日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/02/18 14:24

世間一般には高学歴ほど就職は容易で、また失業もしにくいとのイメージがある。そのイメージが確かなものかを確認するデータの一つが、総務省統計局が毎年発表している労働力調査。同局では2016年2月16日付で2015年における労働力調査(詳細集計)の年次分・速報結果を発表したが、その内容によればほとんどの世代で高学歴ほど低失業であることが確認できる。今回は同発表内容を基に、学歴を絡めた失業率について、現状の精査を行うことにする(【労働力調査(詳細集計)年平均(速報)結果発表ページ】)。

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最新の学歴と世代別の完全失業率動向


まず「完全失業率」の定義を確認しておく。これは「完全失業者÷労働力人口×100(%)」で算出することができる。総務省統計局では「仕事についていない」「仕事があればすぐにつくことができる」「仕事を探す活動をしていた」のすべてに当てはまる人を「完全失業者」として認定している。例えば仕事についておらず仕事があればすぐに働くことができるが、雇用に関するニュースを見聞きして「今就職活動をしても徒労に終わるだろう」とあきらめ、就職活動をしていなければ、完全失業者としてはカウントされない。

2012年分までは「労働力調査(詳細集計)年平均(速報)」発表の時点で学歴(教育)と年齢階層別で区分した、完全失業率が公開されていた。しかし2013年分からはこの公開値が無くなり、5月前後に公開予定の年報(詳細値をまとめたもの)でも収録の予定は無い。そこで完全失業率の定義を基に、計算方法について統計局に2012年までの公開値と同じ算出方法であることを統計局に確認をした上で各値を計算、グラフを生成した。

なお前年分から立体グラフに加え、通常スタイルのグラフも併記している。また年齢区分に関しても前年分から「55歳以上」を「55歳-64歳」「65歳以上」に細分化している。

↑ 学歴(教育)・年齢階層別失業率(2015年平均)(立体スタイル)

↑ 学歴(教育)・年齢階層別失業率(2015年平均)
↑ 学歴(教育)・年齢階層別失業率(2015年平均)

完全失業率に関する全体的な構造「高学歴ほど低失業率」「若年層ほど高失業率」に変わりは無い。ただし高齢層、特に65歳以上の失業率では学歴の差がほとんど出てない、むしろ高学歴の方が失業率が高いことが確認できる。これは多分に「定年退職・早期退職後の再就職をこれまでの職場、新規職場を問わずに果たし、その際には学歴はさほど影響しない」からに他ならない。実際、この世代における就業者の多くは非正規雇用となっている。

さらには「元々高学歴≒高年収であり、定年退職以外で失業・早期退職して再就職を望む場合、できる限り以前に近い待遇を望む傾向が強く、条件がかなう職に就きがたい状況が生じている」こともあり、高学歴がかえって仇となっている(当人が自ら足かせをしている)ことの表れとも考えられる。再就職のハードルをあえて自ら上げ、結果としてそのハードルを飛び越えられない状態と表現できよう。

大卒・大学院卒の15-24歳における、つまり大学卒業後間もない新社会人の失業率は4.3%であるのも目に留まる。たとえ高学歴であったとしても、若年層の就職難の状況にさほど違いは無いようだ(後述の通り、これでも前年と比べれば随分と改善しているのだが)。

失業率は明らかに改善の方向へ


昨年発表された2014年分の値を元に算出した失業率と、今回算出した2015年分の算出値の差異を計算した結果が次のグラフ。これは2014年から2015年の1年間における失業率の変化を表す。数がプラスに大きく振れるほど失業率が増加、つまり雇用状況が悪化していることを意味する。なお今件グラフも前年から立体グラフだけでなく通常のスタイルの表記も加えている。また年齢区分も細分化した。

↑ 学歴(教育)・年齢階層別失業率(2014年から2015年への変異値)(立体スタイル)

↑ 学歴(教育)・年齢階層別失業率(2014年から2015年への変異値)
↑ 学歴(教育)・年齢階層別失業率(2014年から2015年への変異値)

↑ 参考:完全失業率(卒業者限定)
↑ 参考:完全失業率(卒業者限定)

やや振れ幅にはばらつきがあるが、マイナス値が多い、つまり雇用の改善が見られるのが分かる。とりわけ若年層における高学歴の改善ぶり、中堅層の短大・高専の改善が目立つ。一方、高齢層で高学歴の層で失業率の悪化が見られ、懸案事項として留意すべき動きではある。ただしこれは大幅に該当労働人口が増加していることから、労働市場のバランスのゆがみによるところが多分に考えられる。上記で触れている通り、再就職の際にも望みが高く、雇用側も雇い入れが難しいケースも多分に考えられよう。

なお今件データでは「完全失業者」の定義に従い、就職をあきらめて大学院入りした人、就職を一時留保し就職活動をしていない人などは考慮されていないことに留意する必要がある。



今回分となる2015年におけるポイントは「全体的な雇用状況の改善」「一部高齢層における状況悪化の懸念」の2点にまとめられる。高齢層の雇用状況の改善は多分に非正規社員としての再雇用であるが、それでもなおカバーしきれない状況に違いない。

なお定年退職後に再就職を求めない人は非労働人口として数えられ、失業率の計算からは除外される。就業者の内情や、失業者の失業理由、さらに完全失業率の計算の上では考慮されない「仕事をする意思はあるが、求職活動をしなかった」人などに関する現状は、機会を改めて確認をしていくことにしよう。


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