災害廃棄物の処理はようやく5割超…震災がれき処理動向(2013年2月28日時点)

2013/03/26 11:30

当サイトでは【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】でまとめている通り、統計値上から2011年3月に発生した東日本大地震・震災における被害状況の進展を確認している。今回は前月掲載記事を更新する形で、「震災がれき」と呼ばれているもの、具体的には災害廃棄物等(災害廃棄物と津波堆積物)の処理最新動向にチェックを入れることにした。

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文中・グラフ中にある「産業廃棄物」「津波堆積物」など用語の定義は一覧ページ【震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】上ので解説済み。そちらで確認のこと。

最初に算出するのは、対象物の仮置き場への搬入状況。災害廃棄物等は災害現場から最初に仮置き場に移され、そこから各種処分が行われる。災害現場から直接処理場に運ぶのは混乱しか生み出さないからだ。まずは仮置き場への移動が必要なのだが、全体では災害廃棄物が92.1%・津波堆積物は67.5%に留まっている。

↑ 災害廃棄物等の仮置場への搬入状況(2013年2月28日時点)
↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年2月28日時点)

がれき推定量の再計測、または新たな廃棄物の発生で数字が上下することはある。しかしそれら誤差レベルのものを考慮しても、現時点で数%の災害廃棄物・約3割強の津波堆積物が現場に残されている計算になる。発表資料ではこの件について「浸水している農地において重機作業が困難」「損壊家屋等の解体量が多く、大規模な建物が含まれ解体に時間を要する」など、進捗状況の遅れの理由の一端を説明している。ほぼ2年が経過した現在でもこの文言を使わねばならないほど、処理すべき要件が大規模で困難を極めていることを再認識させられる。

続いて処分された災害廃棄物などの動向を記したグラフ。「処分」には対象の状況によって多種多様な手法がある。単純な埋め立て処分の他には再生燃料として用いたり、素材として売却処分・再利用が行われている(「未処理」には「仮置場」に搬入されたのみで、まだ処分されていないものも含む)。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年2月28日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年2月28日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年2月28日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年2月28日時点)(万トン)

災害廃棄物は92.1%・津波堆積物は67.5%という仮置き場への集約率と比べ、処理・処分済み具合が随分と低い。今回発表月では災害廃棄物の処理状況はある程度進展が見られたが、津波堆積物処理が相変わらずほとんど進んでいない(宮城県の処理進展は喜ばしいが)。これは処理に時間がかかること、それぞれの被災県内のみでの処理では短時間の処理は能力的に不可能な一方、県外での処理には今なお「さまざまな、そして時として悪しき思惑を内包する」障害・妨害があり、期待がよせられない結果による。

復興庁では2011年12月時点から災害廃棄物等の搬送動向が記録公開されているが、処理・処分動向が掲載されたのは2012年2月14日分・津波堆積物は2012年7月31日分から。そこで記録があるものにつき、処理状況を折れ線グラフ化したのが次の図。一番右、2013年2月28日時点は、震災からほぼ2年が経過していることを前提に確認してほしい。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況

直近の2013年2月28日時点で災害廃棄物の処理はようやく5割超、一方で津波堆積物は2割強でしかない。

この値を基に単純計算をすると(震災直後の混乱期における処理不可能状況を半年とし、現在まで約18か月の処理期間が得られたと仮定する)、このペースでは災害廃棄物の処理が終了するのはあと約1年半足らず、津波堆積物はあと5年強かかることになる。国が直接処理を行う対策地域の設定などもあるが、この数か月で処理スピードの多少の上昇もあり、見積もり期限が少しずつだが短くなっているのは評価に値する。しかし一方で、災害廃棄物は半分近く、津波堆積物は8割近くがまだ未処理である現実も再認識させられる。

この数字はあくまでも単純計算・概算。時間の経過と共にノウハウの蓄積、処理に慣れが生じて処理速度の加速化が期待できる。しかし回収・処理対象の作業難易度が上がり、さらに処理施設の寿命問題も生じるため(ゲームでは無いのでフリーメンテナンスなどあり得ない)、この試算もあながち的外れではないものと考えられる。

最後に現時点での処理状況を一目で把握できるよう、各県ごとの災害廃棄物・津波堆積物の処理済み・未処理トン数と、双方を合わせた総重量に対する処理進捗状況を計算したグラフを作成する。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年2月28日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年2月28日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年2月28日時点)(対全体進捗比率)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年2月28日時点)(対全体進捗比率)

「震災がれき」の処理進捗・現状がよく把握できるグラフに仕上がっている。現場や後方各面で作業をする関係者の労苦がしのばれると共に、ほぼ2年が経過した現在でもなお、薄色(未処理)の部分が多い実態を見るにつけ、多種多様な悪しき障害・妨害による遅延に対する、表現しがたい想いがこみあげてくる人も少なくあるまい。


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