がん検診、受けない理由は「時間が無い」(2015年)(最新)

2015/01/20 14:31

今や日本で最大の死因として挙げられる「がん(悪性新生物)」。検診を受けることで発症を自覚し、適切な対処を取ることができ、リスクを確実に減らせるのではあるが、がん検診の受診率はまだまだ低い水準にある。その理由は何だろうか。内閣府大臣官房政府広報室が2015年1月19日に発表したがん対策に関する世論調査によれば、最大の理由として挙げられたのは「時間が無い」だった。次いで「経済的負担」「がん認識への恐怖」が並んでいる(【発表リリース:がん対策に関する世論調査】)。

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がん検診を受けない理由、時間にお金に「判明が怖い」


今調査の調査要項は先行記事【がんが怖い人3/4、理由は「死に至る場合があるから」(2015年)(最新)】を参考のこと。その記事にもある通り、がんも他の病気同様、病症を確認して治療をはじめる時期が遅いと、治療そのものが間に合わない場合が少なくない。そして「早期発見・早期治療」が大切なのも、他の疾病と同じ。ところが日本におけるがん検診の受診率はお世辞にも高くない。検査対象のがんの種類にもよるが(一度の検査で主要部位すべてのがんに関する確認ができるわけではない)、約3割から4割程度に留まっている。

↑ 性別にみたがん検診を受診した者の割合(2013年)(過去1年間、但し子宮がんと乳がんは過去2年間)(再録)
↑ 性別にみたがん検診を受診した者の割合(2013年)(過去1年間、但し子宮がんと乳がんは過去2年間)(再録)

それではなぜがん検診の受診率が低いのだろうか。回答者個人の感想・事由も多分に含めた社会的な一般論として低迷の理由を尋ねたところ、もっとも多くの人が同意を示したのは「受診する時間が無い」だった。48.0%の人が受診に時間がかかる・受診対象者が多忙で時間を割り振る事が出来ない実態を、検診しない理由として挙げている。

↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)
↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)

がん検診は対象となるがんの部位毎に受けねばならない。また、医療機関によっては一度に複数部位の検診はできず、複数部位の検査をしたい場合には時間・場所を変えて行う必要がある。たとえ検診の時間そのものが待機時間も含め数時間で済むとしても、平日仕事をしている人には各部位の検診毎に半日・一日の休みの確保が求められる。当然「受ける時間が無い」と回答する人が多いのも納得できる。

次いで多い回答率を示したのは費用負担。38.9%。多数の部位をくまなく検診すると数千円の負担が生じ、検査場所までの交通費も合わせると微額とは言い難い。しかしこれは各種医療制度(例えば年一回の公的な医療検査)を活用することで、最低限の金額に留めることができる。さらに「健康に自信があるので大丈夫」とする意見も33.1%確認でき、費用負担と合わせ「がん」に対する認識の甘さ、基本的な情報不足の実態がうかがえる。

第3位の「がんであると分かるのが怖いから」は37.7%。多分に因果関係の誤認によるもので、「検診したからがんが発生する」のではなく「元々発症していた人が検査で確認できる」に過ぎない。放っておけば勝手に治癒する事例は無いに等しく、いわば虫歯と同じようなもの。単なる怖さからの逃げは、現実逃避でしかない。

前回(ほぼ2年前)調査結果との比較をすると、費用負担の増加が目立つ。この動きリリースにも特記事項として言及されている。誤差の範囲とも受け止められるが、検診費用の補助や公的機関の検診の活用方法に関する情報をはじめ、さらなる啓蒙広報活動が求められる動きには違いない。

男女、世代別に見ると……


これを男女別に見ると、がん検診そのものの認識など一部項目を除き、女性の回答率が高いのが確認できる。

↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)(男女別)(2014年11月)
↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)(男女別)(2014年11月)

同調査では「がんに対する恐れ」も調査項目として挙げているが、男性より女性の方が「がんが怖い」と考えている人は多く、恐れる理由も多種多様に及ぶ。そして今件「社会一般における」がん検診を受診しない人の非受診理由への考えも男性より多数の項目で高い値を示し、がん検診に対する問題意識がハイレベルにあることが分かる(回答者自身が非受診で、その理由を挙げているわけではないことに注意)。

世代別に見ると若年層から中堅層の回答率が高い項目が多数に及んでいる。

↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)(世代別)(2014年11月)
↑ がん検診を受けない理由の認識(複数回答)(世代別)(2014年11月)

時間の無さは圧倒的に若年層が高回答率。高齢者には時間の余裕があり、検診も苦にならない。自分自身の立ち位置が、多分に社会全体の認識と重なってしまっているのだろう。また「経済的負担」「うっかり忘れる」「検診そのものを知らない」も、回答者自身、あるいは身近な人の状況が反映されている感がある。



若年層で高い値を示している項目は、多分に啓蒙活動のさらなる促進と各種支援制度などの法整備で改善が期待できる。また時間が無いとの指摘も、法定健康診断にがん検診を組み込むことなどの工夫を凝らす手立てもある。

がんの治療は何よりも「がん」そのものを見つけることが最重要課題。万一のことを考えれば、今件の上位回答におけるマイナス部分など、比較にもならないほどの小ささでしかない。面倒くさがらずに、定期的な検診をお勧めしたい。


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