週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編)・総世帯版)(2016年)(最新)

2016/03/10 12:39

先行する記事【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))】において、2016年2月16日に2015年分までの年次データが更新された【家計調査報告(家計収支編)】を元にした記事展開を行った。これらの結果は基本的に「二人以上の世帯」のもので、一人暮らしの世帯(単身世帯)の動きは反映されていない。そして両世帯種類間では消費性向に小さからぬ違いがある。そこで今回は双方の世帯から構成される「市場全体の動向」を明確に把握するため、「総世帯」(二人以上世帯+単身世帯)で先の記事同様の「新聞や雑誌、書籍などはどの程度買われているのか」の移り変わりを調べることにした。

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全世帯での新聞購入率は83.1%、雑誌や週刊誌は36.3%


データの取得元だが、場所は【家計調査(家計収支編)調査結果】で先の記事と変わらない。そこから「詳細結果表(年)」「e-Stat」「総世帯 <品目分類>1世帯当たり品目別支出金額/10.年間収入五分位階級別/総世帯・勤労者世帯」を選択する。そのファイルの中央やや下部、ナンバリングは無いが横軸で564行目あたりの「書籍・他の印刷物」から、該当項目の値を抽出していく。

ただし「総世帯」では「購入世帯数」の結果は無いので、「購入世帯頻度」と「支出金額」のみを見て行く。構成する世帯は二人以上世帯と単身世帯の双方であり、個々の世帯構造が違うので、世帯数をまとめて数えても意味が無いと判断したと考えられる。

なお「世帯購入頻度」は世帯単位での購入頻度。例えば構成員の誰かが特定期間に2回雑誌を購入すれば、その世帯の該当期間における購入頻度は200%になる。非購入世帯も含めての計算であることに注意。

まずは直近データの2015年分について概要を。主要項目の「購入世帯頻度」と「平均支出額」、さらに「一人当たり」の金額(世帯購入が常な新聞購読は、その特殊形態のために省略)をグラフ化したのが次の図。

↑ 2015年における総世帯の平均支出金額・購入世帯頻度(総務省統計局発表)(月次換算)
↑ 2015年における総世帯の平均支出金額・購入世帯頻度(総務省統計局発表)(月次換算)

↑ 2015年における総世帯の”一人当たり”平均支出金額(総務省統計局発表)(月次換算)
↑ 2015年における総世帯の”一人当たり”平均支出金額(総務省統計局発表)(月次換算)

二人以上世帯と単身世帯を合わせた、均した上での平均ではあるが、新聞、雑誌・週刊誌、書籍、その他印刷物いずれも100%を割り込んでおり、一か月の間に一冊・一部も購入していない世帯が相当数存在することが分かる。「2世帯に1世帯」の目安は50%だが(仮に購入世帯が1か月あたり1回のみ購入したと仮定した上での話)、新聞以外はすべてその目安すら割り込んでいる。

新聞は月当たりの購入性向だが、それでも8割強に留まっている。全世帯の1割強は新聞を一切購入していない形。なおデジタル系新聞は「電子新聞」に該当し、別項目「889 他の教養娯楽 サービスのその他」に計上されるため、今件では含まれていない。電子化シフトも一部は新聞購入離れに影響しているものと考えられる。

前年分となる2014年次の数字と比べると、すべての項目で購入頻度・支出金額共に下落している。例えば新聞は購入頻度で1.5%ポイント減、金額で71円減。雑誌・週刊誌は5.2%ポイント減・43円減、書籍は2.8%ポイント減・32円減。特に雑誌・週刊誌の下げ幅が著しい。

継続的に減少する購入頻度と支出額


これら書籍・他の印刷物に対する「購入世帯頻度」「支出額」の推移を、e-stat上から直接取得できる2002年以降のものにつき、時系列で再整理してグラフ化したのが次の図。

↑ 総世帯の書籍・他の印刷物への平均購入頻度(総務省統計局発表)(月次)
↑ 総世帯の書籍・他の印刷物への平均購入頻度(総務省統計局発表)(月次)

↑ 総世帯の書籍・他の印刷物への平均支出金額(総務省統計局発表)(月次、円)
↑ 総世帯の書籍・他の印刷物への平均支出金額(総務省統計局発表)(月次、円)

新聞の平均購入頻度は2002年の時点で100%を超えていた。自宅に投函してもらうタイプは「1か月分の契約」で1購入と計算するので、すべての世帯が定期購読しているのに加え、スタンドや駅売店で購入して家計に計上した人も相当数居たことになる。それが2015年には83.1%。ほぼ20%ポイントの下落。2012年以降下落傾向が一時的にストップし、2013年から2014年にかけては上昇の動きすら見られるが、これは2011年の震災で新聞の存在意義が見直されたことに加え、新学習指導要領において新聞が教材の選択肢の一つとして挙げられたことが要因として考えられる(【「中学校等の新学習指導要領の全面実施に当たって」(文部科学大臣からのメッセージ)について(通知)】)。しかしながらそれらの効用も、直近2015年では消え失せてしまったようだ。

「書籍」はやや減少具合がゆるやかだが、減っていることに違いは無い。他方「雑誌・週刊誌」は減退幅が大きいのが分かる。今や総世帯の6割以上が、「月に一冊も雑誌や週刊誌を買っていない」状態。当然平均購入金額も漸減状態。

今回のグラフからは、いわゆる「メディアのターニングポイント」とされる2005年前後(携帯電話、インターネットの世間一般への普及が始まった時期)より前、少なくとも今回データが取得できた2002年時点から、主要紙媒体の購入性向の減退が起きている事実、そして「雑誌・週刊誌」や「書籍」は多分に景気変動にも影響を受けやすい実態を知ることができる。大勢としては「二人以上世帯」と変わりがない。

また直近となる2015年分も含めたここ数年の動向を見ると、購入頻度の視点で「雑誌・週刊誌」と「書籍」とが競り合い、差が開いた2011年以降、その動きが継続して拡大しているのが分かる。「書籍」よりも「雑誌・週刊誌」を買う人が少なくなったのは2008年、そして2011年以降は連続した形となる。タイミング的には震災がきっかけで、現状の低迷感に拍車がかかった形となる。無論、震災が直接影響したか否かの証拠は無く、単にタイミングが一致した可能性も多分にある。

「雑誌・週刊誌」の急速な低迷ぶりは、「すき間時間向けの媒体」「読み捨て感が強い」との観点でライバルとなる、モバイル端末、とりわけスマートフォンの浸透普及が加速度的に進んでいるのも一因と断じて良い。書籍は何度となく読み返し、読み終えた後も手元に残しておく場合が多い。しかし雑誌は一度や二度の読み返しで終わり、書籍のように長期間保存する事例は少ない(精々新聞と共に山積みされ、溜まった時点でちり紙交換行きとなるぐらい)。いわゆる「読みっぱなし」の時間消費との観点ではより注力度の高い、そして総じて低コストなモバイル端末にその座を奪われた形である。



今件記事では市場全体により近い動きを知るために、「総世帯」として「二人以上世帯」「単身世帯」の双方を合わせた値で色々と吟味した。しかし世帯単位での消費性向が異なる両者には、興味深い違いも確認できる。その点については機会を改めてメスを入れる予定。つまり、一人暮らしと二人以上(夫婦)世帯との間の「週刊誌や雑誌、書籍の支出額」の違いをグラフ化した記事の更新も行う次第である。


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