キプロスは支援合意を期待して減少、エジプトは増加継続(国債デフォルト確率動向:2013年3月)

2013/03/15 14:45

以前【国債・公債のデフォルト確率上位国をグラフ化してみる(2010年12月17日版)】で説明した通り、経済動向を推し量るために、債権リスクを示す指針の一つ「CPD」をチェック対処とし、主要国・地域の国公債のデフォルト確率上位国を2010年12月以降月一のペースで確認している。今回は2013年3月分として、同月15日時点の数字についてグラフ化、さらには現状の検証を行うことにした。

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国公債のデフォルト確率を表す言葉CPD(5年以内のデフォルト可能性)の細かい定義、データの取得場所、さらには各種概念の説明は一連の記事まとめ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で行われている。そちらで確認してほしい。

今件のグラフは日本時間で2013年3月15日、つまり(日本時間で)本日取得したばかりの一番新しいデータで生成している。前回も掲載されていた国・地域については前回値を併記している。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年3月15日時点)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年3月15日時点)

欧州中央銀行が国債の無制限買取について合意したことを受け、EU諸国のCPDは大きく後退。またユーロ圏内では債務問題に関して、危機のピークを越え、収束の方向に歩みを進めているとの思惑が強まりを見せている。イタリアの政情不安は続き、経済に対する懸念もあるが、一時期のヨーロッパ全体を覆った低迷感ほどではない(各国、EU全体の備えが用意されているのも、パニックに陥らなかった理由の一つ)。

欧州議会とEUとの間では予算周りで駆け引きが続いている。話の流れとしては、IMFの施策変更同様に緊縮予算一本やりから柔軟性の高い、成長が望める方向への改革が求められている。スリム化するために絶食するのではなく、健康状態を維持したままの食事制限に移行したいという望みは理解できる(失業率の高さを見れば、単に財政緊縮だけではすでに限界を迎えているのは明らか)。

昨今ではヨーロッパ以外の諸国、今回月では特にアルゼンチンとエジプトの悪化が目立つ。これは先月からの継続の流れで、注視しなければならない動きである。アルゼンチンは先月伝えた通り、2001年に起こしたデフォルトに絡む処理関連で、最近再び債務問題へのリスクが懸念されており、これがまだ尾を引いている。もっとも先月あたりからは債務不履行リスクが減少、内需拡大策の奏功で株価も持ち直しを見せているため、今後は落ち着きを見せるものと思われる。他方エジプトでは「革命」後の政治的混乱(政局面だけでなく、物理的な対立にまで及んでいる)に納まりが付かず、これが経済状況にも大きな悪影響を与えている。

またキプロスの大きな下げ(状況改善)が目に留まるが、これはユーロ圏の財務相会合(首脳会議後に開催される)でキプロスの求めていた支援策に関する協議を行うと見られており、これによって支援合意が成されるのではないかとの話もあり(【ユーロ圏財務相、15日の会合でキプロス支援問題協議 合意期待高まる(ロイター)】)、これが起因と思われる。


↑ 14-15日に開催のEU首脳会議の様子。
↑ 14-15日に開催のEU首脳会議の様子。【EU leaders at March 2013 EU Council Summit - Roundtable、直接リンクはこちら】)

その他に目立つ動きとしては先月同様、アメリカの州(公債)のうちイリノイ州が上位に入っているのが目に留まる。先月から状況はほぼ変わらず、厳しい状態が続いているようだ。アメリカでは3月1日から歳出の強制削減が始まり、国そのものはもちろん各州でも、今まで以上に厳しい財務状態に追い込まれている。財務状態の改善化とそれに伴う信頼性の底上げという点では期待できるが、それに伴い実経済が悪化するリスクが懸念材料として持ち上がっている。


↑ fiscal cliff、いわゆる「財政の崖」周りの金銭を解説した自作映像。
↑ fiscal cliff、いわゆる「財政の崖」周りの金銭を解説した自作映像。シンプルながらも作り手のセンスが光る。【The Fiscal Cliff - 2013、直接リンクはこちら】

日本の国債に対する値は4半期ごとに更新されるCMD Visionのリスクレポートの最新版【2012年第4四半期リスクレポート(CMA Release Global Sovereign Credit Risk Report Q4 2012、PDF)】で確認できる。これは先月と同じで(四半期更新なので現時点ではまだ計測期間内)、それによると、CPDは6.6%で順位は23位。前四半期の2012年第3四半期の6.9%・17位と比較すると、状況そのものは改善、相対順位は悪化していることになる。CPDの算出上では、日本の財務状況回復の歩みは前進しているものの、上位他国と比べて緩やかであり、相対順位が下がっている。この傾向は数四半期変化がないが、日本の政情変化により、今後どのような動きを見せるかが注目される。

日本の企業動向、株式市場にも大きな影響を与えている、そしてCPDの動きにも(間接的に)影響を及ぼしている(ユーロ安はユーロ圏の財政が不安定化しているのが最大要因。財政不安状態はそのままCPDの上昇につながる)ユーロ動向だが、欧州中央銀行の動きなど情勢の変化を受け、去年の秋口以降、特に冬からは勢いを増しながら、大きくユーロが戻しを見せている。もっともこの一か月ほどの間は、もみ合いに移行している。

↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2013年3月14日)
↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2013年3月14日)

大きく経済・政治動向が動くこのような状況だからこそ、失業率の動向と合わせ、債券リスクに絡むCPDの値は、各国、特にEU諸国の経済情勢をかいま見る有効な指標の一つとなる。今後もEUの失業率同様、CPD値の変化には注意を向ける必要があろう。


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