2015年は98万人・増加に歯止めか…高齢フリーターの推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/02/19 15:21

職業選択の自由は日本国憲法に定められた基本的人権の一つではあるが、一方で社会的論点として「ニート」と並ぶ形で「フリーター」に関する問題がしばしば挙げられる。さらにこの「フリーター」と立場はほぼ同じものの、一般的定義では年齢の上限を超えるために該当しない「高齢フリーター(壮齢フリーター)」にも注目が集まりつつある。今回は総務省統計局が2016年2月16日に発表した、2015年分の労働力調査(詳細集計)の速報結果から必要な値を抽出し、この「高齢フリーター」の動向を推し量ることにする(【労働力調査(詳細集計)年平均(速報)結果発表ページ】)。

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そもそも「フリーター」とは、年齢が15歳から34歳までで、男性は卒業者、女性は卒業で未婚の者のうち「(1)雇用者のうち”パート・アルバイト”の者」「(2)完全失業者のうち探している仕事の形態が”パート・アルバイト”の者」「(3)非労働力人口で、家事も通学もしていない”その他”の者のうち、就業内定しておらず、希望する仕事の形態が”パート・アルバイト”の者」の者を指す(配偶者と死別、別離した女性は該当しない)。そして労働力調査では2010年版で他の条件に合致するものの、年齢が35歳から54歳までの者に対し、はじめて「高齢フリーター」との表現を使い、「フリーター」より年上の人達に対する定義づけを行った。

2011年版以降は解説が行われず、労働力調査でもその値を見つけることはできない。しかし算出方法は2010年版で明らかにされており、個々の要素となる値は発表値から抽出できるため、2011年分以降は当サイト側で独自に算出している。なお55歳以上をカウントしないのは、その年齢に達すると通常雇用されていた人の退職者(「高齢フリーター」とは言い難い)も多数混じってしまうためである。

↑ 「中高年層のパート・アルバイト及びその希望者」の推移(万人)(いわゆる「高齢フリーター」)(2015年)
↑ 「中高年層のパート・アルバイト及びその希望者」の推移(万人)(いわゆる「高齢フリーター」)(2015年)

↑ 「中高年層のパート・アルバイト及びその希望者」(いわゆる「高齢フリーター」)の推移(万人)
↑ 「中高年層のパート・アルバイト及びその希望者」(いわゆる「高齢フリーター」)の推移(万人)

従来の意味での「フリーター」は2002年以降しばらく数を減らし、2008年を底値としてやや上昇、2010年以降は横ばい、さらには減少の傾向にある。それに対し「高齢フリーター」はほぼ一貫して(多少の起伏はあるが)増加する傾向を示している。35歳にまで歳を重ねた時点で突如フリーターを脱し、雇用上の安定感を得ているわけではなく、35歳以降も引き続き不安定な雇用情勢に置かれている人がおり、それが年々増加している状況である(フリーター数が漸減しているにも関わらず高齢フリーターが増加しているのは、フリーターから脱する事が出来ない人が増加しているのが一因と考えられる)。無論、自分からそのライフスタイルを望んで維持している人も、多数いるのには違いないため、ここでカウントされた人すべてが仕方なくフリーター状態にあるわけではない。

年齢階層別で見ると2011年までは「45-54歳層」はほとんど横ばいだったのに対し、「35-44歳」の増加が著しい。このことから、本来のフリーター枠で定義された「25-34歳」の人たちが逐次歳をとり、この層に加わって「高齢フリーター」の数を押し上げていることが想像できる。特に2011年は35-44歳層の増加幅が大きく、計測・データがある期間内では最大の増加数(前年比8万人プラス)なのが確認できる。

一方2012年以降はより高齢となる45-54歳層の増加も始まっている。万単位のカウントなので多少の誤差はあるが、2012年以降35-44歳層よりも45-54歳層の増加幅が大きくなっている。通常フリーター層から高齢フリーターの前半期の増加への移行による高齢フリーターの増加だけでなく、前半期から後半期への移行増加も始まったものと考えられる。ややこしい話になるが「高齢フリーターの高齢化」な次第である。

直近の2015年では高齢フリーターの若年層部分、つまり35歳から44歳層の人口が大きく4万人も減り、その分45-54歳層が4万人増え、合計値は前年と同じとなった。前年の高齢フリーターのうち44歳が4万人居て、2015年に歳を1歳取り全員が45歳となり、結果として4万人シフトしたわけではないが、少なからぬ「高齢フリーターの高齢化」が進むと共に、35-44歳層の労働環境が改善され、「高齢フリーター」に該当しない人が増加したものと考えられる。

35-44歳層の減少分4万人のうち、男性は1万人だが女性は3万人にも及ぶ。先行記事に有る通り、2015年では女性の雇用市場の状況が大いに改善されており、これが「高齢フリーター」にも影響を及ぼしたと考えれば道理は通る。

年齢層人口に対する構成比率の変移は、今回年は35-44歳の仕切りでは減少、その上の45-54歳では増加。もっともまだ高い水準には違いない。例えば45-54歳では、その年齢に属する人全体の40人に1人が「高齢フリーター」に該当する。

↑ 「中高年層のパート・アルバイト及びその希望者」(高齢フリーター)の中高年層人口(各年齢層全体数)に占める割合
↑ 「中高年層のパート・アルバイト及びその希望者」(高齢フリーター)の中高年層人口(各年齢層全体数)に占める割合

景況感は回復に向かい、失業率は低下し、フリーターそのものは減少し、ようやく高齢フリーターにも上昇に歯止めが見えてきたのが今年の動き。他方、該当者の内訳をみると、多くが完全失業者では無くパート・アルバイトの雇用状況にある現状から(例えば男性35-44歳における31万人のうち、パート・アルバイトの者は28万人に達している)、長年フリーターを続けた中堅層世代のパート・アルバイト「以外」として雇用されることが難しい状況が、これまでの高齢フリーターの増加を後押ししていたのだろう。



繰り返しになるが「(高齢)フリーター」すべてを「大人として望ましくない姿」「社会的に批判される立場」のような、否定的な存在としてとらえるべきではない。そのようなライフスタイルを望む、そしてそれをかなえられるだけの条件が整っている人も多数いる。一方で、フリーターから抜け出たいにも関わらず、悪循環の繰り返しでフリーターの立場に居続けざるを得ない人も大勢いる。よほどのスキルや推薦、コネが無い限り、フリーターの期間が長いほど、職歴の上でも、経験の上でも正規雇用は難しくなる(雇用する側の立場で考えれば、容易に理解はできるはず)。【転職者の正規・非正規状況をグラフ化してみる】で示した通り、元非正規社員の転職者の多くが、やはり非正規社員の立場となるのが良い例である。

このような状況に対し、企業、行政、そして周囲の人たちはどのような手立てを講じるべきか。該当者一人ひとりはもちろん、関係各部局の意識改革が求められ、必要であれば状況改善のための行動が求められている。


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