一人暮らしと夫婦世帯との間の「雑誌や書籍の支出金額」の違い(家計調査報告(家計収支編))(最新)

2022/02/15 03:16

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2022-0209先に【雑誌や書籍の支出金額(家計調査報告(家計収支編)・総世帯版)】において、「二人以上の世帯」と「一人暮らしの世帯(単身世帯)」を合わせた「総世帯」、つまり全部の世帯における、「新聞や雑誌、書籍などの購入度合い」を検証した。今回は「二人以上の世帯」「単身世帯」それぞれ別個の紙媒体の購入頻度や購入額の違いを、2022年2月8日に年次データが更新され直近分となる2021年分が反映された【家計調査報告(家計収支編)】の内容から、精査していくことにする。

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単身世帯の新聞購入率は約6割


データの取得元だが、場所は【家計調査(家計収支編)調査結果】で先の記事と同じ。そのページにある「4.詳細結果表」の項目から、「二人以上の世帯」「単身世帯」それぞれ別個について、やはり同じように「購入世帯頻度」と「支出金額」を確認する。今回は収録されている年次データのうち、先日更新されたばかりの一番新しいもの、2021年分を用いる。

グラフ中などで使われている「世帯購入頻度」とは、世帯単位での購入頻度を指す。例えば構成員の誰かが特定期間に2回雑誌を購入すれば、その世帯の該当期間における世帯購入頻度は200%。非購入世帯も含めての平均値であることに注意。また、単身世帯は当然構成員が世帯主一人しかいないので、本人のみの購入がカウントされることになる。例えば単身世帯で月に4回(≒毎週)雑誌を購入していれば、その世帯の雑誌の世帯購入頻度は400%となる。

まずは月次の世帯購入頻度。今グラフに関しては「世帯単位での動き」であることに注意。単身世帯は上記にある通り本人のみ、そして二人以上世帯は夫か妻の片方どちらか、さらには子供が購入しても(子供の小遣いによる調達までは「家計」にカウントしきれていないので、あくまでも「世帯全体のお財布から買った」もののみとなるが)購入世帯として該当する。

↑ 単身・二人以上世帯の世帯購入頻度(月あたり、種類別)(2021年)
↑ 単身・二人以上世帯の世帯購入頻度(月あたり、種類別)(2021年)

2021年では雑誌以外で二人以上世帯の方が高い値が出ている。雑誌では単身世帯の方が高いが、これは単身世帯の方が世帯の可処分所得のうち自身の趣味に投じる割合を自由に采配できる割合が高いからだろう。

「二人以上世帯は単身世帯と比べて、購入する機会を持つ人が2倍以上(少なくとも夫婦)なのだから、世帯購入頻度も2倍ぐらいの差が出るはず。そこまでいかなくとも、二人以上世帯の方が高くなるのは当然」との意見もあるに違いない。その考え方は一理ある。しかしいずれの媒体においても、両種類世帯間で差異はさほど大きなものではない。一方で前年比を算出すると、それぞれの世帯でどのような変化が起きたのかが分かる。

↑ 単身・二人以上世帯の世帯購入頻度(月あたり、前年比、種類別、ppt)(2021年)
↑ 単身・二人以上世帯の世帯購入頻度(月あたり、前年比、種類別、ppt)(2021年)

紙媒体は苦境の中にあるが、新型コロナウイルス流行により在宅時間が増えたため、時間を費やすための手段として購入する人が増えたとの指摘がある。今件の値を見ると、単身世帯でその影響が生じたような結果が出ている。特に雑誌と書籍において、顕著な増加が確認できる。二人以上世帯では減少しているが、誤差の範囲と解釈できるレベルではある。

なお単身世帯の約6割が新聞を月ぎめで購読している計算になるが、この値を高いと思う人がいるかもしれない。これは高齢者比率の影響によるものの可能性がある。高齢層が新聞好きなのはよく知られている話だが、単身世帯では特にその傾向が強い。実際、2021年における単身世帯でその年齢階層別の新聞への支出金額を見ると(年齢階層別の世帯購入頻度のデータは公開されていないので、購入者・非購入者を合わせた支出金額から購入性向を推測するしかない。また新聞単価そのものは種類によって大きな違いはない)、若年層と高齢層との間で新聞購入への姿勢に大きな違いがあるのが分かる。

↑ 単身世帯支出金額(新聞、月あたり、年齢階層別、円)(2021年)
↑ 単身世帯支出金額(新聞、月あたり、年齢階層別、円)(2021年)

単身世帯では34歳までの場合、新聞には月に94.8円しか支出していない。他方60歳以上は2199.0円。65歳以上に区切るとさらに金額が上乗せされるため、より高齢になるに連れて新聞への支出金額が上乗せされることは容易に想像できる。

ちなみに家計調査における単身世帯での抽出率調整後の世帯分布を見ると、高齢層はおおよそ増加の一途をたどっている。ここ数年は横ばい、さらにわずかだが減少にすら転じているようだが。

↑ 単身世帯・世帯数分布(抽出率調整、年齢階層別)
↑ 単身世帯・世帯数分布(抽出率調整、年齢階層別)

新聞をよく読む高齢層の回答者数比率が高ければ、単身世帯全体の世帯購入頻度の値が高いものとなっていても何ら不思議ではない。

金額ベースで動きを見てみよう


この動きを金額ベースで見たのが次のグラフ。子供の存在を考えると数字に大意は無い(大人と子供で購入性向は大きく異なるにもかかわらず、それらをまとめて計算してしまう)のだが、一応二人以上世帯では「一人あたり」も(平均世帯構成人数から)算出して、グラフを併記しておく。

↑ 単身・二人以上世帯の支出金額(月あたり、種類別、円)(2021年)
↑ 単身・二人以上世帯の支出金額(月あたり、種類別、円)(2021年)

↑ 単身・二人以上世帯の支出金額(月あたり・一人あたり、種類別、円)(2021年)
↑ 単身・二人以上世帯の支出金額(月あたり・一人あたり、種類別、円)(2021年)

世帯単位では金額面でも二人以上世帯の方が上との結果が出ている(ただし他の印刷物では単身世帯の方がわずかだが高い値となっている)。だが一人あたりの計算では当然のことながら単身世帯の方が上になる。二人以上世帯の紙媒体離れだけでなく、単身世帯の(高齢化による比率相対的な)購入額の積み上げが同時に起きているのだろう。二人以上世帯の平均世帯人数は2.93人のため、仮に子供がまったく紙媒体を購入しなかったとしても、単身世帯と二人以上世帯で一人あたりの支出金額に2倍以上もの差が出るはずはない。



「二人以上世帯の方がおおよそ世帯購入頻度は高い」「世帯の種類を問わずに新聞や雑誌離れが進んでいる」「単身世帯では新型コロナウイルス流行による環境変化が影響した可能性がある」など、業界を取り巻く現状・環境の再確認ができたことになる。

今後他調査などで各業界の動向を精査する際にも、今回の結果が役に立つに違いない。


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