正規社員と非正規社員の賃金差は?…雇用形態別の平均賃金をグラフ化してみる(最新)

2018/03/04 05:06

社会現象としてクローズアップされつつある非正規社員の増加問題。その非正規社員を正(規)社員(正社員・正職員)と比べた際に、もっとも大きな違いは賃金にある。実態として正規社員・非正規社員間の賃金の差異はどれほどなのだろうか。厚生労働省が2018年2月28日に発表した、賃金関連の情報をまとめた調査「賃金構造基本統計調査」の最新版に該当する調査結果【平成29年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】を基に関連データを抽出し、各種切り口から現状を掌握してみることにする。

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非正規社員の賃金は正規社員の6割台後半


今調査における労働者の区分や「賃金(所定内給与額)」の定義は、先行記事【フルタイムの平均賃金は30万4300円・前年比でプラス0.1%(最新)】で詳しく解説した通り。今回スポットライトを当てる「正規社員」「非正規社員」の区分だが、後者は前者以外、具体的には契約社員・派遣社員・嘱託を指す。また今回は「一般労働者」、つまりフルタイム勤務の労働者を精査対象としており、パートやアルバイトに代表される短時間、あるいは限定日数での就労タイプ(短時間労働者)は該当しない。

↑ 雇用形態関連の分類。今件記事では「一般労働者」のうち「正社員・正職員」と「正社員・正職員以外」の違いをチェックする
↑ 雇用形態関連の分類。今件記事では「一般労働者」のうち「正社員・正職員」と「正社員・正職員以外」の違いをチェックする


まずは2017年における雇用形態別・男女別の平均賃金。

↑ 雇用形態・男女別平均賃金(2017年、千円)
↑ 雇用形態・男女別平均賃金(2017年、千円)

当然の結果ではあるが、正規社員の方が賃金は高い。非正規社員の賃金は正規社員に比して、男性で2/3強、女性で7割強。

失業率の面では2016年と比べて改善が見られた労働市場(【日本の学歴・年齢階層別失業率をグラフ化してみる(最新)】)だが、賃金の上では男女で大きな差が生じている。もっとも大きな上昇率を示したのは女性正規社員・非正規社員双方で、前年比0.6%の上昇となる。色塗りの都合によりやや見え難いものとなっているが、左側・太枠表示が正社員・正職員(正規社員)、右側・枠線無し表示が正社員・正職員以外(非正規社員)である。

↑ 雇用形態・男女別平均賃金(2017年、前年比)
↑ 雇用形態・男女別平均賃金(2017年、前年比)

前回年の2016年分でも似た傾向が出ていたが、2017年ではより明確に女性優遇の結果が数字となって表れている。1%以内の動きであり、誤差の範囲とも解釈できるが、2017年は女性就業希望者にとって、少なくとも賃金の点では、正規・非正規を問わずに恵まれた年だったことになる。

男女で異なる年齢階層・雇用形態別賃金動向


続いてこれらを男女それぞれ、正規社員・非正規社員別に年齢階層での動向を見たのが次のグラフ。

↑ 雇用形態別平均賃金(男性、千円、年齢階層別)(2017年)
↑ 雇用形態別平均賃金(男性、千円、年齢階層別)(2017年)

↑ 雇用形態別平均賃金(女性、千円、年齢階層別)(2017年)
↑ 雇用形態別平均賃金(女性、千円、年齢階層別)(2017年)

↑ 雇用形態・年齢階層別平均賃金(2017年)(対前年増減率)
↑ 雇用形態・年齢階層別平均賃金(2017年)(対前年増減率)

男女とも非正規社員の賃金は歳を経てもほぼ横ばいで、大きな差異は生じない。作業が比較的単純で、就業上経験の蓄積も考慮されない場合が多い、つまり正規社員における「社内でのさまざまな実績・経験による積み上げ」が非正規社員には(少なくとも賃金面では)生じ得難いことが原因。特に女性は30代後半がピークとなっている。特殊な技術・資格を持ち、それこそ「渡りの職人」のような立場なら話は別だが、普通の非正規社員には正規社員と同じような「積上げによる賃金のかさ上げ」を期待できず、結果として賃金もそれ相応のものに落ち着いてしまう現実が、グラフのカーブ具合に現れている。

また前年比で見ると、2017年は「20代は大よそ上昇」「30代は30代前半の男性を除けば大よそ下落」「40代以降は大よそ男性が下落、女性が上昇」などの傾向が見受けられる。ただし女性高齢層での一部の大幅な上昇は、前年の下落の反動によるところもある。

「非正規社員に『社内でのさまざまな実績・経験による(賃金の)積み上げ』を求めない、求められない」動きは、業務・事業が細分化・広大化している大企業ほどその傾向が強い。企業の構成人数が多いほど、個人では「オールマイティな能力」よりも「企業全体を正しく動かす部品の一つ」「歯車」であることが求められる。結果として正規社員と非正規社員の賃金の格差も、大企業になるほど大きくなる。

↑ 雇用形態別賃金格差(同属性正社員・正職員を100とした場合の、正社員・正職員以外の賃金)(2017年)
↑ 雇用形態別賃金格差(同属性正社員・正職員を100とした場合の、正社員・正職員以外の賃金)(2017年)

【49.5%は「非正規社員になりたくない」、「でも自分もなるかも」は29.4%…募る新成人の非正規就労への不安】でも解説した通り、若年層における非正規就労(つまり非正規社員化)への不安は大きい。その原因の一端を、一連の賃金グラフが示す実態から知ることができる。そして賃金の面で不安が高まれば、当然将来への不安も増加し、消費を避けざるを得ない(さらに雇用の継続性の不安もある)。現状が厳しくとも将来に金銭的な余裕が期待できれば、ローンを組むなりの工夫も凝らせる。しかし上記グラフにある通り、非正規社員の立場では歳を経ても賃金の上昇は期待できず、ローンなど論外、消費を抑えざるを得なくなる(そもそも雇用の継続性すら疑わしい非正規社員では、ローン自身が査定で落とされてしまいかねない)。

若年層に節約傾向が強く表れているのも、お金の余力が無く、将来にも金銭面ではあまり期待できないのが主要因。いわば自己防衛本能の現れ。自然な反応として消費をセーブにしているにも関わらず、鞭打つ形で若年層に消費を強要するのは無理話には違いない。


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