吉野家・松屋は軟調だがうるう年関係で多少の修正必要…牛丼御三家売上:2013年2月分

2013/03/07 07:55

吉野家ホールディングス(9861)は2013年3月5日、同社の子会社である牛丼チェーン店吉野家の2013年2月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でマイナス1.5%となった。牛丼御三家のうち松屋フーズ(9887)が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年2月における売上前年同月比はマイナス10.5%、ゼンショー(7550)が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス10.1%の動きを見せている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

スポンサードリンク


↑ 牛丼御三家2013年2月営業成績
↑ 牛丼御三家2013年2月営業成績

吉野家について昨年同月と比較すると、一年前における客単価前年比はプラス3.3%であり、そこからさらに2.3%の引き上げに成功している(2年越しで計算すると約5.7%のプラス)。【吉野家、新メニュー「牛焼肉丼」を13日から発売】にもある通り2012年9月13日から発売を開始した「牛焼肉丼」、【吉野家、焼味豚丼 十勝仕立てを11月1日から販売再開】のように販売を再開した「焼味豚丼 十勝仕立て」、そして同年11月30日から発売中の「焼鳥つくね丼」は確実に客単価の引き上げを果たしている。これらの新商品の売上も【吉野家の焼き物系丼、累計5000万食突破】にある通り、堅調。ただし客入りは減少を継続中で、これが売上高の頭を押さえる原因となった。

マーボーカレー(松屋)松屋は客数と客単価のバランスを取る姿勢が巧みで、客単価が不調気味でもその分客数がカバーをし、売上高を積み増し、安定的な売上を継続するスタイルを踏襲していた。しかしここしばらくの間は客数の減退が目立ち、客単価の勢いにも陰りを見せている。今回該当月は【マーボーカレー(松屋) 試食】【松屋から定番メニュー「角切りステーキ定食」今年も登場】のように引き続き高単価の魅力的な新商品を展開する一方、試験的に導入していた「焼き牛めし」の全国展開を開始するなど、精力的な動きを見せており、客単価はプラス8.1%と良い値を示した。しかし客数の減りは大きく、売上は御三家中最大の下げ幅マイナス17.2%を示すこととなった。ただし昨年同月の客数はプラス8.4%であることから、この反動の影響がいくぶん考えられる(2年越し計算では客数は約マイナス10.2%となる)。

すき家では【ねぎキムチ牛丼(すき家)試食】【カレー牛丼とはひと味違う…すき家から「カレー南蛮牛丼」発売】にある通り、該当月では他社同様高単価商品の展開を行い、これが功を奏したのか、わずかながらも客単価は向上。しかし客数の減りは厳しく、売上も大きく減らしてしまっている。

なお今年の2月は28日までなのに対し、昨年はうるう年で29日まで。単純に前年同月比で計算すると1日分・約3%の差異(マイナス)が生じる。これについて吉野家・松屋は一か月分をまとめて計算した関係で「マイナスの影響がある」と注意書きしているのに対し、すき家では既存店前年同月比については「1日平均で前年との比較を行っている」とし、うるう年周りの誤差は生じていないとしている。シンプルに吉野家・松屋の売上高と客数を3%分調整すると、吉野家の売上は前年同月比でプラスに転じ、次いで松屋、そしてすき家がもっとも売上において振るわなかった計算になる。一方で客数では順位は変わらず、3社とも前年同月でマイナスなのも変わりない(客単価はうるう年の影響は受けない)。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2013年2月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2013年2月)

2011年3月以降は東日本大地震・震災による直接的影響に加え、消費マインドの変化、世情の活性化祈願も兼ねた安売りセールなどで、客単価や客数、そして売上も大きく変化している。特に数年前において毎月のように繰り広げられた安売りキャンペーンは新鮮味もすでに無く、ブランド力の低下も懸念され、今では沈静化を見せている。むしろ客単価を底上げする(見方を変えれば元に戻す)ため、比較的高価格な商品展開が相次いでいる。

2012年後半以降はそれらの「チキンレースに後押しされた無理な前進」の後遺症ともいえる、各社の低迷ぶりが目に留まる。特に客数動向の点で、前年同月比マイナスが続いているのが気になる(吉野家は14か月、松屋は11か月、すき家は15か月、客数の前年同月比マイナスが継続中)。牛丼離れ的な動き、さらには消費全体の性向そのものにすら変化が生じ、その影響が数字となって表れている可能性は小さくない。

東京チカラめし昨今では新興勢力である「東京チカラめし」に刺激を受けた形による、焼肉系丼の動きが注目される。この系統の商品は「新鮮味による集客効果」と「客単価の引き上げ」双方の効果が期待できるのがポイント。各社ともすでに定番商品として導入を果たしている。単価の面ではそれなりに成果も上がっているが、業績全体に与える影響はまだ小さい。

さらに牛丼価格帯の食事需要に関して「東京チカラめし」以外にも、コンビニで相次いで展開される低価格弁当やミニサイズの食品、数々のお総菜などの多様なサービス展開が、従来牛丼を食する層のシェアを侵食している可能性も十分考えられる。先日検証を行った記事【コンビニエンスストアの商品構成別売上推移をグラフ化してみる(2012年12月分まで反映)】にもある通り、2010年の後半以降コンビニの日配食品における月次前年同月比はプラスを維持しており、堅調な流れの中にある。昨今のコンビニのレジ横商品をはじめとした各種フライ物・お弁当・惣菜などの日配食品の充実ぶりを見ると、あながち見当違いの話でも無い。

他の小売、特に食品関連の動向とも浅からぬ関係のある牛丼御三家の今後の動向に、引き続き注目したいところだ。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー