「有料音楽離れ」「新曲に興味無し層の増加」はさらに進む…年齢階層別の「音楽との付き合い方」をグラフ化してみる(2017年)(最新)

2017/04/18 05:21

昨今の音楽業界、特にCD市場の不調要因として、インターネットや携帯電話、とりわけスマートフォンの普及に代表されるメディア環境の変化・競合の登場以外に、視聴者の音楽離れが進んでいるのではないかとする意見がある。そこで今回は日本レコード協会が2017年4月に発表した「音楽メディアユーザー実態調査」の最新版となる2016年度版から、「主に音楽と対価との関係から見た、年齢階層・経年における音楽との関わり合いに対する姿勢、考え方の相違」について見ていくことにする。音楽の入手ルートも多様化し、無料で楽しめる手段も増える中、年齢階層による考え方の違いにはどのような動きがあるのだろうか(【発表リリース:2016年度「音楽メディアユーザー実態調査」報告書公表】)。

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「音楽離れ」らしきもの


今調査は2016年8月に12歳から69歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2216人。性別・年齢階層・地域別(都市部とそれ以外でさらに等分)でほぼ均等割り当ての上、2010年度の国勢調査結果をもとにウェイトバックを実施している。また設問の多くは過去半年間を対象に答えてもらっているため、2016年3月から8月時の動向が反映されていることになる。

音楽に対する興味関心の有る無し、その気持ちをきっかけにどのような行動に移すかについては人それぞれ。また、同じ気持ちを有していても、表現手段も多種多様に及ぶ。今件では音楽との付き合い方に関して、新曲への関心の度合いや対価の支払いの面から、大きく次の4つに区分を設定。回答者には自分の音楽への姿勢として、もっとも当てはまる選択肢を選んでもらった。

・有料聴取層:
「音楽を聞くためにCDや有料音楽音源など音楽商品を購入したり、お金を支払ったりしたことがある」

・無料聴取層:
「音楽にお金を支払っていないが、無料動画サイトやテレビなどで新たに知った楽曲を聴いた経験がある」

・無関心層(既知楽曲のみ):
「音楽にお金を支払っておらず、以前から知っていた楽曲しか聴かず、新曲は(テレビなどでも)聴かない」

・無関心層:
「音楽にお金を支払わない。特に自分で音楽を聴かない(音楽には特段積極的な好意、関心を持たない。音楽への本当の意味での無関心派)」

全体的な経年動向としては少しずつだが「音楽へ対価を支払う層」が減り、「既知の曲のみを聴きまわす」「音楽そのものに無関心」の人が増えている。2014年は未調査のために1年分が空いているが、それを考慮しても2015年には大きな「有料音楽離れ」だけでなく「音楽離れ」が進んだ。直近の2016年では前年比で音楽そのものに興味を抱かない人が減ったのは幸いだが、「有料で音楽を聴く人」は減り、無料で新曲も合わせ音楽を聴く人、さらに無料でも新曲には耳を傾けない人が増える結果となった。音楽への対価離れがさらに進んだと読めばよいのだろうか。

↑ 該当期間における音楽との関わり合いでもっとも当てはまるもの(各年3-8月)
↑ 該当期間における音楽との関わり合いでもっとも当てはまるもの(各年3-8月)

たとえ現状で対価を支払わない層でも新曲に興味を持つのなら、今後「魅力ある、お金を出す価値があると認めた新曲」を購入し、「有料聴取層」に転じる可能性はある。しかし「新曲にすら興味を持たない」場合、何か特別なきっかけが無ければ、購入層に転じる可能性は低い(ただし既知曲のリバイバルなどなら可能性はある)。

その観点から各回答値を見直すと、市場の活性化を期待できない層(右側二つ)が増加している状況は、音楽業界にとってはあまり好ましいとは言えない。特に2015年における無関心層の、とりわけ一番右の「無関心(曲聴かず)」の急増は由々しき状態に違いない。直近2016年ではそれらの層の値の合計値が減少したのは幸いだが、2013年の値にまでは程遠く、2015年の急落が大規模なイレギュラーによるものではなく、誤差の範囲程度の値動きであり、全体的な傾向に変わりは無いことを認識させる。

せめて「無料聴取」層が増加してくれればよいのだが、2013年まではほぼ変わらない値で推移していたものの、2015年ではそれも大きく減ってしまった。2016年ではいくぶん増加したが、まだ2013年までの水準には届いていない。ちなみにこの層は、無料動画配信サイトなどでの視聴が該当しうるため、動画サイトの普及浸透ぶりを見るに、むしろ増加しても良さそうなのだが、経年の限りではその値動きは生じていない。

若年層で進む「音楽離れ」


これを年齢階層別に区分した上でグラフ化したのが次の図。直近となる2016年分のみを別途抽出したものも併記しておく。

↑ 該当期間における音楽との関わり合いでもっとも当てはまるもの(各年3-8月)(属性別)
↑ 該当期間における音楽との関わり合いでもっとも当てはまるもの(各年3-8月)(属性別)

↑ 該当期間における音楽との関わり合いでもっとも当てはまるもの(2016年3-8月)(属性別)
↑ 該当期間における音楽との関わり合いでもっとも当てはまるもの(2016年3-8月)(属性別)

音楽業界にとって一番のお得意様は学生(直近2016年では各学校種類別の詳細値が出ているが、経年変化を見るために加重平均を行い独自に算出している)。その学生でも少しずつだが「有料聴取」が減り、「無料聴取」ですらも減少し、無関心層が増加している。直近でいくぶん「無料聴取」が増加したのは幸い。

20代から30代も似たような値動きだが、40代以降は2015年の急落以外は「有料聴取」にさほど変化が無く、2016年では前年比でむしろ増加する動きすら見受けられる。2015年の急落もよく見直すと、「無関心(曲聴かず)」の急増は30代以降だが、「有料聴取」の急減は40代以降で生じており、音楽に対する姿勢が30代から40代で大きな変化を見せている感はある。

「無関心(曲聴かず)」は音楽そのものへの興味関心が薄れてしまっている層であり、音楽業界にとってこの層の増加は非常に由々しき事態に違いない。直近2016年では前年の急増加から多くの年齢階層で減少に転じているが、20代から30代ではさらに増加しているのが確認できる。年齢階層別で異なる挙動を示しているのを見るに、上記で言及した「2015年の急落が大規模なイレギュラーによるものではなく、誤差の範囲程度の値動き」であることが裏付けられる。同時に音楽業界においては今後、この層への方策が強く求められるのかもしれない。


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