パートやアルバイトの時給相場は? 年齢別短時間労働者の平均賃金(最新)
2022/05/05 02:59


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今調査における労働者の区分や「賃金(所定内給与額)」は、先行記事の【フルタイムの平均賃金は30万7400円・前年比でマイナス0.1%(最新)】で詳しく解説した通り。そのうち今回スポットライトを当てる「短時間労働者」は、定義の上では「同一事業所の一般の労働者より1日の所定労働時間が短い、あるいは1日の所定労働時間が同じでも、1週の所定労働日数が少ない労働者」を意味する。
例えば「就業日はフルタイムでの出勤だが、出勤日は週3日」「就業日は一般労働者と同じ平日すべてだが、午後のみの出勤」の場合は「短時間労働者」に該当する。また契約社員の大部分は正規社員と同じ時間帯で働くことから「一般労働者」に該当し、今回の「短時間労働者」には該当しない。
パートやアルバイトの時給に関する話でよく取り上げられるのが、最低賃金制度と最低賃金法。詳しくは【厚生労働省の最低賃金制度に関する公式ページ「賃金 | 賃金引上げ、労働生産性向上」】で確認してほしいが、都道府県別・産業別で時給単位の最低賃金を法的に定めたもの。例えば東京都の場合は時給1041円(2021年10月時点)となっている。
さて、2021年時点での男女・年齢階層別の短時間労働者における平均賃金(時給)をグラフ化したのが次の図。全体では男性1631円、女性1290円。全年齢階層で女性より男性の方が高い金額である。

↑ 短時間労働者の1時間あたり賃金(年齢階層別・男女別、円)(2021年)
男性では30代後半まで大きく上昇した後は大体横ばい、50代後半から落ち始めるが、女性は20代後半でほぼ頭打ちとなり、30代後前半でもっとも高い値を示し、それ以降はほぼ年齢とともに漸減している。男女別のパート・アルバイトの需要の違いにもよるが、年を経るに連れて就業可能なパートなどの産業・職種の、男女における違いの表れともいえる(同一職種での比較ではないことに注意。また仮に同一の産業・職種での比較においても、男女で就労内容は異なる場合が多い)。
前年2020年からの額面変移を見たのが次のグラフ。

↑ 短時間労働者の1時間あたり賃金(前年比、年齢階層別・男女別)(2021年)
男女とも19歳以下と20代前半は大きなプラス、それ以外は男性で一部にプラスが見られるものの、おおよその属性でマイナス。単純に考えれば、2021年は短時間労働者に関しては若年層では人手不足、それ以外は人手の余剰が生じていたということなのだろう。
参考までに男女別・産業別の平均賃金を挙げておく。

↑ 短時間労働者の1時間あたり賃金(産業別・男女別、円)(2021年)
男性は金融業、保険業や教育、学習支援業、医療、福祉が飛び抜けて高い。それ以外は1000円台に収まっている。他方女性は教育、学習支援業が高めで、それ以外は1000円台。また、建設業や学術研究、専門・技術サービス業や教育、学習支援業などで男性との差が大きく開いている。一方で電気・ガス・熱供給・水道業などのように、男性よりも女性の方が高い値を示している産業もある。
なおこれらの値はあくまでも全国平均であり、地域によって差があること、さらには上記で触れている通り最低賃金法との兼ね合わせもある(今回の平均賃金は当然に最低賃金を上回っているが)ことを忘れてはならない。
雇われる側にとってパートやアルバイトの短所は「昇進・昇給が難しい(短中期的、ピンチヒッターのようなサポート的仕事が多いため)」「技術を習得するには向いていない(単純作業が多い、長期間勤めにくい)」「正規社員と比べてリストラの対象になりやすい(法的保護の面で弱い)」「福利厚生の面で不利」などが挙げられる(同時に雇用主にとっては、機動性が高く経営リソースを短期的には節約できる労働力の確保との観点においてメリットとなる)。一方で「時間の自由が効きやすい」「技術・資格を問われにくく就業しやすい」などの長所がある。
昨今では【「派遣叩き」がもたらす現実……企業は「派遣を減らしパートやアルバイトを増やす」意向】で詳しく解説した通り、多分に無意味な「派遣叩き」が行われた結果、派遣業態はかつての勢いを無くし、一方でパートやアルバイトの求人は(条件の善し悪しを別にすれば)雇用する側におけるウェイトがますます増加しつつある。
年齢階層別構成の変化、そして高齢者への雇用上での優遇措置が取られる一方、他の先進諸国同様に若年層の失業率の高さが、社会問題化している。パートやアルバイトで妥協せざるを得ない人も多く、その動きは必然的に社会的地位の不安定さ、さらには高齢フリーター問題にも発展しうる。今回掲示した各種データが、今後どのように変化していくのか。各要素を連動・リンクさせながら考えねばなるまい。
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