「夫婦別姓選択」意向の年齢階層別ギャップをもう少し詳しく調べてみる(最新)
2018/02/16 05:07


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今調査の調査要綱は先行記事「「夫婦別姓選択」賛成派は反対派を上回る(最新)」を参照のこと。
以前解説した通り、選択的な夫婦別氏制度(夫婦の希望があれば、婚姻前の氏を名乗ってもよいとするもの)に関し、若年層ほど賛成派が多く、高齢者ほど反対派、つまり「現行制度の通り、夫婦は必ず同じ姓を名乗るべき」とする人が多い。また「同じ姓を名乗るべきだが、元の姓を通称として使えるようにすべき」とする意見も、若年層の方が同意派は多い。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(2017年11-12月)(男女、年齢階層別)(再録)
仮にこの傾向がそれぞれの「世代」(一定時期内に生まれた人達)特有のものとするならば、10年前は1区切り分若い世代、男女とも60-69歳の層でも「別姓反対派」が多数を占めるはず。そこで同様の調査が行われたほぼ10年前の2006年、そして年齢階層別が取得可能なもっとも古い調査となる2001年におけるデータを抽出し、同じようにグラフ化したのが次の図。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(2006年11-12月)(男女・年齢階層別)

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(2001年5月)(男女・年齢階層別)
少なくとも過去10年ほどの間においては、「個々の世代に属する人が、夫婦の別氏制度に関して同じ意見を維持したまま、年を取った形跡は見られない」。むしろ直近分の2017年において、女性の中堅層までの間で押しなべて賛成派が同じぐらいの割合に達したのが目に留まる。世代のシフトなどでは説明ができず、社会的現象として現役女性の間に、選択的な夫婦別氏制度を肯定する気運が高まったと見るべきか。
もちろん10年前に回答した人がそのまま直近の調査でも答えたわけでは無いので、あくまでも全体的な傾向としての話ではあるが、「同じ意見を持ったまま年を取る」との仮説には結びつかない。
「別姓反対派」の意見を持つ人の動きをまとめたのが次のグラフ。なお調査対象の下限年齢は2012年までは20歳、2017年以降は18歳となっている。

↑ 「婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない」回答率推移(男女・年齢階層別)
回答世代が年を重ねてもそのまま同じ意見を踏襲するのでは無く、各年齢である程度固定化された意見があり、その一方で時代の流れとともに少しずつ個々の年齢に変化が生じると見たほうが自然ではある。
後述するが、全体値の傾向がほぼ同じだった2001年の結果と比べると、男性は20代までは2017年の方が回答率が高い=賛成派が多いのに対し、30代以降は2001年の方が回答率が高い、女性は30代までが2017年の方が高く、40代以降は2001年の方が高い結果が出ている。16年の間に若年層で賛成派が増え、中堅層以降で減り、結果としてバランスがほぼ均等となったようだ。
もう10年・20年とさかのぼり、年齢階層別の動向から世代のシフトを確認できるとよいのだが、残念ながら2001年より前の結果は全体値しか収録されていない。さらに1994年以前は設問の選択肢が大きく異なり(例えば「別姓は許可されるべきでは無いが、通称を使えるように」との選択肢が無い)、厳密には連続性は無い。それでもあえてグラフ化を行ったのが次の図。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(全体、経年推移)
「通称利用」の選択肢が与えられたこともあり、1996年の調査以降「別姓反対派」が減る動きを示している。2006年から2012年にかけていくぶん値を戻したものの、直近2017年で再び2001年の水準に戻った雰囲気。上記にある通り年齢階層別では構成に違いがあるものの、全体の意見としては直近の結果は2001年とほぼ同じで、今世紀に入ってからは賛成派と反対派が10%ポイント内外のやり取りをする動きにあると見るべきだろう。
なお高齢層で「別姓反対派」の意見が多数に上る理由は、今件調査からだけでは判断が難しい。年を経る=人生経験が長いことを意味していることから、「今までの制度で長年過ごしてきたが、大きな問題は無かった。だから今後あえて制度を変え、混乱のリスクを積み増しする必要は無い」との考えを、高齢者の多くは有しているのかもしれない。
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