がんが怖い人3/4、理由は「死に至る場合があるから」(2015年)(最新)

2015/01/20 08:25

内閣府大臣官房政府広報室は2015年1月19日、がん対策に関する世論調査の結果を発表した。それによると調査対象母集団においては、病症の「がん」を怖いと思っている人はおよそ約3/4に達していることが分かった。理由としては「死に至る場合があるから」がもっとも多く、次いで「がん自身や治療により、痛みなどの症状が出る場合がある」の他、「治療費が高額になる場合がある」など費用の面での怖さを覚える人も多数に及んでいる(【発表リリース:がん対策に関する世論調査】)。

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「がん」に対する印象「怖い」は74.4%


今調査は2014年11月6日から16日にかけて、層化2段無作為抽出法によって選ばれた全国20歳以上の日本国籍を持つ人に対し、調査員による個別面接聴取方式にて行われたもので、有効回答数は1799人。男女比は848対951、世代構成比は20代143人・30代230人・40代309人・50代277人・60代391人・70歳以上449人。

がん(悪性新物質などと呼ばれることもある)は他の傷病、例えば心疾患や脳血管疾患、肺炎などのような、治ゆ方法の発見・確立、治療法の改善をはじめとした医学の進歩に伴い致死率が減少し対処法が進む疾患と比べ、相対的に研究進捗の歩みが遅い。結果としてがんの発症率、そしてがんを起因とする死亡率は増加の一途をたどっている。

↑ 2013年人口動態統計月報年計における死因順位(人口10万人対、総数)(再録)
↑ 2013年人口動態統計月報年計における死因順位(人口10万人対、総数)(再録)

この「がん」について、回答者がどのような印象を持っているかに関して「怖い」か「怖くないか」の軸で、5つの選択肢「こわいと思わない」「どちらかといえばこわいと思わない」「どちらかといえばこわいと思う」「こわいと思う」「わからない」から1つ選んでもらったところ、「どちらかといえばこわいと思う」「こわいと思う」から成る「怖い派」だった人は74.4%に達した。多くの人が「がん」そのものに恐怖を覚えていることになる。

↑ がんに対する印象
↑ がんに対する印象

強度の怖さを感じている人は4割強、弱度は1/3ほどで、やや強度の回答者の方が多い。また過去の調査結果と合わせた変移を見ると、強度の怖さを感じている人は減っているが、その分弱度の人が増えており、「怖い派」的はほぼ一定率を保っていることが分かる。

なぜがんが怖いのか、理由は「死ぬかも」「痛い」「お金がかかる」


ではなぜがんを怖いと思うのだろうか。「怖い派」の人にその理由を、選択肢から複数回答形式で選んでもらったところ、もっとも多くの人が同意を示したのは「がんで死に至る場合があるから」だった。がんが怖いと感じている人のうち72.9%の人は「がんにより死のリスクが上乗せされる。だから怖い」と考えている。

↑ がんをこわいと思う理由の認識(がんに対する印象について、「どちらかといえばこわいと思う」、「こわいと思う」と答えた者に、複数回答)(2014年11月)
↑ がんをこわいと思う理由の認識(がんに対する印象について、「どちらかといえばこわいと思う」、「こわいと思う」と答えた者に、複数回答)(2014年11月)

他の病気同様、病症に気が付き治療を開始する時期が遅いと、治療そのものが治癒には間に合わない場合がある。見方を変えれば早期発見と治療により、患者の生存確率は随分と向上する。しかしながらがんは病症の自覚症状が他の病気と類似している場合も多く、素人には特定が難しい。ケガによる切り傷とは勝手が違う。さらにがん発見の可能性を飛躍的に高めてくれるがん検診の受診率は、実はさほど高くない。

↑ 性別にみたがん検診を受診した者の割合(2013年)(過去1年間、但し子宮がんと乳がんは過去2年間)(再録)
↑ 性別にみたがん検診を受診した者の割合(2013年)(過去1年間、但し子宮がんと乳がんは過去2年間)(再録)

次いで多いのは「がんそのものや治療により、痛みなどの症状が出る場合があるから」。これが53.9%。がんの場合は治療時の痛みが多分に実態より上乗せする形で、あるいは強調する形で世間一般に浸透している感がある。そのため「がん治療は必ず悶絶するような痛みを伴い続ける」との認識をしている人が多い。だが他の病症に対する治療同様、すべてがすべてそのような痛みを伴うものとは限らない。

第2位まではがんという病気そのものに対する恐れが占めているが、第3位は間接的な理由「がんの治療が高額になる場合がある」がついている。がん治療はまだまだ技術向上の過程、新医学の発見待ちなど開発途上にあり、公的保険が利かない治療法も多い。当然、高額の出費を強いられることもある。さらに第4位には「がんに対する治療・療養には、家族や親しい友人などの協力が必要になる場合があるから」と、ハードな療養に対する周辺への負担(時間的、心理的、金銭的、その他多種多様なリソース的)を懸念する声もある。

これを男女別に見ると、概して女性の方が回答率が高い。多くの観点でがんへの恐れを強く抱いていることが分かる。

↑ がんをこわいと思う理由の認識(がんに対する印象について、「どちらかといえばこわいと思う」、「こわいと思う」と答えた者に、複数回答)(男女別)(2014年11月)
↑ がんをこわいと思う理由の認識(がんに対する印象について、「どちらかといえばこわいと思う」、「こわいと思う」と答えた者に、複数回答)(男女別)(2014年11月)

特に「痛みなどの症状」「身近な人の協力が必要」の点で、男性よりも大きく差をつけて高い値を示しているのが印象的。一方で「仕事を長期間休む、辞めざるを得ない」の点では男性の方が高いが、これは男性の正規社員としての就労率が高いからに他ならない。

世代別に見ると若年層-中堅層の回答率が高い。

↑ がんをこわいと思う理由の認識(がんに対する印象について、「どちらかといえばこわいと思う」、「こわいと思う」と答えた者に、複数回答)(世代別)(2014年11月)
↑ がんをこわいと思う理由の認識(がんに対する印象について、「どちらかといえばこわいと思う」、「こわいと思う」と答えた者に、複数回答)(世代別)(2014年11月)

死への恐れは若年層ほど高く、高齢層になるに連れて下がる。老衰など他の死因によるリスクも積み重なってくる、具体的な死との距離が近づく、さらには自分の身近な人で類似状況により実際に亡くなる事案と遭遇することもあるからだろう。他の項目は多分に若年層よりむしろ中堅層の方が高めで、理由も理解できるものだが(例えば仕事の長期間休職などは、働き盛りで休職によるリスクが高まる)、後遺症や周囲の人への負担は高齢者も高い懸念を抱いている。

人の「恐れ」は既知のものに対する、実態のあるマイナス要因に向けられる場合以外に、未知のものに対する不安から生じるものがある。しかし死のリスクは何もしないでいるよりも、自ら正しい情報を調べ習得し、検査を定期的に受診し、場合によっては早期発見をすることで、大いに減らすことができる。検診で発見しない限り、治療ができないのはがんに限った話では無い。定期的な健康診断の中に、がん検診を含めることを是非ともお勧めしたい。


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