様な場面で使われる外食。単に食事をする切り口で見れば、多分にコストが高くつくことから、節約の対象となる場合も多い。見方を変えれば、景気動向に左右されやすい消費行動ともいえる。今回は外食の主な消費性向について、総務省統計局が2017年2月17日にデータ更新(2016年・年次分反映)を行った【家計調査(家計収支編)調査結果】を基に、その現状や経年変化について精査していくことにする。

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大よそ減少、特に飲酒代が大きく減る


次以降のグラフは家計調査報告(家計収支編)の「総世帯」から各種データを抽出の上、必要なものについては独自に算出した値を用いている。今回は世帯種類毎の消費性向の違いはさほど問題ではなく、市場全体の消費の動きを確認することが目的なため、「単身世帯」「二人以上世帯」それぞれの値は考察しない。またグラフ中や文中に登場する「購入世帯数」「世帯購入頻度」などの言葉の意味は、先行記事【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編)・総世帯版)】などですでに解説済みなので、そちらを参照のこと。

取り上げる項目は「一般外食」、さらにはその中に含まれる「ハンバーガー」「他の主食的外食」。その中身は【収支項目分類及びその内容例示(平成27年1月改定)】で次のように解説されている(今定義が最新)。

↑ 「一般外食」「ハンバーガー」「他の主食的外食」詳細

まずは「購入世帯頻度」と「支出金額」。直近値の2016年分について、主要項目の「購入世帯頻度」と「平均支出額」、さらには「一人当たり」の金額をグラフ化したのが次の図。なお「ハンバーガー」や「他の主食的外食」は「一般外食」の内部項目(厳密には「一般外食」の一区分に「食事代」があり、その「食事代」の一区分として「ハンバーガー」「他の主食的外食」がある)でしかないことに留意する必要がある。

↑ 2016年における総世帯の平均支出金額・購入世帯頻度(外食全般と主要品)(月次換算)(金額は円)
↑ 2016年における総世帯の平均支出金額・購入世帯頻度(外食全般と主要品)(月次換算)(金額は円)

↑ 2016年における総世帯の”一人当たり”平均支出金額(外食全般と主要品)(月次換算)(円)
↑ 2016年における総世帯の”一人当たり”平均支出金額(外食全般と主要品)(月次換算)(円)

「一般外食」の利用頻度は月あたり6.97回。実質的には宅配ピザのような中食も含まれるので、さほど多いわけではない。ドーナツ、お好み焼き、ファミレスなどでの食事は月に約2回程度。金額で一人頭1800円は、1回あたり900円位となるため、ファミレスのランチメニューとコーヒーで大体額が合う形になる。一方、「ハンバーガー」は4か月に1回と少なめ。これは総世帯には利用者が少ない高齢者世帯層も含まれるため。

前年分の2015年の値と比較すると、中華そばやすし(外食)といった高齢者も好むタイプの種類以外は大よそ下げているのが分かる(焼肉は2016年から新規導入された項目のため、前年比が無い)。先行記事【中食系食品などの購入動向推移をグラフ化してみる】でも解説の通り、中食需要が大きく伸び、その割を食らった形。また、飲酒代(外食)の群を抜いた下げ幅は、昨今の居酒屋業態の不調さを象徴する動向とも読み解くことができる。

2016年における総世帯の平均購入世帯頻度(外食全般)(前年比)
↑ 2016年における総世帯の平均購入世帯頻度(外食全般)(前年比)

前年ではハンバーガー業界の低迷が大きく反映された値が計上されたが(前年比マイナス11.8%)、2016年はプラスにまでは転じなかったものの、他の種類と同程度の下げ幅にとどまっており、ずいぶんと状況は回復に向かっているように見受けられる。

経年変化で動向を探る


この「購入世帯頻度」「支出額」の経年推移を、総務省統計局の公開データベースe-statでデータが取得可能な2002年以降のものにつき、時系列で再整理してグラフ化したのが次の図。

↑ 総世帯の平均購入頻度(-2016年)(外食全般と主要品)(月次)
↑ 総世帯の平均購入頻度(-2016年)(外食全般と主要品)(月次)

↑ 総世帯の平均支出金額(-2016年)(外食全般と主要品)(月次、円)
↑ 総世帯の平均支出金額(-2016年)(外食全般と主要品)(月次、円)

まず外食全般に相当する「一般外食」は、中期的には頻度も額も減少していた。世帯構成人数の減少も一因ではあるが、それをはるかに上回る減少率。この動きは外食産業で平均単価が下がったことに加え、「外で食べる」(=中食を含まない)外食を避ける流れが進んでいたことが見えてくる。一方「ハンバーガー」は少しずつではあるが、購入頻度・購入額共に、確実に増加中「だった」。

ところが2012年以降は多様な変化が確認されている。「一般外食」全体では頻度・支出金額の下落が止まり、横ばい、さらには上昇へとトレンドの転換が見受けられた。「他の主食的外食」は横ばいを示し、下落トレンドから転じた雰囲気。その一方、「ハンバーガー」は支出金額・頻度共に大きく下落を示す形となった。

直近の2016年ではこれらの動きが再びかじ取りを変えたような雰囲気がある。外食全般は頻度も金額も下方にトレンドをシフトしたように見える。特に「一般外食」の金額動向に、それが良く表れている。相関関係でしかないが因果関係も容易に想像できるのが、上記でも指摘している「中食へのシフト」。

他方「ハンバーガー」は購入頻度こそわずかに減ったが、金額は増加に転じている。これも上記で指摘の通り、外食としてハンバーガーを提供する業界の主軸企業であるマクドナルドの復調によるところが大きい。次に示すのはマクドナルドの公開値を元にした、月次セールス動向。ここ数年業績が大きく動いたために、単純に公開されている前年同月比では反動が大きく生じてしまい状況が把握しにくくなるため、同時に2年前同月比も試算する。

↑ マクドナルド月次セールス(既存店、前年同月比)
↑ マクドナルド月次セールス(既存店、前年同月比)

↑ マクドナルド月次セールス(既存店、2年前同月比)
↑ マクドナルド月次セールス(既存店、2年前同月比)

鶏肉品質偽装問題や異物混入問題、さらに(直接の責は無いが)ポテト商品のじゃがいも輸入ルート事情から来る供給問題などが相次ぎ業績は大きく下落し、その後試行錯誤が繰り返される。実体感している人も少なからずいるだろうが、2年前同月比の動向を見れば分かる通り、同社の業績が明らかに回復したのは2016年の夏あたりから。「ハンバーガー」の昨年における大きな不調ぶり、そして2016年の復調の兆しはまさに、マクドナルドの動向と一致する。このままの勢いが続けば、中食へのシフトという逆風の中でも、「ハンバーガー」は悪くない値を示すことだろう(もっとも外食として区分される「ハンバーガー」も利用スタイルを思い返すと、勢いのある中食として食されるケースも多々あるのだが)。



冒頭で触れている通り、家計内の経費削減対象として、しばしば上位項目に挙げられるのが「外食」。今回のデータでは、中期的には利用性向・利用金額共に減退していたこと、そして2012年以降は復調の兆しが見られたこと、そして直近年では中食への大きなシフトの中で足を引っ張られた感は否めないことなどが分かる。中食へのシフトが2012年から2013年に始まっている動きと合わせ見ると、外食が2012年以降復調に見えたのは、「食全体の回復」「中食へのシフト」の過程で起きた一時的な現象だったのかもしれない。

今後外食への出費、利用頻度はいかなる動きを示すのか。中食との関係も合わせ、大いに注目したいところではある。


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