CDやネット配信の「ミリオン認定」などの動向(最新)

2018/04/09 05:15

2018-0407コンテンツビジネスを営む者にとって、「ミリオン」(100万)は一つの大きな目標であり、ヒットの代名詞に他ならない。今回は日本レコード協会が2018年4月5日に発表した音楽業界に関する白書「日本のレコード産業2018」の公開値を基に、日本におけるミリオンセラーの概念に近い「ミリオン認定」などについて状況を把握するため、各種データの精査を行うことにした(【発表リリース:「日本のレコード産業2017」を発行】)。

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書籍やゲームソフト市場でもよく使われている言い回しで、作家・出版元の立場からは夢、目標の一つでもある「ミリオンセラー」(100万本以上売れることを意味する)。しかし「日本のレコード産業」では数年来この言い回しは使わず、代わりに「ミリオン認定」なる言葉を用いている。これは「会員各社からの申請に基づいた出荷枚数」を定期的に確認し、「発売日からの累計正味出荷枚数が100万枚を超えた場合」に認定する称号である(【解説ページ:ゴールドディスク認定作品】)。また累計正味出荷枚数が300万枚に達した場合、その時点で改めて3ミリオンが認定されるとともに、それ以降は100万枚毎に改めて認定がなされることになる。

ちなみにミリオンより下には10万枚以上の「ゴールド」をはじめ、25万枚以上の「プラチナ」、50万枚以上の「ダブル・プラチナ」などがある。あくまでも出荷枚数であり、販売枚数よりはハードルが低いことに留意しなければならない(数年前までの当サイト内類似記事では、資料も含め「ミリオンセラー」が使われていたため、現在の「ミリオン認定」の値との連動性は無い)。

次に示すのは、過去の分も合わせ、経年の「日本のレコード産業」で確認できる限りにおける「ミリオン認定」の推移。

↑ 音楽CD・ミリオン認定(作品数)
↑ 音楽CD・ミリオン認定(作品数)

直近分となる2017年はアルバムで1本2ミリオン、シングルでも1本2ミリオンが登場した。またシングルのミリオン(100万本台)は7本が確認できる。具体的には次の通り。具体的には

●シングル
■2ミリオン
・願いごとの持ち腐れ(AKB48)
■ミリオン
・裸足でSummer(乃木坂46)(2016/07/27)
・シュートサイン(AKB48)
・インフルエンサー(乃木坂46)
・逃げ水(乃木坂46)
・# 好きなんだ(AKB48)
・いつかできるから今日できる(乃木坂46)
・11月のアンクレット(AKB48)

●アルバム
■2ミリオン
・Finally(安室 奈美恵)

※年月表記が無いのは2017年中発売

といった次第である。

アルバムは「手堅い」作品で占められている。2014年の映画「アナと雪の女王」の関連アルバム「アナと雪の女王 オリジナル・サウンドトラック」のようなイレギュラー的な作品も無く、提供アーティストの底力を感じさせる。

シングルはいわゆる「選挙」や「握手会」との絡みをはじめとするさまざまな「仕組み」もあり、ここ数年来の状況から大きな変化は無く、同一グループが多分に占める形となった。前年の2016年ではSMAPの解散があり、アルバムだけで無くシングルでも大きなセールスを計上していたが、2017年ではその動きも無い。

2014年に生じた、グラフの緑線の大きなイレギュラー的動きだが、これは2014年発表分からミリオン認定のカテゴリ区分に変更が生じたことによるもの。これまで「着うた」「着うたフル」はCDとは別途「音楽配信」として計上し、さらにパソコンやスマートフォンなど向けの「PC配信(シングル)」は今件項目ではカウントしていなかった。しかし2014年分から「着うたフル」「PC配信(シングル)」を統合して「シングルトラック」としてカウントし、「ミリオン認定作品」に計上している(【有料音楽配信認定】)。

2014年分では2014年1月において、これまでカウントしていなかった過去の「パソコン配信(シングル)」分の作品が大量にミリオン認定されている。つまり2014年分が跳ね上がったのは、2014年に大量のミリオン認定作が突如出現したのでは無く、これまで未認定だったものが一挙に認定されたことによるもの。

↑ (参考)有料音楽配信(シングルトラック)における2014年分で認定カウントされた作品一覧(「日本のレコード産業2015」より)
↑ (参考)有料音楽配信(シングルトラック)における2014年分で認定カウントされた作品一覧(「日本のレコード産業2015」より)

2015年以降はそのイレギュラー的な動きも収まり、直近年では全部で6タイトルがカウントされる形となった。ちなみに2017年中に「配信を開始」し、ミリオン認定されたのは皆無。もっとも新しい作品は2016年10月に配信開始の「恋」(星野 源)である。

2012年以降は携帯電話市場におけるスマートフォンへのシフトが進み、それに併せてモバイル端末の有料音楽配信市場が大きく変動、従来型携帯電話(フィーチャーフォン)による着うた・着うたフルの需要が大きく減退している。その動向はシングルトラックのミリオン認定数の減少として表れていたが、2014年からカウント形式が変わり、パソコンやスマートフォン向けの有料配信も計上されることで、動きが読みにくい状況となったのは否めない。



直近年となる2017年においてもシングルのセールスで2ミリオン以上のセールスが登場したこと自体は喜ばしいものの、その内情を見るに「音楽業界の伸長による結果」と評してよいのか否か、判断にはやや迷うところがある。

かつて宇多田ヒカルの初アルバム『First Love』は初回出荷280万枚、1999年だけで800万枚を超えるヒットとなった(国外も合わせると1000万枚前後では無いかとの話もある)。このような「超ヒットセラー」は、現在の市場では奇跡でも生まれえないのが現実。2014年に顔を見せたあの「アナと雪の女王」ですら、アルバムはダブルミリオンに届いていない。趣味趣向が分散拡散し、手法が多様化する以上、同一作品が集中的に売れることが難しくなったのが一因と言える(もちろん無料の音楽配信に音楽利用客が流れているなど、複合的要因はある)。2013年以降、定額制の聴き放題サービス部門が大きく伸びたのも、その状況変化を示す数字の一つであろう。

デジタル化、スマートフォンの普及、ソーシャルネットワークの浸透、そして定額制サービスの展開など、音楽を取り巻く環境は大きく変化を遂げている。「音を楽しむ」スタイルも多種多様化し、既存のビジネスモデルが通用しにくい時代であることは否めない。他方、主従を逆にしかねないビジネスモデルがよいものなのかについても、賛否両論がある。関係各位は今一度、音楽とビジネス、そして業界の将来のことを見据えるために、思案する必要があるのでは無いだろうか。


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