学歴別の平均賃金をグラフ化してみる(最新)

2019/04/13 05:23

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2019-0403親はえてして子供に「よい学校に入りなさい」と教えさとし、勉学に励ませ、有名な学校への進学を推し進める。これは「高学歴ほどよい会社に入れ、高い給金をもらえる」のような、世間一般的に語られている価値観に基づいた方針によるもの。人の価値観は多様なため、何を「よい」の判断基準にするかはケースバイケースとなるが、「高学歴ほどよい学校」との認識が大勢を占めていることに違いは無い。それでは本当に、高学歴ほどもらえる給金は多いのだろうか。厚生労働省が2019年3月29日に発表した、賃金関連の情報をまとめた調査「賃金構造基本統計調査」の最新版となる調査結果【平成30年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】をもとに、学歴と賃金との関係を確認していくことにする。

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高学歴ほど高賃金に違い無し


今回検証する「賃金構造基本統計調査」内の賃金は「賃金(所定内給与額)」と呼ばれているもの。これは各企業の規定などで定められている方法・条件によって支給された現金給与額から、超過労働給与額(残業代)や賞与などを除き、さらに所得税などを控除する前の額を指す。要は基本給に家族手当などを足したものである。

また対象としているのは「一般労働者」のみ。契約社員や派遣社員などのような非正規社員もフルタイム労働者なら該当するが、パートやアルバイトのような就労時間が短い労働者は(「短時間労働者」に該当するため)今件精査からは除外される。

↑ 雇用形態関連の分類。今件記事では「一般労働者」をチェックする
↑ 雇用形態関連の分類。今件記事では「一般労働者」をチェックする

まずは2018年における学歴別・男女別の平均賃金。

↑ 学歴別・男女別平均賃金(千円)(2018年)
↑ 学歴別・男女別平均賃金(千円)(2018年)

他の区分方法同様、どの学歴でも女性よりも男性の方が平均賃金は高い。また学歴が高い方が、全般的には賃金も高い傾向がある。この結果を見る限り、高学歴ほど高賃金に間違いは無い。

先行記事にある通り、2018年は前年と比べて「賃金(所定内給与額)」の水準が男女ともに上昇している。学歴別で見ると、女性の大学・大学院卒以外では押しなべて上昇している、特に高専・短大卒において上昇幅が大きかったことが分かる。

↑ 学歴別・男女別平均賃金(前年比、比率)(2018年)
↑ 学歴別・男女別平均賃金(前年比、比率)(2018年)

↑ 学歴別・男女別平均賃金(前年比、金額、千円)(2018年)
↑ 学歴別・男女別平均賃金(前年比、金額、千円)(2018年)

年齢階層別に動向を詳しく見ると、「男性就業者では新卒や、早期退職制度の適用や定年退職などでの再雇用組と思われる層の賃金引上げ」「女性就業者ではほぼ全体的に押しなべて賃金引き上げが生じている。ただし高齢層では早期退職制度の適用や定年退職などで離職後に低賃金水準での再雇用が生じている」と判断できる動きが確認できる。

ただし女性60代後半の大学・大学院卒は回答数そのものが少なくイレギュラーが生じやすいため、前年比でも特異な値が生じやすい。前年ではプラス19.9%という突出した値が出ており、その反動によるもの。

↑ 学歴別・年齢階層別平均賃金(前年比、比率、男性)(2018年)
↑ 学歴別・年齢階層別平均賃金(前年比、比率、男性)(2018年)

↑ 学歴別・年齢階層別平均賃金(前年比、比率、女性)(2018年)
↑ 学歴別・年齢階層別平均賃金(前年比、比率、女性)(2018年)

リーマンショック後に縮小の気配が見られた「大学プレミアム」だが、2014年以降は復活の動きがある。直近の2018年でも前年比はともかく賃金そのものに限れば、健在であることが分かる。

年齢階層別の動向を確認していくと


学歴別に年齢階層別の賃金推移を追うと、興味深い傾向が見られる。

↑ 学歴別平均賃金(男性、各学歴で20代前半を100とした時の値)(2018年)
↑ 学歴別平均賃金(男性、各学歴で20代前半を100とした時の値)(2018年)

↑ 学歴別平均賃金(女性、各学歴で20代前半を100とした時の値)(2018年)
↑ 学歴別平均賃金(女性、各学歴で20代前半を100とした時の値)(2018年)

それぞれの学歴でもっとも高い値の背景色を変えている。今グラフの値は各学歴の20代前半の額を100とした場合のものであり、金額の絶対額には左右されない。それでもやはり男性の方が数字が大きい。これは男性の方が昇給の割合が大きい・一般労働者における正規社員比率が高いことを意味する(正規社員の方が非正規社員と比べれば概して賃金は高い)。

年を重ねることに伴う賃金の上昇だが、

・女性より男性の方がカーブが急こう配。つまり、年功序列制度による昇給の度合いが大きい(縦軸の区分は男性の方が大きな区切りだが、それでも図版上の勾配は男性が上となる)。

・男女とも高学歴の方がカーブが急こう配。高学歴の方が年を取るに連れて生じる給与の増加率が大きい(学歴・取得知識の実態効果の差が生じている)。

・男性は50代前半が賃金のピーク。それ以降減少するのは嘱託に転じる人、再雇用で就労する人が増えるため。

・女性も50代前半が賃金のピーク。他方、高校卒や高専・短大卒は賃金上昇の度合いは緩やかなこともあり、20代前半と比べても5割増しにすら届いていない。

などの傾向が確認できる。男女の正規社員・非正規社員の区分や出世のスピードなどの違いも要因だが、「平均賃金」の視点で確認した場合、絶対額だけで無く上昇率(昇給率)においても、女性は男性と比べて低く抑えられているのが分かる。



男性か女性かは生まれながらのもの。しかし学歴は個々の努力や運など後発的な要素によるところが大きく、「生まれながらの運命」的要素はあまり無い(家庭環境などの問題はある)。そしてやり甲斐や社会的意義はもちろんのこと、その他さまざまな要素が「仕事」には存在するが、「賃金」もその一つに違いは無い。まずは失職しないのが大前提なものの、同一条件下なら学歴が高い方が賃金も高くなる傾向にある。もちろん同じ仕事内容なら、賃金は高い方がありがたい。

学歴を得るためにはそれ相応の勉学を積み重ね、知識を吸収する必要がある。その過程で人脈も技術も資格も自分のものとして取得する機会が得られる。「学歴偏重」を賛美するわけでは無いが、「学歴」が社会に、そして自分自身にもプラスとなる「勲章」「証明」だと考えれば、それらに注目することはおかしい話では無い。

学生時の勉学によって得られるのは「将来のための選択肢」であり、それは多ければ多いほど、よりよいものを選ぶチャンスが増えることになる。今件データも、それを裏付けるものに過ぎない。


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