うるう年関連の調整版グラフ付き・前年同月比でマイナス7.4%(2013年2月分大口電力動向)

2013/03/23 20:00

電気事業連合会は2013年3月18日、2013年2月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年2月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で761億kWhとなり、前年同月比でマイナス3.8%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス7.4%を記録し、9か月連続で前年同月の実績を下回ることになった。ただし今回月は前年同月がうるう年で1日多く、それとの比較となるため、日数減による影響も出ている(【電力需要実績発表ページ】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事の一覧ページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で説明を行っている。そのページを見てほしい。

2013年2月では大口全体で前年同月比マイナス7.4%。「前年同月比」ではあるものの、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる。

大口電力使用量産業別前年同月比(2013年1月-2013年2月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2013年1月-2013年2月)

ただし今回月は冒頭でも触れたように、2012年2月がうるう年の関係で29日まであり、2013年2月は28日までしかないため、日数の上ですでにマイナス3.4%強の減少が生じてしまっている。仮に概算的に全値からそれぞれその分を考慮すると、「紙・パルプ」「化学」がやや改善、「非鉄金属」がやや悪化といった形になる。

1年前の記事と比較すると、1年前は「紙・パルプ」が大きく下げ、「鉄鋼」はむしろプラスを示していた。状況としてはやや電力消費の面では上であるものの(うるう年を考慮しても)、プラスを示した項目が1つのみであることを考えると、「昨年同月では上昇したのでその反動により、今月はマイナスになった」という説明は成り立たない。むしろ電力消費の減退が継続している感すらある。「前々年」同月比を算出した、さらに蛇足の感もあるがうるう年分の修正として3.4%分を底上げしたのが次のグラフ。

大口電力使用量産業別「前々年」同月比(2013年2月)(修正概算含む)
↑ 大口電力使用量産業別「前々年」同月比(2013年2月)(修正概算含む)

うるう年調整を加えても「紙・パルプ」のマイナスは1割を超えており、省エネ・節電化のみでは説明できない下げ幅といえる。電力使用量がそのままその業界の生産・景気動向をストレートに表すわけではなく、各業態とも節電に励んでいる成果が出ているとも評せるが、気持ちの良い値では無い。

先年同月比、さらには2年前同月比のグラフでも中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

大口電力使用量の動向を見ると「リーマンショックで大きな下げ」「2010年4月が天井(多分にリーマンショックの下げの反動)」「安定成長」の流れで推移していたのが、2011年3月の東日本大地震・震災をきっかけに下げ基調に移行しているのが分かる。その後2012年2月までは多くの項目でマイナス圏での推移が続いているが、これは工場の物理的な損害以外はもちろん、原材料の調達不足、タイムシフト・デイシフトをはじめとする各種節電対策などによる、稼働率・生産調整が影響している。

2012年3月以降は「2011年3月以降の震災による大きな減少」からの反動で、多数の項目で大きく跳ねている。しかしこのリバウンドも一時的なもの。4月以降は失速、6-7月には完全に低迷状態に陥り、以降はその状態が継続しているのが分かる。今回の2013年2月・全体値の「前々年」同月比はマイナス8.0%になる(上記グラフより)ことは、知っておいて損は無い。

工場今件大口電力は国内景気、そして内需、さらにはそれと連動する各種産業、とりわけ特に第二次産業・製造業の動向を推測する物差しとなる指標。被災した工場の物理的復興は進んでいるが、電力の安定供給や取扱商品・サービスの需要回復を望めず生産施設を閉鎖した事例をはじめ、節電対策での消費電力減退、景気低迷に伴う生産調整など、生産力の数字的低迷は否めない。そして昨年2012年の夏期・2013年初頭に渡る冬期の節電「要請」(だが企業にとっては実質的に電力使用制限令と同程度のプレッシャーがある)に伴い、インフラに携わる者も含め、企業や市民が難儀を強いられ、大きな負担を背負った。さらに今夏も前体制の致命的失策・決定が尾を引いており、2012年夏と似たような電力需給状況になる可能性が多分にある。

今後電力供給がどのように回復していくのか、単に電力の需給問題のみならず、産業との関わり合いの点でも気になるところ。安定した、節電要請の無い、それこそ湯水のように、空気を呼吸するかのように(無論無駄遣いはせずに)使える電力供給こそ、製造業が安心して仕事を続けるための前提条件に他ならないからである。

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