CD以外で音楽を楽しむサービス、トップは無料動画配信サイト(2013年発表)

2013/03/22 08:45

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日本レコード協会は2013年2月12日、音楽ソフトや有料音楽配信などのような音楽メディアの需要を総合的に把握するのを目的とした「音楽メディアユーザー実態調査」の2012年度版の結果概要を報告書として公表した。今回はその公開データの中から「CDの購入やレンタル以外で音楽を楽しむために利用した商品やサービス」の確認を行うことにする。CDの購入性向が減退する中、それ以外のサービスはどのような動きを見せているだろうか(【発表リリース:2012年度「音楽メディアユーザー実態調査」報告書公表】)。


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今調査は12-69歳の男女(中学生は親の代理回答)に対して2012年8月に実施されたもので、有効回答数は4948人。インターネットアンケート調査方式で行われたもので、性別・世代別・地域別にほぼ均等に回答を集めた後、2010年国勢調査を元にウェイトバックを行い、各種統計では修正後の値を用いている。

先に【CDや着うたフルなどの世代別シェア(音楽メディアユーザー実態調査2012年度版)】などでも記したが、音楽を楽しむ媒体としてのCDはレンタルも新品購入も、概して利用比率が減少する傾向にある。

↑ CD購入・レンタル性向(各年・半年間)(再録)
↑ CD購入・レンタル性向(各年・半年間)(再録)

そこでは人々はCD以外に、どのようなサービスで音楽を楽しんでいるのだろうか……という疑問に答えるのが今回の項目。仮にその他の手段でも利用が減っていたのなら、単に「CD離れ」では無く「音楽離れ」との認識をしなければならない。

↑ この半年間に音楽を楽しむために利用したサービスは(複数回答、2011-2012年)(半年間)
↑ この半年間に音楽を楽しむために利用したサービスは(複数回答、2011-2012年)(半年間)

昨年の同様の記事ではYouTubeやニコニコ動画など具体的サービス名で区分していたのだが、今回2012年分は固有名詞を廃し、類似サービスをまとめて計測している。それによるとトップの手段として挙げられたのは「無料動画配信サイト」。具体的にはYouTubeやニコニコ動画、FC2動画などを意味する。

他のサービスも使っている、CDも購入しているかもしれないが、ともかく6割の人が無料動画配信サイトを介して、音楽を楽しんでいるという結果が出ている。アーティストは独自にチャネルを開いて新曲を配信したり、プロモーション動画を披露して新曲の公知を行うなど、各サイトを有力なメディアとして活用する動きが多数見受けられる。それらの動画だけでも、十分以上に音楽を堪能することは可能だ。昨年と比べて5.5%ポイントも利用率が増加しており、音楽好きの間に「無料動画配信サイトで曲を楽しむ」というスタイルが浸透しつつあることをうかがわせる。

第2位はFM・AMラジオ、第3位はテレビ。トップと比べるとアナログ色が強いが、それでも増加率は無料動画配信サイトのものとさほど変わらず、急成長にあることが分かる。その他カラオケ、ビデオソフトなどが続くが、概して去年より値は積み増しされており、「音楽試聴」のスタイルが多様化してきたのが分かる。

要するに「音楽離れ」ではなく「CD離れ」の方が、現状を表すのには適している。むしろ単に「CD離れ」としてでは無く、「音楽を楽しむ手段の多様化。そしてそれに伴うCDのシェア漸減」と見たほうが道理は通るというものだ。



具体的値が公開されていないのでグラフ生成はかなわないものの、元資料には世代属性別の各サービス利用率も記されている。

↑ 音楽の楽しみ方(原文より、一部)
↑ 音楽の楽しみ方(原文より、一部)

これによると概して新メディアやカラオケは若年層ほど、旧メディアは中堅層以降程利用率が高い。また「コンサート・ライブなどの生演奏」は大学生-20代社会人でもっとも高い値を示す一方、壮齢層以降になると中堅層よりもむしろ値を伸ばしてくるという興味深い動きも確認できる。時間とお金に余裕を持つようになった高齢層が、ライブにも足を運ぶ機会が増えているのかもしれない。


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