一人暮らしと夫婦世帯との間の「週刊誌や雑誌、書籍の支出額」の違いをグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(2017年)(最新)

2017/03/08 05:13

先に【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編)・総世帯版)】において、「二人以上の世帯」と「一人暮らしの世帯(単身世帯)」を合わせた「総世帯」、つまり全部の世帯における、「新聞や雑誌、書籍などの購入度合い」を検証した。今回は「二人以上の世帯」「単身世帯」それぞれ別個の紙媒体の購入頻度や購入額の違いを、2017年2月17日に年次データが更新され直近分となる2016年分が反映された【家計調査報告(家計収支編)】の内容を元に、精査していくことにする。

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単身世帯の新聞購入率は4/5


データの取得元だが、場所は【家計調査(家計収支編)調査結果】で先の記事と同じ。そのページにある「4.詳細結果表」の項目から、「二人以上の世帯」「単身世帯」それぞれ別個について、やはり同じように「購入世帯頻度」と「支出金額」を確認する。今回は収録されている年次データのうち、先日更新されたばかりの一番新しいもの、2016年分を用いる。

グラフ中などで使われている「世帯購入頻度」とは、世帯単位での購入頻度を指す。例えば構成員の誰かが特定期間に2回雑誌を購入すれば、その世帯の該当期間における購入頻度は200%。非購入世帯も含めての平均値であることに注意。また、単身世帯は当然構成員が世帯主一人しかいないので、本人のみの購入が計測されることになる。例えば単身世帯で月に4回(≒毎週)週刊誌を購入していれば、その世帯の雑誌購入頻度は400%となる。

まずは月次購入頻度。今グラフに関しては「世帯単位での動き」であることに注意。単身世帯は上記にある通り本人自身のみ、そして二人以上世帯は夫か妻の片方どちらか、さらには子供が購入しても(子供の小遣いによる調達までは「家計」にカウントしきれていないので、あくまでも「世帯全体のお財布から買った」もののみとなるが)「購入世帯」として該当する。

↑ 2016年における単身・二人以上世帯の月次購入頻度(世帯当たり)(総務省統計局発表)
↑ 2016年における単身・二人以上世帯の月次購入頻度(世帯当たり)(総務省統計局発表)

新聞は前年の2015年では二人以上世帯が単身世帯よりも高い値を示していたが、今回年では単身世帯が上回る結果が出てしまった。高齢層単身世帯の増加により単身世帯の購入率が増加した一方で、夫婦世帯における新聞離れによる購入率の減少が、立ち位置の逆転をもたらしたようだ。「雑誌・週刊誌」「書籍」は二人以上世帯の方が高い。夫婦のそれぞれが、あるいはいずれかが読書のために書籍を購入しているようすがうかがえる。子供がいる世帯では、子供向けの書籍購入事例もあるのだろう。

「二人以上世帯は単身世帯と比べて、購入する機会がある人が2倍以上(少なくとも夫婦)なのだから、購入頻度が高くて当然」との意見もあるに違いない。その考え方は一理ある。しかしいずれの媒体においても、両種類世帯間で差異があまりない。前年比を算出すると、それぞれの世帯でどのような変化が起きたのかが分かる。

↑ 2016年における単身・二人以上世帯の月次購入頻度(世帯当たり)(総務省統計局発表)(前年比)(ppt)
↑ 2016年における単身・二人以上世帯の月次購入頻度(世帯当たり)(総務省統計局発表)(前年比)(ppt)

紙媒体が苦境の中にあるのは複数の調査結果から明らかにされているが、今件でもそれが表れる内容となっている。大よその媒体では前年比がマイナス。「他の印刷物」で単身世帯がプラスを計上しているが、これは正直なところ誤差の範囲(具体的には「(映画などの)プログラム、カレンダー」「学生新聞、宗教新聞、点字新聞」などが該当する。元々絶対値が小さいため前年比でもぶれが出やすい)。

他方、「新聞」で単身世帯が示した前年比プラスは単なる誤差とは言い難く、上記で言及したように高齢世帯層の比率・絶対数増加が要因として考えられる。実際、単身世帯では(に限らず)、一般的にも高齢層の方が新聞購読率は高い。2014年以降今回年に至るまで3年連続して、「新聞」における単身世帯の増加傾向が確認されており、この動きは今後も継続する可能性はある。むしろ二人以上世帯でマイナス4.5%ポイントもの差異が出たのは大いに注目すべきであり、新聞業界においては冷や汗ものの動向に違いない。

高齢層が新聞好きなのは良く知られている話だが、単身世帯では特にその傾向が強い。実際、2016年における単身世帯でその世代別の新聞購入金額を見ると(世代別購入性向のデータは公開されていないので、購入者・非購入者を合わせた平均購入額から購入動向を推測するしかない。また新聞単価そのものは種類によって大きな違いは無い)、若年層と高齢層との間で新聞購入への姿勢に大きな違いがあるのが分かる。

↑ 2016年における単身世帯・世代別・月次平均支出金額(総務省統計局発表)(新聞)
↑ 2016年における単身世帯・世代別・月次平均支出金額(総務省統計局発表)(新聞)

そして全体的な構成比率を反映することになる、家計調査における抽出率調整後の世帯分布を見ると、高齢層は増加の一途をたどっている。

↑ 単身世帯・世代別・世帯数分布(抽出率調整)(家計調査・家計支出編)
↑ 単身世帯・世代別・世帯数分布(抽出率調整)(家計調査・家計支出編)

新聞をよく読む高齢層の回答者数比率が増えれば、(二人以上世帯も合わせた)新聞全体としての購入性向が減っていたとしても、単身世帯の購入頻度の値が前年比でプラスとなる結果が出ても何ら不思議では無い。来年以降も前年比はプラスとなるか、あるいはマイナスでもその減り方は小さめなものとなるだろう。

金額ベースで動きを見てみよう


この動きを金額ベースで見たのが次のグラフ。子供の存在を考えると数字に大意はない(大人と子供で購入性向は大きく異なるにも関わらず、それらをまとめて計算してしまう)のだが、一応二人以上世帯では「一人当たり」も(平均世帯構成人数から)算出して、グラフを併記しておく。

↑ 2016年における単身・二人以上世帯の月次「世帯当たり」平均支出金額(総務省統計局発表)(二人以上世帯・平均構成人数2.99人)
↑ 2016年における単身・二人以上世帯の月次「世帯当たり」平均支出金額(総務省統計局発表)(二人以上世帯・平均構成人数2.99人)

↑ 2016年における単身・二人以上世帯の月次「一人当たり」平均支出金額(総務省統計局発表)(二人以上世帯・平均構成人数2.99人)
↑ 2016年における単身・二人以上世帯の月次「一人当たり」平均支出金額(総務省統計局発表)(二人以上世帯・平均構成人数2.99人)

購入頻度は「新聞」では単身世帯が上だが、「雑誌・週刊誌」などは多少ながらも二人以上世帯の方が上。しかし金額面では単身世帯の方が上の結果が出てしまった。一人当たりの計算では当然、しかも差異が開く形で単身世帯の方が上になる。

これは二人以上世帯の紙媒体離れと、単身世帯の(高齢化による比率相対的な)購入額の積み上げが同時に起きた結果といえる。



「新聞は単身世帯の方が購入頻度が高い。さらに高齢者の増加に伴い購入される割体が増える傾向にある」「雑誌や週刊誌、書籍では世帯単位の購入頻度は二人以上世帯の方が上」「単身世帯における新聞以外は一様に紙媒体離れが起きている」など、業界を取り巻く現状・環境の再確認ができたことになる。

今後他調査などで各業界の動向を精査する際にも、今回の結果が役に立つに違いない。


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