震災直後に首都圏脱出を考えた人2割強、実行できなかった理由は「仕事の都合」「お金がかかる」

2013/03/11 16:15

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避難ネットエイジアは2013年3月5日、1都3県(首都圏)在住者による東日本大地震・震災(以後「震災」)における行動、及びその行動に対する振り返りに関する調査結果を発表した。それによると調査対象母集団のうち震災当時首都圏に在住していた人で、首都圏外への避難を考えた人は2割強に達していたことが分かった。一方、実際に移動をした人はそのうち1割程度でしかない。移動しなかった9割近くの人の理由としては、自分の仕事の都合や家族の仕事の都合、そして費用がかかることなどが上位に挙げられていた(【発表リリース】)。


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今調査は2012年12月3日から11日に対し、携帯電話を用いたインターネット経由で、1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)に住む人のうち、20-49歳の男女に向けて行われたもので、有効回答数は1200人。男女比、10歳区切りの世代構成比は均等割り当て。

2011年3月に発生した震災以降、度重なる余震や原発事故に絡み、情報の錯綜や煽動などが相次ぎ、首都圏に居ること自体が多分なリスクにさらされるとの認識もあった。そのため、西日本に一時避難すべきと叫ぶ人もいた(実際には声高に叫んだ人が避難した先の方が、自然放射線やその他のリスクが高いという、笑えないオチまでつく事例もある)。

今調査対象母集団のうち「震災当時」に首都圏に居た人で、そのような話に耳を傾け、実際に家族全員、あるいは一部のみを首都圏外に脱出する・させるべきと考えていた人は、24.6%に達していた。

↑ 震災直後の居住地としての希望(震災時に首都圏在住者限定)
↑ 震災直後の居住地としての希望(震災時に首都圏在住者限定)

男女別では女性の方が圧倒的に高く、しかも家族全員とする意見が多い。震災周りの話では女性が過敏な行動・判断をする場合が多いとの調査結果がこれまでにも多数出ているが、今回もそれに従う形となっている。

世代別では歳を経るほど値が大きくなるが、逆に家族全員の率は下がる。これは回答者本人が仕事などで首都圏から離れられない事情によるところが大きい。また子供の居る居ないでは、小さな子供がいる人ほど避難希望者が多い。

これら希望者のうち、実際に行動を起こした人は10.9%(26人)。残りの89.1%(266人)は希望を果たせなかった、つまり首都圏に残ったことになる。ではなぜ避難を望みながら実行しなかったのか、その理由を聞いたところ、最上位についたのは「自分の仕事の都合」で、51.1%の人が答えていた。

↑ 震災直後の居住地希望に関し、首都圏外への避難を望むも希望通りにいかなかった理由(対象者のみ回答)(複数回答)
↑ 震災直後の居住地希望に関し、首都圏外への避難を望むも希望通りにいかなかった理由(対象者のみ回答)(複数回答)

某タレントやジャーナリストのように仕事を投げ出して「避難」した人もちまたでは見受けられるが、それらはむしろ少数派。家族の仕事の都合とする人も41.4%おり、主に仕事と避難の必要性を天秤にかけ、仕事に軍配が上がった人が大部分だったということになる。

また、もっとシンプルに「お金がかかる」「そこまでの必要は無いと考えた」とする人も1/3以上いる。震災後の混乱で焦りを覚えつつも、それなりに冷静に判断・そろばん勘定が出来ていたことがうかがえる。不安による避難衝動は少なからぬ人が抱えていたが、それなりに冷静な判断を下した人も多数いた次第である。あるいは避難希望の考えそのものが、それほど強いものではなかったのかもしれない。


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