日本における学歴・性別と失業率との関係をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/02/19 09:50

先行する記事【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる】で日本における学歴と失業率の関係・現状について分析をしたが、そこでは男女の区分はせずに両性を合わせた値での検証だった。実際には男女においても大きな差異が見受けられる。そこで今回は総務省統計局が2016年2月16日に発表した、2015年分の労働力調査(詳細集計)の速報結果を基に、学歴や性別と完全失業率の関係・推移を確認していくことにする。

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男女それぞれの学歴別・失業率動向


「完全失業率」とは「完全失業者÷労働力人口×100(%)」で算出される値。そして総務省統計局では「仕事についていない」「仕事があればすぐにつくことができる」「仕事を探す活動をしていた」の3条件すべてに当てはまる人を「完全失業者」と認定している。現在失職中で仕事があればすぐに従事することが可能だが、仕事を探そうとはしていない人は完全失業者には該当しない。

先行記事でも解説したが、2012年分までは「労働力調査」の発表リリースにおいて、学歴や年齢階層別で区分した上での完全失業率が掲載されていた。しかし2013年分の発表からは数字の算出、公開が無くなってしまっている。そこで統計局に確認の上、2013年分以降は2012年分までの値と同じ算出方法で、各値を公開されている元の値(今件の場合は完全失業者、労働力人口)から計算し、過去のデータに追加する形で一連の動向をまとめ、各種グラフを生成している。

まずは全体の変移。

↑ 教育別完全失業率(卒業者)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)

非労働力人口(求職活動をしていない人など)が除外されている問題もあるが、それは今回の考察とは別の話であり、考慮の必要は無い。グラフを見る限りでは2009年以降(短大・高専は2010年以降)わずかずつだが確実に、完全失業率は改善の方向に向かっている(減少している)。今回計測の2015年分で全学歴において、金融危機ぼっ発直前の最良値と同等、あるいはそれ以上の良い値を示したこととなり、少なくとも失業率の観点では、景況感は回復状態に手が届いたと判断できる(無論、正規・非正規問題や定着率の問題もあるが、それはまた別の話)。

続いて男女別にそれぞれ、学歴別のグラフを生成する。

↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男性)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男性)

↑ 教育別完全失業率(卒業者)(女性)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(女性)

大まかに分けて失業率が(高)「小学-高卒」「全体値」「短大・高専」「大学・大学院」(低)の順となるのは、男女合わせた全体値と変わらず。一方で、

・失業率は全体的に男性の方が高い(縦軸の区切りの違いに注意)。

・学歴による失業率の違いは男性の方が大きい。

・他の階層が2007年以降失業率を上げる中、男性の「大学・大学院」のみが失業率を下げてい”た”。しかし2009年にはその例外も失われた。

・男女とも2015年は2014年に続き、失業率の改善の動きが見られる。詳しく見ると、「男女とも短大・高専の改善状況が著しい」「男性より女性の方が改善度合いが大きい」「男性の大学・大学院以外は金融危機による上昇前の最善値を下回る良い値が出ている」

などの傾向が見られる。前年2014年において唯一悪化した「女性の大学・大学院」も今回年は大きく下落改善し、前年のイレギュラー分を取り返す動きとなった。

特定学歴における男女の差を確認


「失業率は全体的に男性の方が高い」に関して、「全体」及び「大学・大学院のみ」を男女それぞれで抽出してグラフを作り直したのが次の図。

↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男女・全体のみ)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男女・全体のみ)

↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男女・大学・大学院卒のみ)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男女・大学・大学院卒のみ)

男女でシンプルなグラフを生成して比べると、男性の方が失業率は全般的に高いことが改めて確認できる。これは「完全失業率」の計算方法(完全失業者÷労働力人口×100で求められ、労働力人口は従業者、休業者、完全失業者を合わせたもの。非労働力人口(求職活動をしていない人など)は含まれていない)や、女性の雇用形態として(より雇用されやすい)パートタイマーが増加しているのが大きく作用している。実際、2015年においては全雇用者のうち非正規社員比率は男性が21.9%なのに対し、女性は56.3%に達している。さらに同じ雇用形態でも男性と比べて女性の方が賃金が安い傾向にあるのも一因と考えて良い。

また、「大学・大学院卒のみ」のグラフで2006年に一時的な逆転現象が起きているが、この年に該当する関連事項といえば「改正・男女雇用機会均等法」の成立(施行は2007年)しかなく、これが影響しているものと考えるのが妥当である。そしてそれ以降、何度かのクロスを繰り返しながら、全体的には男女差がほとんど出ない状態が続いている。全体値のように一定幅を保ったままの推移では無いため、実質的には大学・大学院卒における完全失業率では、男女差が無くなりつつあると見た方が良いだろう。2015年においては少数第一位までの算出に限れば、男女の差異はわずか0.1%ポイントに留まる形となった。

繰り返しになるが、これらのデータはあくまでも数字的に「学歴が高い方が失業率が低い傾向にある」との失業率の一側面を示したのみの話。多分に相関関係だけでなく因果関係も類推できたとしても、「高学歴万能主義」の肯定・否定とは別次元の問題であることに留意してほしい。


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