子供のネットトラブル、減少継続中(2012年通期データ反映版)

2013/03/05 07:55

携帯と子供警察庁は2013年2月28日、2012年通期における出会い系サイトなどに関連した事件の検挙状況をはじめ、各種現状を伝える報告書「平成24年中の出会い系サイト等に起因する事犯の現状と対策について」を発表した。それによると2012年通期における出会い系サイトの事件検挙件数は848件と前年比でマイナス156件、被害にあった児童は218人で前年比マイナス64人と、件数・人数共に減少の傾向を見せている。一方でコミュニティサイト(以前は「出会い系サイト以外のサイト」と呼ばれていたもの。SNS、プロフィールサイトなど、ウェブサイト内で多人数とコミュニケーションがとれるウェブサイトのうち、出会い系サイトを除いたものの総称)では、検挙件数は1311件(マイナス110件)、被害児童数は1076人(マイナス9人)と、こちらも件数・人数共に減少する状況にある。警察庁側では引き続き問題のある出会い系サイト事業者に対する取り締まりを徹底継続すると共に、コミュニティサイト対策としては「サイトの規模、態様及び児童被害など防止に向けた取組状況に応じた、ミニメール内容確認などサイト内監視体制の強化促進」「フィルタリングの普及徹底」「実効性のあるゾーニングの更なる促進」などを求めていくとしている。またEMA(一般社団法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)への情報提供によるサイトの厳格な認定・監視なども続けるとのこと。さらに「新たなコミニュケーションサービスに対する対応の検討」として、多様化するサービスにも注意をうながすよう求めている(【発表リリース、PDF】)。

スポンサードリンク


子供のネット界隈での問題は以前【子供がネットトラブルを起こしそうな場所、親はちゃんと把握して……ない!?】でも取り上げ、アメリカにおける同様の事情として【米社会の子供達のネットとの付き合い方を箇条書きにしてみる】【ネット上でいじめを受けている子供の徴候】を紹介した。また【サイバー餌付け(cyber-baiting)ってなんぞや?】【多種多様な問題点が浮き彫りに...シマンテック発・子供のインターネット利用実態】などで解説しているが、インターネットへアクセスできるデジタル機器の子供への浸透率の向上と共に、多種多様な問題が発生、セキュリティ関連会社でも高い関心を示し、対策や啓蒙を呈している。今回警察庁から発表されたデータは、日本における子供とネットの関係上の「リスク」において、問題を生じる場所がもはや「出会い系サイト」は少数派となり、一般的な「コミュニティサイト」がそれにとって代わり多数派を占めつつあることを再確認させる結果となっている。

今報告書では2012年を通した統計データとして、「コミュニティサイト」のリスクが「出会い系サイト」以上であること、そして双方ともこの二、三年では漸減傾向にあることが確認できる。

↑ 出会い系・出会い系以外のサイトに関連した被害児童数・検挙数推移
↑ 出会い系・出会い系以外のサイトに関連した被害児童数・検挙数推移

・各種規制の強化や啓蒙で、出会い系サイトを対象とした児童周辺の問題数は減少傾向にあった。2012年では2011年において増加した被害児童数が再び減少に向かい、状況は改善されつつある(青色系統)。
・コミュニティサイトの児童関連問題は増加の一途をたどっていた。しかしそれも2010年で頭打ち。今年2012年は昨年同様、減少傾向を見せた。ただし被害数の減少率は小さめ(赤系統色)

出会い系サイトについては、2008年の「出会い系サイト規制法」の改正で事業者の届け出制を強化すると共に、各種フィルタリングの強化が功を奏している。逆にコミュニティサイト絡みでは計測を始めた2008年以降増加を続け、憂慮すべき事態となっていた。しかし2011年でははじめて明らかな減少傾向を確認、以後2012年もその流れを踏襲している。

この数年間「コミュニティサイト」のリスク体現化件数が増加していた理由はいくつかあるが、主なものを挙げると

・普通のソーシャルメディアなどコミュニティ系のサービスで行われるので、フィルタの対象になりにくい
・業界団体の「健全認定」を受けたサイトでも状況は発生しうる(必要キーワードの隠語・暗号化など、実行者の手口の巧妙化が行われる)
・「健全認定」を受けたところも含め、ソーシャルメディアなどの利用者数そのものが増加している(発生確率が同じでも、参加人数が増えれば、確率論的に「事故発生数」は増加する)

などがある。2012年は2011年に続き「コミュニティサイト」でも件数・人数が減少しているが、「今後の継続対策」部分でも挙げられている「ミニメール内容確認等の推進」の効果が発揮されつつあることを裏付けるものとなっている。

インターネットをする子供警察庁では【コミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査分析について(平成24年上半期)(PDF)】を2012年11月5日に発表。「コミュニティサイト」に関して、児童被害に関する独自の分析を行っている。そこでは前半期よりも「ミニメール内容確認の強化の成果があがっている」などのデータが読み取れる。一方、規制強化に伴い、サイト内のプロフィールや掲示板、さらにはチャットで連絡を取ろうとする手法が浸透しつつあり、これに対する警戒を強めている。

不特定多数の人が集まる場が存在する以上、そのような「状況」が発生し得るのは確率論的に避けることはできず、また人数が増えれば「比率」は低くても「絶対数」が増え得るのも避け難い(例:100人の0.1%なら1人ですらないが、100万人の0.1%なら1000人が発生しうる)。しかし「比率として低いから『仕方ない』と妥協する」ことが出来ないのが、犯罪防止関連の対策。特にコミュニティサイトは元々普通のコミュニケーションを行うための場所であることから、その場所での児童被害者が、出会い系サイトのそれよりも低年齢なことも重要な問題と受け止められている。

↑ 出会い系・コミュニティサイトにおける児童(18歳未満)の被害者数(2012年通期)
↑ 出会い系・コミュニティサイトにおける児童(18歳未満)の被害者数(2012年通期)

携帯電話事業をはじめとする関連業界側としては、「健全認定」が単なるお飾り的なものとして世間一般に軽視されることが無いよう、現実的には困難だとしても、「発生数ゼロ」を目指して最大限の努力を続ける必要がある。

それと共に保護者や教員など周囲の人たちは児童に対する啓蒙・周知を徹底、そして子供自身も十分な注意が求められる。特に携帯電話やインターネットの利用が「当たり前」のものとなった昨今において、保護者の子供への啓蒙・周知責任は、「社会生活に慣れさせる」という視点で、それこそ「電話のかけかた」「横断歩道の渡り方」「信号の意味」「お買い物の仕方」と同じレベルで重要であることを忘れてはならない。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー