日本でも景気復調の動きか、総資産額も上昇へ(日米家計資産推移:2012年4Q分)

2013/03/27 11:30

日本銀行は2013年3月25日、2012年第4四半期(10-12月)における資金循環の日米比較に関するレポートを公開した。それによるとアメリカは「現金」や「債券」「株式・出資金」などが増え、「投資信託」が減少、合計額も前四半期から増加を見せた。一方日本は「現金・預金」「投資信託」「株式・出資金」が増え、「保険・年金準備金」も増加する動きが確認できる。特に日本の総資産額はほぼ1年ぶりに大きく上昇しており、株価の上昇が大きく寄与する結果となった(【リリース掲載ページ】)。

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今リリースは日本銀行が年4回定期的に速報値として発表しているもの。それを追随する形で、2009年6月掲載、2009年1Q分から定期更新する形でグラフ化・考察を行っている。今回は2013年3月25日に発表された最新版データ(2012年4Q分)に基づいた記事となる。

まずは直近、2012年第4四半期(4Q)時点での、日米の家計における資産構成比率。日本が「現金・預金」に大きく傾倒している一方で、アメリカが「株式・出資金」や「投資信託」「債券」を大量に保有している図式に変化は無い。両国の貯蓄性向に違いが浮き彫りとなっており、興味深い。また今回も前回同様に数回前からリリースに掲載されているユーロエリアについても、参考の形で掲載した。

日米欧家計金融資産構成比率比較(2012年4Q)
↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2012年4Q)

3国・地域とも「保険・年金準備金」の比率はほぼ同じであること(いくぶんユーロエリアが多いが)、「現金・預金」と「投資信託」「株式・出資金」などの有価証券保有比率がユーロ圏は日米の中間にあることなど、注目すべき傾向が確認できる。金融資産に対する物の見方は、バランスという観点ではユーロエリアが一番優れている感はある。

これを定例のフォーマットに従い日米別に、その推移をグラフ化する。まずは日本。構成比率と絶対額の推移を確認する。

日本の家計金融資産構成比率推移(1997年-2012年4Q)
↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(1997年-2012年4Q)

日本の家計金融資産構成推移(1997年-2012年4Q)(単位:兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成推移(1997年-2012年4Q)(単位:兆円)

手持ちのデータをすべてグラフに収めているため、やや縦に長く伸びすぎているきらいがある。そろそろ一定部分を省略し(例えば直近の金融危機が始まった2007年以降に限り)、一目で分かりやすいサイズにした方が良いのかもしれない。

特異な動きとして目に留まるのは、2008年前後で「現金・預金」の比率が大きく伸びた動き。これは貯金額そのものが増えたのも多少の影響はあるが、それ以上に株価の低迷によるところが大きい。つまり絶対額では無く、相対的に「現金・預金」比率が上がったという理屈。さらに損切り(売却損を覚悟して売り、現金化する)による株式から現金への転換も多分にある。「株式・出資金」の比率だけでなく額が同じタイミングで大きく減少していることからも、その動きが理解できる。この時期の動きは、もう少し詳しい挙動(四半期単位)を知りたいところだが、残念ながら現時点では合間を埋めるデータ(2007年-2008年)は見つかっていない。

今期2012年4Q期では冒頭での通り、「現金・預金」「株式・出資金」「投資信託」などが増加を示している。前四半期とは逆で、株価の堅調化に伴いリスク資産に資金がつぎ込まれた、あるいは評価額が増えた結果によるものと考えられる。

一方アメリカ。こちらもやや縦長の感はあるが、まだ許容できる範囲。

米家計金融資産構成比率推移(2007年4Q-2012年4Q)
↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年4Q-2012年4Q)

米家計金融資産構成額推移(2007年4Q-2012年4Q)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年4Q-2012年4Q)(兆ドル)

アメリカの該当期における株価動向は、期初をほぼ最高値とし、11月中旬まで調整局面にあった。その後やや持ち直しを見せるも、結局期の終わりまで期初の値に戻すことはなかった。「債券」のような手堅い商品への投資額が増える一方、「投資信託」は減っており、やや足踏みの感はある。もっとも「株式・出資金」の額は増えており、投資意欲そのものの火が消えたわけではないことも分かる。

また「現金・預金」の絶対額もここ数年来の傾向に従う形で漸増中で、今四半期では8兆ドルに手が届く範囲となった。このペースで進めば、半年以内には到達できることだろう。ただしこれはあくまでも金額ベースの話であり、金融資産全体と比べた比率では14%前後を維持し、大きな変移は無い。「金融資産の使い道に慎重になった」というよりは「バランス感覚に長けている」と見た方が正解に近い。

グラフには記載していないが、家計金融資産の総額は2012年4Q時点で日本が1547兆円、アメリカが54.4兆ドル。これはそれぞれ直近前期から(日本)プラス2.45%・(アメリカ)プラス1.49%の変移となっている。今回期では為替レートの問題が多分にあるため(円安に振れている)、両国間の額面での単純比較は難しい。もっともそれぞれの国内において3か月で、どれだけ家計の金融資産の評価額が積上げされたは把握できる。特にアメリカの家計金融資産合計額は、2012年1Q期に大台の50兆ドルを突破して以降、さらに膨張を続けているのが目に留まる。インフレによるところも小さくないが、資産「額」のふくらみぶりが理解できる。

記事執筆時点(2013年1Q期)では欧州の債務危機問題の懸念は峠を越えたものの、第二・第三のハードルが目の前に迫る雰囲気があり(例えばキプロス問題)、予断を許さない状況には違いない。日本では過去数年間の足踏み・後退から立ち直りの動きを見せてはいるが、その数年間の傷跡は深く、いまだに尾を引いている面も多いことから、道のりは決してゆるやかなものではない。

景気動向や為替レートの変化、そして株価の流れが各国家計の金融資産にどのような影響を与えるのか、引き続き次回の発表内容が気になるところだ。


※2013.06.25.更新
今件記事は説明が多分に重なる部分などを省略した簡略版です。全体版及び最新版については【日米家計資産推移(日銀)最新記事】にて掲載しています。

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