音楽配信は伸張続く、音楽ソフトも特需で伸びる…音楽CD・有料音楽配信の売上動向(最新)

2019/04/14 05:11

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2019-0413人々における音楽への関心の抱き具合に大きな変化は無いものの、周辺環境の移り変わりに伴い、音楽として定義づけられた娯楽に対価を支払う動きは次第に縮小する方向にある。例えば日本レコード協会が以前発表した調査結果(【年齢階層別の「音楽との付き合い方」をグラフ化してみる】)によれば、有料聴取層や無料聴取層が減り、無関心層が増えていることは一目瞭然。今回は日本レコード協会が2019年4月9日付で発表した白書「日本のレコード産業2019」を基に、いくつかのグラフを生成し、その「有料音楽離れ」の動きを再確認していく(【発表リリース:「日本のレコード産業2019」を発行】)。

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2007年がピーク…音楽ソフトと有料音楽配信の売上推移


まずは一番気になるであろう音楽配信(モバイル、そしてインターネットダウンロード(パソコン配信とスマートフォン双方))の2018年分における結果。金額としては644億6600万円、前年比でプラス13%を示した。従来型携帯電話(フィーチャーフォン)による着うたなどの売上を意味する「モバイル」は急速に減少を続けているが、代わりにインターネットダウンロード(iTunesなどのスマートフォン系含む)がアルバムで増加し、サブスクリプション(定額制方式に対する使用権の販売など)も大幅上昇を遂げ、今回年も音楽配信の全体額を押し上げる形となった。

↑ 音楽ソフト・音楽配信の売上(億円)
↑ 音楽ソフト・音楽配信の売上(億円)

2007年までは「音楽ソフトの売上減を音楽配信がカバーし、全体の売上は上昇していた」、つまり「音楽業界は売上では成長を続けており、CDなどの音楽ソフトの売上減は音楽配信にそのシェアを食われている」と解説できた。ところが2008年に至り、音楽配信の成長は続いているものの、それ以上に音楽ソフトの売上減が急速に進み、市場全体の売上も落ち込む結果となってしまった。そして2010年以降はモバイル端末市場の変化、具体的には従来型携帯電話からスマートフォンへのトレンドの移り変わりに伴う、利用者の有料音楽との付き合い方の激変によって、有料音楽市場も急速に縮小してしまう。

他方2014年以降は上記で説明したように、アルバム、そして何よりもサブスクリプションの大幅増加により、従来型携帯向けを意味するモバイル部門の減少分を補完しきることができ、有料音楽市場は拡大を示すことができた。

一方で音楽ソフトは不調が続いていたが、2018年では販売数こそ前年比でマイナス4%を示したものの、金額ではプラス4%を計上することになった。詳しくは別の機会で解説するが、安室奈美恵氏の引退に伴うビデオアルバム「namie amuro Final Tour 2018 -Finally-」がミリオンセラーを果たし、音楽ソフト全体の売上を底上げしたことによるもの。結果として音楽ソフト全体の売上は増加、アナログ・デジタルを合わせた音楽全体の売上は3年ぶりに前年比で増加、節目となる3000億円を再び超える状況となった。

売上動向を長期視点で見ると


音楽業界の動向を一歩引いた立場から眺められるのが次の図。上記のグラフを1990年までさかのぼって再構築したもの(音楽配信はデータ上に登場した2005年以降のみ)、さらに音楽配信と音楽ソフトの売上合計における両者の比率推移をグラフ化した。

↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上(億円)(1990年以降)
↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上(億円)(1990年以降)

↑ 音楽ソフト・音楽配信の総計売上に対する比率
↑ 音楽ソフト・音楽配信の総計売上に対する比率

音楽配信のデータは2005年からなので、それまでは音楽ソフトのみのグラフとなるが、2004年以前は音楽配信そのものがごく少数だったことを考えると、グラフ形成上大きな問題は無い。過去のCD売上に関する記事でも述べているが、1990年代後半に音楽業界はピークを迎えており、それ以降は売上の面で漸減する傾向である実情が確認できる。

従来型携帯電話上の着メロがスタートしたのは1996年。ただし2004年以前は計測対象とならないほど売上が小さかったこと、そして音質の問題もあり、1996年-2004年の間の音楽ソフトの減少が、デジタル音楽配信のみに起因するとは考えにくい。2005年からは別途取り扱われるほどまでに音楽配信が成長し、一時期ではあるが音楽業界に救いの手を差し伸べた形になっているのが分かる。

2009年-2010年ではすでに1/4近くがソフト部門において音楽配信で占められていた。ところがそれ以降は上記で説明しているように、「従来型携帯電話からスマートフォンへの利用移行に伴う、音楽聴取者の音楽配信との付き合い方の変化」、そして某ユニット・グループによる手法で知られる特殊な販売スタイルに代表される「シングルCDの販促方法の多様化に伴う盛り返し」などがあり、少なくとも売上の面ではトレンドの変化が確認できる。そして2013年以降は音楽ソフト分野におけるそのドーピング効果も薄れ、音楽配信分野ではサブスクリプションサービスという新たな音楽提供のスタイルの伸長により、再びシェアは音楽配信の増加の形で変化を見せつつある。



音楽視聴需要の多様化などにより、この数年の音楽ソフトの売上は激しい動きを示している。

↑ 音楽ソフトの売上(前年比)
↑ 音楽ソフトの売上(前年比)

他方、音楽配信部門ではスマートフォンの台頭、急速な普及に伴い、大きな転換点を迎えている。曲の管理の簡易化と収録容量の増加、無料曲の増加、市場単価の減退、定額制サービスの普及など、多彩な売上圧縮理由により、従量制的な従来の音楽市場が縮小を続けている。昨今のサブスクリプションによる売上増は、見方を変えればアラカルト方式(1曲ごとの販売方式)の低迷に直結することになるため、諸手を挙げられる状況とは言い難い。あるいは音楽の利用スタイルそのものに大きな変化が生じている、生じさせた可能性は否定できない。

今後さらにスマートフォンの普及率が高まり、多様なサービスが広まり、音楽への接触の様式が変わるに連れ、有料・無料楽曲間のバランス、聴取者の利用スタイルはどのような変化を見せていくのか。多分に拡大を続けているであろう無料音楽市場、さらには定額制の取得サービスの動向も併せ、注視し続けたい。


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