パートやアルバイトの時給相場は? 年齢別短時間労働者の平均賃金をグラフ化してみる(2017年)(最新)

2017/02/25 05:32

正社員をはじめとしたフルタイム出勤の労働者と異なり、パートやアルバイトのように1日の労働時間が短い、あるいは1週間あたりの労働日数が少ない労働者のことを「短時間労働者」と呼ぶ。この立ち位置にある就労者は概してフルタイムと比べ賃金は低く抑えられており、時給制が採用されている場合が多い。今回は厚生労働省が2017年2月22日に発表した、賃金関連の情報を集約した年ベースでの調査「賃金構造基本統計調査」の最新版にあたる調査結果【平成28年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】をもとに、短時間労働者の平均賃金について現状の分析を行っていく。

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今調査における労働者の区分や「賃金(所定内給与額)」は、先行記事の【フルタイムの平均賃金は30万4000円・前年比でプラスマイナスゼロ%(2017年)(最新)】で詳しく解説した通り。そのうち今回スポットライトを当てる「短時間労働者」は、定義の上では「同一事業所の一般の労働者より1日の所定労働時間が短い、あるいは1日の所定労働時間が同じでも、1週の所定労働日数が少ない労働者」を意味する。

例えば「就業日はフルタイムでの出勤だが、出勤日は週3日」「就業日は一般労働者と同じ平日すべてだが、午後のみの出勤」の場合は「短時間労働者」に該当する。また契約社員の大部分は正社員と同じ時間帯で働くことから「一般労働者」に該当し、今回の「短時間労働者」には該当しない。

パートやアルバイトの時給に関する話で良く取り上げられるのが、最低賃金制度と最低賃金法。詳しくは【厚生労働省の最低賃金制度に関する公式ページ「労働基準 > 賃金 > 最低賃金制度」】で確認してほしいが、都道府県別・産業別で時給単位の最低賃金を法的に定めたもの。例えば東京都の場合は時給932円(2016年10月時点)となっている。

さて、2016年時点での男女・年齢階層別の短時間労働者における平均賃金(時給)をグラフ化したのが次の図。全体では男性1134円、女性1054円。全体的に女性より男性の方がいくぶん高い金額である。

↑ 短時間労働者(パート・アルバイト)の年齢階級、性別1時間当たり賃金(2016年、円)
↑ 短時間労働者(パート・アルバイト)の年齢階級、性別1時間当たり賃金(2016年、円)

また、男性では40代まで上昇を続け、60代でも一部持ち上がりの機運を見せているが、女性は30代で頭打ちとなり、以後漸減している。男女別のパート・アルバイトの需要の違いにもよるが、歳を経るにつれて就業可能なパートなどの職種の、男女における違いの表れともいえる(同一業態での比較ではないことに注意。また仮に同一業態での比較においても、男女で就労内容は異なる場合が多い)。

前年2015年からの額面変移を見たのが次のグラフ。

↑ 短時間労働者(パート・アルバイト)の年齢階級、性別1時間当たり賃金(前年比増減)(2016年)
↑ 短時間労働者(パート・アルバイト)の年齢階級、性別1時間当たり賃金(前年比増減)(2016年)

具体的には「男女とも若年層と高齢層で上昇」「男性は若年層と高齢層で上昇、中堅層は大よそ下落」「女性はほぼ全年齢層で大幅に上昇、特に中堅層で大きな伸び」の動きが確認できる。男女問わずに若年層での伸びはファストフードやコンビニなどの小売り業における労働需要の拡大によるもの、中堅層の女性での大幅上昇はスーパーなどにおけるレジ担当をはじめとしたパート需要の拡大によるところが大きいと考えられる。また高齢層の上昇については早期退職制度の適用や定年退職で職を辞した人の、再雇用の動きによるものが多々あるのだろう。

さらに後述の産業別動向からは、工場などでの就労にも女性の進出が著しい状況が想像できる。女性の動向に限れば、労働力調査でも女性の中堅層以降の雇用状況の改善が確認されている。女性全般、特に中堅層以降において大きな労働市場の改善が成され、その影響が短時間労働者の賃金にも反映されたものと考えられる。

参考までに性別・主要産業別の平均賃金、及び去年からの変移(金額)を挙げておく。

↑ 短時間労働者の主な産業、性別1時間当たり賃金(円)(2016年)
↑ 短時間労働者の主な産業、性別1時間当たり賃金(円)(2016年)

↑ 短時間労働者の主な産業、性別1時間当たり賃金(前年比、円)(2016年)
↑ 短時間労働者の主な産業、性別1時間当たり賃金(前年比、円)(2016年)

男性は卸売・小売業や宿泊・飲食サービス業がやや低めだが、それ以外は大よそ1150円で横並び。この低めの産業はいずれも人手不足の深刻化が叫ばれていることを思い起こせば、賃金水準がまだ労働需給状況の実情に追いついていないのが一因とも考えられる。女性では医療・福祉が飛びぬけているが、それ以外はほぼ横並び。業務の実情を考えれば、医療・福祉はこれでもまだ水準としては低い感はある。

前年比の動向では男性の運輸・郵便業の減少が目に留まる。飲食、小売同様に人手不足が伝えられる産業であるだけに、やや気になる動き。他方女性は医療・福祉が天井感はあるものの、それ以外は大よそ大きな上昇を見せている。特に製造業のプラス30円は大きく、上記で言及した「工場などでの就労にも女性の進出」を想起させるものではある。

なおこれらの値はあくまでも全国平均であり、地域によって差があること、さらには上記で触れている通り最低賃金法との兼ね合わせもある(今回の平均賃金は当然に最低賃金を上回っているが)ことを忘れてはならない。



雇われる側にとってパートやアルバイトの短所は「昇進・昇給が難しい(短中期的、ピンチヒッターのようなサポート的仕事が多いため)」「技術を習得するには向いていない(単純作業が多い、長期間勤めにくい)」「正社員と比べてリストラの対象になりやすい(法的保護の面で弱い)」「福利厚生の面で不利」などが挙げられる(同時に雇用主にとっては、機動性が高く経営リソースを短期的には節約できる労働力の確保との観点においてメリットとなる)。一方で「時間の自由が効きやすい」「技術・資格を問われにくく就業しやすい」などの長所がある。

昨今では【「派遣叩き」がもたらす現実……企業は「派遣を減らしパートやアルバイトを増やす」意向】で詳しく解説した通り、多分に無意味な「派遣叩き」が行われた結果、派遣業態はかつての勢いを無くし、一方でパートやアルバイトの求人は(条件の善し悪しを別にすれば)雇用する側におけるウェイトがますます増加しつつある。直近の2016年においては派遣業態の人はやや増加したものの、それをはるかに上回る形でパートやアルバイトの人員は増加している。また正規社員数も増加しており、雇用市場全体が活力を帯びている。

年齢階層別構成の変化、そして高齢者への雇用上での優遇措置が取られる一方、他の先進諸国同様に若年層の失業率の上昇が、社会問題化している。パートやアルバイトに逃げざるを得ない者も多く、その動きは必然的に社会的地位の不安定さ、さらには高齢フリーター問題にも発展しうる。今回掲示した各種データが、今後どのように変化していくのか。各要素を連動・リンクさせながら考えねばなるまい。


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