パートやアルバイトの時給相場は? 年齢別短時間労働者の平均賃金をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/02/24 10:43

パートやアルバイトのように、正社員をはじめとしたフルタイム出勤の労働者と異なり、1日の労働時間が短い、あるいは1週間あたりの労働日数が少ない労働者のことを「短時間労働者」と呼ぶ。この立ち位置にある就労者は概してフルタイムと比べ賃金は低く抑えられており、時給制が採用されている場合が多い。今回は厚生労働省が2016年2月18日に発表した、賃金関連の情報を集約した年ベースでの調査「賃金構造基本統計調査」の最新版にあたる調査結果【平成27年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】をもとに、短時間労働者の平均賃金について現状の分析を行っていく。

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今調査における労働者の区分や「賃金(所定内給与額)」は、先行記事の【フルタイムの平均賃金は30万4000円・前年比でプラス1.5%(2016年)(最新)】で詳しく解説した通り。そのうち今回スポットライトを当てる「短時間労働者」は、定義の上では「同一事業所の一般の労働者より1日の所定労働時間が短い、あるいは1日の所定労働時間が同じでも、1週の所定労働日数が少ない労働者」を意味する。

例えば「就業日はフルタイムでの出勤だが、出勤日は週3日」「就業日は一般労働者と同じ平日すべてだが、午後のみの出勤」の場合は「短時間労働者」に該当する。また契約社員の大部分は正社員と同じ時間帯で働くことから「一般労働者」に該当し、今回の「短時間労働者」には該当しない。

パートやアルバイトの時給に関する話で良く取り上げられるのが、最低賃金制度と最低賃金法。詳しくは【厚生労働省の最低賃金制度に関する公式ページ「労働基準 > 賃金 > 最低賃金制度」】で確認してほしいが、都道府県別・産業別で時給単位の最低賃金を法的に定めたもの。例えば東京都の場合は時給907円(2015年10月時点)となっている。

さて、2015年時点での男女・年齢階層別の短時間労働者における平均賃金(時給)をグラフ化したのが次の図。全体では男性1133円、女性1032円。全体的に女性より男性の方がいくぶん高い金額である。

↑ 短時間労働者(パート・アルバイト)の年齢階級、性別1時間当たり賃金(2015年)
↑ 短時間労働者(パート・アルバイト)の年齢階級、性別1時間当たり賃金(2015年)

また、男性では40代まで上昇を続け、60代でも一部持ち上がりの機運を見せているが、女性は30代で頭打ちとなり、以後漸減している。男女別のパート・アルバイトの需要の違いにもよるが、歳を経るにつれて就業可能なパートなどの職種の、男女における違いの表れともいえる。

前年2014年からの額面変移を見たのが次のグラフ。

↑ 短時間労働者(パート・アルバイト)の年齢階級、性別1時間当たり賃金(前年比増減)(2015年)
↑ 短時間労働者(パート・アルバイト)の年齢階級、性別1時間当たり賃金(前年比増減)(2015年)

具体的には「男性は30代まで、女性は大よそ全世代で上昇」「30代までは男性、それ以降は女性の方が上昇幅が大きい」「男性は40代以降は減退、ただし50代後半に限れば大幅増」の動きが把握できる。昨年同様に男性の50代前半以降で大幅な増加が起きているが、早期退職制度の適用や定年退職で職を辞した人の、再雇用の動きによるところが大きいものと思われる(その場合には経歴や技術を買われての再雇用となるため、通常の時短労働と比べ、賃金は高めとなる)。

また女性は中堅層以降でも高い値が継続しているが、労働力調査でも女性の中堅層以降の雇用状況の改善が確認されており、女性全般、特に中堅層以降において大きな労働市場の改善が成され、その影響が短時間労働者の賃金にも反映されたものと考えられる。

参考までに性別・主要産業別の平均賃金、及び去年からの変移(金額)を挙げておく。

↑ 短時間労働者の主な産業、性別1時間当たり賃金(円)(2015年)
↑ 短時間労働者の主な産業、性別1時間当たり賃金(円)(2015年)

↑ 短時間労働者の主な産業、性別1時間当たり賃金(前年比、円)(2015年)
↑ 短時間労働者の主な産業、性別1時間当たり賃金(前年比、円)(2015年)

男性は製造業とサービス業その他、女性は医療・福祉が大きく出ている。いずれも人手不足がよく見聞きされる業態であり、賃金を引き上げてでもパート・アルバイトを確保しなければならない実情が良く表れる結果となっている。

前年比の動向では男性の製造業の減少額が目に留まるが、これは2年連続しての動き。同産業の短時間労働者に対する需給が、バランスの調整期に入った可能性はある。他方、男性の運輸・郵便業、女性の医療・福祉、そして男女を問わず宿泊・飲食サービスは高い伸びを示しているが、これらの産業は慢性的な人材不足が伝えられている。今後も人材確保のため、さらなる上乗せが予想される。

なおこれらの値はあくまでも全国平均であり、地域によって差があること、さらには上記で触れている通り最低賃金法との兼ね合わせもある(今回の平均賃金は当然に最低賃金を上回っているが)ことを忘れてはならない。



パートやアルバイトの短所は「昇進・昇給が難しい(短中期的、ピンチヒッターのようなサポート的仕事が多いため)」「技術を習得するには向いていない(単純作業が多い、長期間勤めにくい)」「正社員と比べてリストラの対象になりやすい(法的保護の面で弱い)」「福利厚生の面で不利」などが挙げられる(同時に雇用主にとっては、機動性が高く経営リソースを短期的には節約できる労働力の確保との観点においてメリットとなる)。一方で「時間の自由が効きやすい」「技術・資格を問われにくく就業しやすい」などの長所がある。

昨今では【「派遣叩き」がもたらす現実……企業は「派遣を減らしパートやアルバイトを増やす」意向】で詳しく解説した通り、多分に無意味な「派遣叩き」が行われた結果、派遣業態は縮小の一途をたどり、一方でパートやアルバイトの求人は(条件の善し悪しを別にすれば)増加しつつある。直近の2015年においては派遣業態の人はやや増加したものの、それをはるかに上回る形でパートやアルバイトの人員は増加している。また久々に正規社員数も増加した。

世代構成の変化、そして高齢者への雇用上での優遇措置が取られる一方、他の先進諸国同様に若年層の失業率の上昇が、社会問題化している。パートやアルバイトに逃げざるを得ない者も多く、その動きは必然的に社会的地位の不安定さ、さらには高齢フリーター問題にも発展しうる。今回掲示した各種データが、今後どのように変化していくのか。各要素を連動・リンクさせながら考えねばなるまい。


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