新聞がやや軟調、テレビとネットが全体をプラスに引っ張る(経産省広告売上推移:2013年3月発表分)

2013/03/11 11:30

経済産業省は2013年3月8日、特定サービス産業動態統計調査において、2013年1月分の速報データを発表した。それによると、2013年1月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でプラス1.8%と増加していることが明らかになった。主要項目別では「新聞」がマイナス5.6%と、もっとも低迷している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得元や選択項目の詳細に関しては記事の一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】の中で解説している。そちらで確認してほしい。今記事はその2013年1月分データ(公開は2013年3月)の速報値を反映させたもの。なおそれより前のデータに関しては、速報値の後に発表される確定値で修正された値を用いている。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2012年12-2013年1月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2012年12月-2013年1月)

比較しやすいように先月発表データ(確定値に修正済み)と並列してグラフ化した。今回月では取り上げた5項目において、典型的な中期的流れと同じ動きをしている。すなわち4マスでは「テレビ」がやや弱含みながらもプラス、それ以外は下落、そして「インターネット広告」の増加という具合。

該当月の電通・博報堂に関する記事【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2013年1月分)】でも、「テレビ」の健闘、インターネットの順調さの動きは確認できる。今回の経産省のデータ傾向が今調査のみの特異的なものでは無く、広告市場全体の状況を表していることが分かる(特定サービス産業動態統計調査の特性上、そうでなければ困るのだが)。

今回も該当月における各区分の具体的売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは異なるため(そして広告業者は当然電通・博報堂だけではないため)、額面の一致・類似性は無い。今調査内における相対的な値、比較用の数字と見てほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年1月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年1月、億円)

金額面で見ると昨今では「新聞」を抜く月が増え、主要5項目では「テレビ」に次ぐポジションを得る機会を持つようになった「インターネット広告」(【新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる(2012年7月まで対応版)】)。今月発表分は先月分から転じて、「新聞」を「インターネット広告」が追い抜く形となった。先月の特需の余波かもしれない。

次に、公開されているデータの中期的推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年1月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年1月分まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で2009年後半以降は回復、プラス圏を維持。他項目には見られない大きなプラスを示すことが多い」「テレビは2010年あたりから戻しの雰囲気を見せ、プラス圏に手が届いた」「ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小」「雑誌はかなり厳しいレベルの下げ幅を継続していたが、ここしばらくは復調の気配もあり、下げ幅を縮小」という傾向を見せてい”た”。そして東日本大地震・震災は広告費にも影響を及ぼし、2011年3月分から各値は大きなうねり・変移を起こしている。

今回月は震災による直接影響はもちろん、間接的影響(震災後の大下落の反動として前年同月比での堅調さ)も消え去り、個々の現況にあった形での動きが出ている。”前回月では「新聞」の動きが特需で終わるのか、それとも次回月以降も続くのか、気になるところ”とは前月のくだりだが、今回月の値を見る限り、これはやはり特需だったようだ。

テレビ紙媒体の電子媒体への一部移行と適正な住み分け、電子媒体の広告プラットフォームとしての正当評価は、メディアの技術進歩や需給関係の変化、媒体の世間一般への浸透と共に、漸次進行する。日本の場合は他の先進諸国よりも強い形で既存メディアが悪い意味での既得権益化し、時代遅れな態度を維持していることから、「立ち位置の正常化」「世界の流れに追随する歩み」は遅れているのが現状。

一方で2011年3月に発生した東日本大地震・震災とそれに起因する各種震災・人災は、消費者の心理変化という結果も生み出した。そして広告出稿側のコスト意識の変動(多くは費用対効果の厳粛・厳密化)、地震報道などで露呈した各媒体の「真の価値」に対する、視聴者・広告主による意識の移り変わりのきっかけとなった。旧態依然の面が多い広告業界ですらも一部軌道修正の上で、全体における変化の「時計の針」を少しずつ、あるいは一部分ではあるが、押し進めている。

今後も電通・博報堂の月次レポートの分析と共に、今件特定サービス産業動態統計調査の結果を確認し、メディアと広告の状況変化の移り変わりを追うことをお勧めする。中長期的に見ることで、時代の躍動が、頭にイメージされるに違いない。

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