一人暮らしと夫婦世帯との間の「週刊誌や雑誌、書籍の支出額」の違いをグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(最新)

2018/03/08 05:08

2018-0307先に【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編)・総世帯版)】において、「二人以上の世帯」と「一人暮らしの世帯(単身世帯)」を合わせた「総世帯」、つまり全部の世帯における、「新聞や雑誌、書籍などの購入度合い」を検証した。今回は「二人以上の世帯」「単身世帯」それぞれ別個の紙媒体の購入頻度や購入額の違いを、2018年2月16日に年次データが更新され直近分となる2017年分が反映された【家計調査報告(家計収支編)】の内容を元に、精査していくことにする。

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単身世帯の新聞購入率は2/3足らず


データの取得元だが、場所は【家計調査(家計収支編)調査結果】で先の記事と同じ。そのページにある「4.詳細結果表」の項目から、「二人以上の世帯」「単身世帯」それぞれ別個について、やはり同じように「購入世帯頻度」と「支出金額」を確認する。今回は収録されている年次データのうち、先日更新されたばかりの一番新しいもの、2017年分を用いる。

グラフ中などで使われている「購入(世帯)頻度」とは、世帯単位での購入頻度を指す。例えば構成員の誰かが特定期間に2回雑誌を購入すれば、その世帯の該当期間における購入頻度は200%。非購入世帯も含めての平均値であることに注意。また、単身世帯は当然構成員が世帯主一人しかいないので、本人のみの購入が計測されることになる。例えば単身世帯で月に4回(≒毎週)週刊誌を購入していれば、その世帯の雑誌購入頻度は400%となる。

まずは月次購入頻度。今グラフに関しては「世帯単位での動き」であることに注意。単身世帯は上記にある通り本人自身のみ、そして二人以上世帯は夫か妻の片方どちらか、さらには子供が購入しても(子供の小遣いによる調達までは「家計」にカウントしきれていないので、あくまでも「世帯全体のお財布から買った」もののみとなるが)「購入世帯」として該当する。

↑ 単身・二人以上世帯の月次購入頻度(2017年、世帯あたり)
↑ 単身・二人以上世帯の月次購入頻度(2017年、世帯あたり)

新聞は前回年の2016年では単身世帯が二人以上世帯よりも高い値を示していたが、今回年では二人以上世帯が上回る結果が出てしまった。高齢層単身世帯の増加による単身世帯の購入率の底上げ以上に、若年層の新聞離れが進んでいるようだ。「雑誌・週刊誌」「書籍」は単身世帯の方が高い。世帯の可処分所得のうち自身の趣味に投じる割合を自由に采配できるのが、数字となって表れているのだろう。

「二人以上世帯は単身世帯と比べて、購入する機会を持つ人が2倍以上(少なくとも夫婦)なのだから、購入頻度も2倍ぐらいの差が出る形で二人以上世帯の方が高くなるのでは」との意見もあるに違いない。その考え方は一理ある。しかしいずれの媒体においても、両種類世帯間で差異はさほど大きなものでは無い。前年比を算出すると、それぞれの世帯でどのような変化が起きたのかが分かる。

↑ 単身・二人以上世帯の月次購入頻度(2017年、世帯あたり)(前年比)(ppt)
↑ 単身・二人以上世帯の月次購入頻度(2017年、世帯あたり)(前年比)(ppt)

紙媒体が苦境の中にあるのは複数の調査結果から明らかにされているが、今件でもそれが表れる内容となっている。二人以上世帯では全項目でマイナス。とはいえ、最大の下げ幅の「雑誌・週刊誌」でもマイナス3.7%ポイントに留まっており、正直なところ誤差の範囲。他方、単身世帯では「雑誌・週刊誌」「書籍」がそれぞれ1割前後の上昇を示しており、明らかに購入頻度が底上げされた雰囲気を示す一方で、新聞は実に20%ポイント近い下げ。単身世帯でも高齢者が増える昨今では、むしろプラス化してもおかしくは無いのだが、ここまでの下げ幅は特筆に値する。詳しくは後ほど検証するが、高齢層増加による影響以上に、若年層の新聞離れが、全体値を下げていると判断できる。

高齢層が新聞好きなのはよく知られている話だが、単身世帯では特にその傾向が強い。実際、2017年における単身世帯でその年齢階層別の新聞購入金額を見ると(年齢階層別購入性向のデータは公開されていないので、購入者・非購入者を合わせた平均購入額から購入動向を推測するしか無い。また新聞単価そのものは種類によって大きな違いは無い)、若年層と高齢層との間で新聞購入への姿勢に大きな違いがあるのが分かる。

↑ 単身世帯・年齢階層別・月次平均支出金額(2017年、新聞)(円)
↑ 単身世帯・年齢階層別・月次平均支出金額(2017年、新聞)(円)

34歳までの単身世帯では、月に新聞へは200円強しか支出していない。ちなみに前回年となる2016年では約311円を計上しており、実に1年間で1/3ほども支出が減った計算になる。それだけ購入者率≒購入世帯頻度が減ったと考えれば、単身世帯全体としての購入世帯頻度が大きく減ったのも納得は行く。

ちなみに全体的な構成比率を反映することになる、家計調査における単身世帯での抽出率調整後の世帯分布を見ると、高齢層は増加の一途をたどっている。

↑ 単身世帯・年齢階層別・世帯数分布(抽出率調整)
↑ 単身世帯・年齢階層別・世帯数分布(抽出率調整)

新聞をよく読む高齢層の回答者数比率が増えれば、(二人以上世帯も合わせた)新聞全体としての購入性向が減っていたとしても、単身世帯の購入世帯頻度の値が前年比でプラスとなる結果が出ても何ら不思議では無い。それゆえに、2017年に生じた単身世帯全体としての「新聞」の購入世帯頻度の大きな減少をもたらした若年層の新聞離れ現象は、大きな動きであることが改めて認識できる次第ではある。

金額ベースで動きを見てみよう


この動きを金額ベースで見たのが次のグラフ。子供の存在を考えると数字に大意は無い(大人と子供で購入性向は大きく異なるにも関わらず、それらをまとめて計算してしまう)のだが、一応二人以上世帯では「一人あたり」も(平均世帯構成人数から)算出して、グラフを併記しておく。

↑ 単身・二人以上世帯の月次「世帯あたり」平均支出金額(2017年、二人以上世帯・平均構成人数2.98人)(円)
↑ 単身・二人以上世帯の月次「世帯あたり」平均支出金額(2017年、二人以上世帯・平均構成人数2.98人)(円)

↑ 単身・二人以上世帯の月次「一人あたり」平均支出金額(2017年、二人以上世帯・平均構成人数2.98人)(円)
↑ 単身・二人以上世帯の月次「一人あたり」平均支出金額(2017年、二人以上世帯・平均構成人数2.98人)(円)

購入頻度は単身世帯の方が上だった。そして金額面でも単身世帯の方が上の結果が出ている。一人あたりの計算では当然、しかも差異が開く形で単身世帯の方が上になる。二人以上世帯の紙媒体離れだけで無く、単身世帯の(高齢化による比率相対的な)購入額の積み上げが同時に起きているのだろう。



「新聞は二人以上世帯の方が購入世帯頻度が高い」「単身若年層世帯で大規模な新聞離れが生じている」「二人以上世帯では総じて穏やかながらも紙媒体離れが進んでいる」「単身高齢世帯の増加に伴い、単身世帯全体としての紙媒体の購入性向の底上げの可能性がある」など、業界を取り巻く現状・環境の再確認ができたことになる。

今後他調査などで各業界の動向を精査する際にも、今回の結果が役に立つに違いない。


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