サブスクリプションがけん引…音楽配信販売数と売上動向(最新)

2019/04/14 05:13

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2019-0413音楽を聴取するメディアとして伸長著しいデジタル媒体だが、それがビジネスとして売上に直接結びついているか否かとはまた別の話。以前の記事【年齢階層別の「音楽との付き合い方」をグラフ化してみる】でも解説の通り、日本レコード協会の調査でも、有料聴取層や無料聴取層が減っている状況の一因には、好みのデジタル音源を多数取得したことによる満腹感があるとしている。この状況を売上の面から確認する意味も合わせ、今回は日本レコード協会が2019年4月9日付で発表した白書「日本のレコード産業2019」をもとに、従来型携帯電話向けの「着うた」「着メロ」、そして主にスマートフォン向けのダウンロード楽曲から構成される、有料音楽配信の売上件数と売上額を細密に区分した状態で、グラフ化と状況の精査を行うことにする(【発表リリース:「日本のレコード産業2019」を発行】)。

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数量は天井感から減少に見えるが実は…パソコン・スマートフォン分野


音楽配信は主な配信先であるモバイル端末の情勢が大きく変化するに連れ、激変を遂げる最中にある。具体的には従来型携帯電話(フィーチャーフォン、いわゆるガラケー)向けのモバイル部門は利用端末数の減少や音楽視聴の様式変化から、販売実績を大きく減らし、スマートフォンやパソコン向けのインターネット部門はスマートフォンの普及率上昇とともに実績を伸ばしつつある。そして2013年においてはついに、インターネット部門はモバイル部門の売上高を超えてしまった。その傾向は直近となる2018年においても継続している。

それでは両部門における売上件数と総売上はどのように推移しているのか。まずは成長著しいインターネット部門改めパソコン・スマートフォン部門の結果を四半期単位の動きでグラフ化したのが次の図。数量が特定できないサブスクリプション(用意されている楽曲なら好きなだけ何度でも聴ける定額制の仕組み、およびその利用方法への権利料)に関しては、それを含まない場合の総額、含めた総額の2種類を併記する。

↑ 音楽配信売上実績(パソコン・スマートフォン、数量は万回・金額は億円、コンテンツ別)
↑ 音楽配信売上実績(パソコン・スマートフォン、数量は万回・金額は億円、コンテンツ別)

↑ 音楽配信売上実績(パソコン・スマートフォン、数量は万回・金額は億円、コンテンツ別)(2018年)
↑ 音楽配信売上実績(パソコン・スマートフォン、数量は万回・金額は億円、コンテンツ別)(2018年)

「改め」としたのは、実は「日本のレコード産業」では2013年分からデータの区切りを一部変更し、表記も変わったことが原因。過去データも新しい区分で再計算されており(今記事でも反映済み)、分析の上では今はもう問題は無いのだが、時代・状況の変化を認識できる。

それはさておき。グラフを見ると、2005年Q2(第2四半期)まではほぼ横ばいだった売上件数(数量)・額が同年第3四半期から突然動機付き、何度かの足踏みを経験しながらも大きく躍進を見せている。これは2005年8月にアップル社のインターネット音楽配信サービス「iTunes」がスタートし、多くの人が利用し始めたのが原因。巨大なコンテンツが供給される場が現れ、市場が一気に花開いた形だ。

それ以降数量は2014年まで一様に、何度かの戻しの機会を見せながらも、上昇傾向は続いていた。しかし2015年Q1をピークに、明らかに販売回数は減り、金額も横ばいに移行している。これは上記の通り回数の計上ができないサブスクリプション方式による音楽聴取の仕組みが急速に広まったことが原因。料理店ならバイキング方式(サブスクリプション方式)の店が続々と開店して人気を集め、単品メニューの購入方式(アラカルト方式)の利用客が奪われる形である。2015年は国内のサブスクリプションサービスとしてAWA、Apple Music、Google Play Music、LINE MUSICが続々とサービスを開始し、有料音楽配信市場はダイナミックな変化を遂げる、その初年を迎えているが、それがアラカルト方式における有料音楽配信市場の数量における動向にも影響を与えたことになる。

他方、数量での加算は無いものの、金額では確実に上乗せされるサブスクリプション込みの金額合計は、2013年以降明らかに含まない金額合計との間にかい離を見せる。含まない金額合計が事実上2014年以降はほぼ横ばいなのに対し、込みの金額が大きく上昇している状況は、ひとえにサブスクリプションの金額が急成長した証拠に他ならない。回数の頭打ちから減少の状況を見て「音楽配信は天井から低迷へ」とする認識は、的を外したものとなる。

なお2017年分からは公開データにおいては売上項目でストリーミングにおけるサブスクリプションに加え、広告収入も別途計上されている。権利料とは異なる方向性の売上のため、今件では検証対象からは外している。

下落止まらぬモバイル部門


従来型携帯電話向け音源による「モバイル部門」は「パソコン・スマートフォン部門」以上に時代の流れを実感させる展開を見せている。なお2017年分以降は従来型携帯電話向けにおいては、サブスクリプションの売上は計上から除外されているため、単純な金額合計とサブスクリプション込みの金額合計は同じとなっている(ので、直近年分のグラフではサブスクリプション込みの金額合計は掲載されていない)。

↑ 音楽配信売上実績(従来型携帯電話、数量は万回・金額は億円、コンテンツ別)
↑ 音楽配信売上実績(従来型携帯電話、数量は万回・金額は億円、コンテンツ別)

↑ 音楽配信売上実績(従来型携帯電話、数量は万回・金額は億円、コンテンツ別)(2018年)
↑ 音楽配信売上実績(従来型携帯電話、数量は万回・金額は億円、コンテンツ別)(2018年)

用語の説明を一通りしておくと、次の通りとなる。

・(Master)Ringtunes…着うた

・Ringback tunes…呼び出し音(メロディーコールなど)

・シングルトラック…着うたフル

これをベースに、図から見える「モバイルの」傾向を箇条書きにする。

・売上高は2008年、件数は2007年をピークに横ばい。件数はわずかに漸減傾向を見せていた。しかし2010年以降は両者とも顕著に減少の一途をたどっている。

・2011年にやや加速した減少ぶりだが、2012年は少しだけ下げ方がゆるやかになった。ただし減少を続けていることに違いはない。そして2013年以降も減少傾向は続いている。特に「着うた」の縮小ぶりが著しい。

・「呼び出し音」は「着うた」と比べれば落ち込み具合は緩やかだが、それでも減少が続いていることに違いは無い。

ほんの数年前までは音楽配信の売上の大半を担い、音楽業界全体の底上げ役も果たしていた従来型携帯向けの音楽配信ことモバイル部門だが、その勢いも今は昔。現状ではこのように急速に売上を縮小している。この理由は直上でも触れている通り、モバイル端末の利用スタイルがこの数年で大きく変化を果たし、従来型携帯電話からスマートフォンに移行しているから。

さらにいえば、デジタル系の音楽視聴を好む層が多いのは若年層だが、その層は同時にスマートフォンの普及率上昇が他の年齢層よりも速い傾向にある。その動きもまた、急激な状況変化を後押ししている一因。

この両者の動きにおいて、「モバイル部門の減少分」<=「パソコン・スマートフォン部門」となれば、有料音楽配信全体の売上も増加していく。移行前後の利用スタイルがそのまま維持されれば、少なくとも両者はイコールで結ばれるはずだが、以前は「モバイル部門の減少分」>「パソコン・スマートフォン部門の増加分」であり、結果として【音楽CD・有料音楽配信の売上動向】で示したように、音楽配信部門は全体として、大幅に減少していた。その後パソコン・スマートフォン部門のサブスクリプションにおける急成長が貢献する形で、2014年以降は全体で前年比プラスを計上している。



かつて躍進を続けていたモバイル部門の音楽配信サービスも、新世代のモバイル端末たるスマートフォンの普及加速化を受け、金額の漸減傾向に歯止めがかからない。他方パソコン・スマートフォン部門においてもアラカルト方式に限れば成長の天井感が確認されており、これまでとは違う雰囲気が市場に感じられる事態が生じている。

LINE MUSIC音楽市場は(「市場」との言葉を使ってよいか否か迷うところではあるが)今件の音楽市場以外に、無料で提供される楽曲で構成される無料の音楽市場もあり、この市場(の利用者)も確実に増加している。音楽利用者の消費性向の変化を、業界関係各社・各員は十二分に吟味し、対応をしていかねばなるまい。

また昨今有料音楽配信の売上における大きなけん引役であるサブスクリプションにも注目すべき。これは定額制サービスによる期間限定の使用権などを意味する。今後さらに増加の一途をたどるのは容易に想像でき、その影響を受けているアラカルト方式の売上減少も今以上に大きな動きとなるだろう。


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