なぜ僕ら・私らは音楽に費やす時間を減らしているのだろう(2012年発表)

2013/03/28 07:55

日本レコード協会は2013年2月12日、音楽ソフトや有料音楽配信など音楽メディアの需要を大局的に把握することを目的として行われた調査「音楽メディアユーザー実態調査」の2012年度分の結果に関する概要報告書を公表した。今回はその公開されたデータの中から「音楽に費やす時間が減った人における、その理由」を確認する。他の行動に圧迫された、あるいは音楽そのものへの時間消費に対する意義が薄れたなど、理由は色々と考えられるが、実態はいかなるものなのだろうか(【発表リリース:2012年度「音楽メディアユーザー実態調査」報告書公表】)。

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今調査は12-69歳の男女(中学生は親の代理回答)に対して2012年8月に実施されたもので、有効回答数は4948人。インターネットを用いたアンケート調査方式が用いられていて、性別・世代別・地域別にほぼ均等に回答を集めた上で、2010年国勢調査を元にウェイトバックが行われている。各種統計では修正後の値を用いている(ただし統計表上は参考値として、ウェイトバック前後の値が併記されている場合もある)。

今調査対象母集団のうち「音楽の関心・興味、楽しみ方、視聴する時間が前年同期(2011年3月-8月)」と比べ、減った人は2968人。ざっと60.0%に該当する。詳しい結果(増えた人、変わらない人がどれほどなのか)は未公開なので精査は出来ないが、1年間の変移で6割も音楽への注力時間が減った人が居るのは、少々驚かされる結果といえる。

その「音楽消費時間が減った人」に、なぜ減ったのかについて、複数回答、さらには最大の理由を聞いた結果が次のグラフ。複数回答でも「最大の理由」でも最上位についたのは「音楽以外の趣味活動に費やす時間や支出が増えた」だった。

↑ 音楽の関心・興味、楽しみ方、視聴する時間が減った理由(該当者限定)
↑ 音楽の関心・興味、楽しみ方、視聴する時間が減った理由(該当者限定)

最大の理由でも2割の人が回答している「音楽以外の趣味活動に費やす時間や支出が増えた」だが、昨今の趣味趣向の多様化・細分化傾向を思い返せば、十分納得はできる。要は「1日は24時間しかなく、可処分所得も限られる」「音楽以上に注力したいものができた」という状況の人が増えたということ。また多様化云々を抜きにしても、歳を重ねるごとに社会全体を見る目が肥え、経験を得て、新たな趣味を見出す事例は少なくない。

続く理由は「収入、お小遣いなど金銭的な余裕が無くなった」。複数回答では4割近く、「最大の理由」でも16.1%と高い。投入資金が寂しくなれば、費やす時間も減らさざるを得ない。さらに「お金が無い」回答率の高さは、以前別記事で触れた無料聴取層(音楽にお金を支払っておらず、無料動画サイトやテレビなどで、新たに知った楽曲を聞いている層)の増加を納得させるものともいえる。

一方単純に回答者自身の趣味以外、つまり実生活の都合で時間が不足している事例も少なくない。「仕事が忙しくなった」「結婚して自分の時間が少なくなった」などである。「子育てなどで自分の時間が少なくなった」は複数回答では順位は中盤だが、「最大の理由」では第5位にまで跳ね上がるのも注目に値する。公表はされていないが、女性が多分にこの項目に回答しているのだろう。

音楽に費やす時間が減れば、その分余った時間を他に回すことか出来る。仕事や子育ての多忙による音楽視聴の時間減少ならば、当然余った時間はそれら仕事などに充てられる。だが金銭的な余裕、魅力的な楽曲の減少など、割り振らねばならない事柄の登場以外での「音楽試聴の減退」の場合、その時間はどのような趣味趣向に代替されるのだろうか。

↑ 音楽への時間が減った分で、自身の自由に使えるお金の範囲で、代わりに消費時間が増えたものはあるか(複数回答)
↑ 音楽への時間が減った分で、自身の自由に使えるお金の範囲で、代わりに消費時間が増えたものはあるか(複数回答)

具体的項目でもっとも多い回答は「スポーツ・旅行・レジャー」。技術を必要とせず、手軽に楽しめるという点では音楽視聴に近い。次いで多いのは「外食などの交際」。いずれも外出、対外行動・アクティブな活動となる。それらに続くのは「ネットサービス(ニュース閲覧)」「新聞・書籍・雑誌」で、内なる時間消費で、第三者とのコミュニケーションを特に必要とせず、物静かに楽しめるという点ではむしろ上位2項目よりも音楽に近い。

またグラフの右にある「上記以外の-」の2項目がそれぞれ16%台と高めの値を示しており、時間が割り当てられた内容が、多種多様に及んでいることが分かる。一方で「増えたものは無い(自由時間そのものが減った)」の回答率も2割強を示しており、多忙な人が増えている、そして同時に生活の上でのうるおいが減っている人の増加が懸念される。



音楽市場側からの観点で考えれば、「自由時間そのものを減らす理由があり、仕方なく音楽視聴の時間も削ってしまった」「金銭的余裕が無くなった」のは仕方がない話(「ながら視聴」をすればよい、との考えもあるが……)。一方で「他の趣味に時間を費やすようになった(=音楽業界の魅力が相対的に減った)」「良い楽曲が出なくなった」「音楽の話題が減った」など、音楽業界側に責がある点について、精査をし、改善を図る必要がある。それが出来なければ・しなければ、市場の縮小に歯止めをかけることは困難といえよう。

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