各社とも客数減少に歯止めかからず…牛丼御三家売上:2013年3月分

2013/04/08 07:55

吉野家ホールディングス(9861)は2013年4月5日、同社子会社の牛丼チェーン店吉野家の2013年3月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でマイナス5.0%となった。牛丼御三家と呼ばれる主力牛丼企業のうち松屋フーズ(9887)が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年3月における売上前年同月比はマイナス8.1%、ゼンショー(7550)が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス11.5%との値が発表されている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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↑ 牛丼御三家2013年3月営業成績
↑ 牛丼御三家2013年3月営業成績

吉野家に関して昨年同月と比較すると、一年前における客単価前年比はプラス2.0%。そこからさらに2.6%の引き上げに成功している(2年越しで計算すると約4.7%のプラス)。【吉野家、新メニュー「牛焼肉丼」を13日から発売】にもある通り2012年9月13日から発売を開始した「牛焼肉丼」、【吉野家、焼味豚丼 十勝仕立てを11月1日から販売再開】のように販売を再開した「焼味豚丼 十勝仕立て」など、数々の新メニューは客単価の引き上げに貢献しているようだ。一方で3月は新商品の発表・発売など特に大きな動きも無く、インパクトの薄さも影響してか、客入りは減少を継続。結局単価の引き上げ以上に客が減ったことで、売上高もマイナスを示してしまう。

松屋の牛焼肉定食松屋は客単価がそれなりに安定しており、客数の減少を十分カバーできるスタイルが特徴だったが、この一年ほどはそのパターンも崩れつつある。今回該当月では【松屋、定食メニュー「牛焼肉」「カルビ焼肉」を価格据え置き・肉増量で期間限定提供】のように既存メニューの量増しで印象を深め単価の高い商品への集客・常連客化を模索したり、【松屋から「照りマヨチキン定食」発売】のように新メニューの投入も果たしている。客単価はこれらを受けて大いに上昇したものの、客数減少傾向に歯止めがかからず、前年同月比で1割超えもの減少。これが売り上げの頭を押さえることとなった。

すき家も吉野家同様、3月には目立った動きは無く、従来メニューの継続販売に留まっている。客数が松屋同様1割以上の減。松屋と違い客単価はほぼ変わらずなので、そのまま売上に響く形となっている。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2013年3月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2013年3月)

2011年3月以降は東日本大地震・震災による直接的影響、そしてそれを起因とする消費性向の変化、さらには世情の活性化祈願も兼ねた安売りセールなどで、牛丼業界に限定しても、客単価や客数、そして売上も大きく変化している。特に震災より前、数年前に毎月のように繰り広げられた安売りキャンペーンは新鮮味もすでに無く、ブランド力の低下という逆効果すら生じ得るため、今では沈静化を見せている。そして客単価を底上げする、あるいは元に戻すため、比較的高価格な商品展開が相次いでいる。

ただし「新規顧客の誘引」という点では「値引きセール」に即効性があることには違いない。年度替わりで新規顧客が狙いやすい4月において、【すき家と松屋、主力商品の牛丼・牛めしを期間限定で30円値下げへ】で伝えたように、すき家と松屋は期間限定で牛丼・牛めしの値引きセールを行う予定。

以前から折に触れているが、昨今、具体的には2011年後半期以降、来場客の減少が目立つ。これが売り上げが落ちている主要因に他ならない。吉野家は15か月、松屋は12か月、すき家は16か月、客数の前年同月比マイナスが継続中。もはや「前年同月の集客が良かったので、今月はその反動でマイナスとなった」という説明も出来ない状態にある。

↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2013年3月)
↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2013年3月)

震災も起因の一つと思われるが(グラフにもある通り、明らかな減少が起きているのは2011年夏あたりから)、牛丼離れ的な動き、さらには消費全体の性向そのものにすら変化が生じ、その影響が数字となって表れている可能性は大きい。
震災以外では、コンビニで相次いで展開される低価格弁当、ミニサイズの食品、多種多様に展開される総菜やプライベートブランド食品などが、従来牛丼を食する層のシェアを侵食している可能性もある。2月に検証を行った記事【コンビニエンスストアの商品構成別売上推移をグラフ化してみる(2012年12月分まで反映)】にもある通り、2010年の後半以降コンビニの日配食品における月次前年同月比はプラスを継続、堅調な流れの中にある。コンビニ各社も過去最高益を挙げているとの話を耳にする。昨今のコンビニのレジ横商品をはじめとした、各種フライ物・お弁当・惣菜などの日配食品の充実ぶりを見ると、あながち見当違いの話でも無い。

牛丼業界各社が客足を呼び戻すには、どのような手法が必要だろうか。そして仮にそれがあったとして、各企業は実行することができるのか。マイナス圏に沈降を継続している客数推移を「浮上」させることは果たして可能なのか。食品系他業種の動向と合わせ、今後も牛丼御三家の今後の動向を注視していきたい。


■関連記事:
【牛丼御三家の店舗数推移などをグラフ化してみる(2012年8月分まで対応版)】

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