「夫婦別姓選択」意向の世代間ギャップをもう少し詳しく調べてみる

2013/02/28 11:30

名前先日【「夫婦別姓選択」反対派、賛成派をわずかに上回る】で内閣府の「家族の法制に関する世論調査」を元に、現行制度における「夫婦同姓義務」に関する世間一般の意向を確認した。大まかにまとめると「若年層は夫婦別姓の選択肢容認派が多数」「高齢層は夫婦別姓反対派が多数」「全体としては夫婦別姓反対派がやや上回る」というものだった。その結果を受け、「時間が経てば世論全体としても夫婦別姓選択肢の容認派が多数に及ぶ」という意見をいくつかいただくことになった。要は「若年層は賛成派多数。その人たちは歳をとっても賛成し続けるから、じきに高齢層も賛成派で埋まる」というものだ。この件に関し、未来の事象を眺めることはできないが、過去の事例から未来を予想することは可能。そこで今回は過去の調査データがどのような動きをしているかを確認してみることにした。

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以前解説した通り、選択的な夫婦別氏制度(夫婦の希望があれば、婚姻前の氏を名乗っても良いとするもの)に関し、若年層ほど肯定派が多く、高齢者ほど否定派、つまり「現行制度の通り、夫婦は必ず同じ姓を名乗るべき」とする人が多い。また「同じ姓を名乗るべきだが、元の姓を通称として使えるようにすべき」とする意見も、若年層の方が支持派が多い。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(性別、世代別)(2012年)
↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(性別、世代別)(2012年)

仮にこの傾向がそれぞれの世代に属する人たち特有のものとするならば、10年前は1区切り分若い世代、男女とも50-59歳の層でも「別姓反対派」が多数を占めるはず。そこで同様の調査が行われた2001年、そしてそのほぼ中間にあたる2006年におけるデータを抽出し、同じようにグラフ化したのが次の図。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(性別、世代別)(2006年)
↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(性別、世代別)(2006年)

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(性別、世代別)(2001年)
↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(性別、世代別)(2001年)

前回の記事でも多少触れているが、少なくとも過去10年ほどの間においては、「個々の世代に属する人が、夫婦の別氏制度に関して同じ意見を維持したまま、歳をとった形跡は見られない」。例えば2001年・男性20代の「夫婦別姓選択賛成派」は51.4%。この世代はほぼ10年後の2012年では30代に該当するが、同様の意見を持つ人は39.6%にまで下がっている。もちろん10年前に回答した人がそのまま直近の調査でも答えたわけではないので、あくまでも全体的な傾向としての話ではあるが、「同じ意見を有したまま歳を経る」という仮説には結びつかない。

「別姓反対派」の意見を持つ人の動きをまとめたのが次のグラフ。

↑ 「婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない」回答率
↑ 「婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない」回答率

回答世代が歳を経てもそのまま同じ意見を踏襲するという考え方よりは、各年齢である程度固定化された意見があり、その一方で時代の流れと共に少しずつ個々の年齢に変化が生じると見たほうが自然ではある。

もう10年・20年とさかのぼり、世代別の動向を見れると良いのだが、残念ながら2001年より前のデータは全体値しか収録されていない。さらに1994年以前は設問の選択肢が大きく異なり(例えば「別姓はダメ。ただし通称を使えるように」との選択肢が無い)、厳密には連続性は無い。それでもあえてグラフ化を行ったのが次の図。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(全体、経年変移)
↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(全体、経年変移)

「通称利用」の選択肢が与えられたこともあり、1996年の調査以降「別姓反対派」が一時的に大きく減る動きを示している。しかしこれも2001年がピークで、それ以降は少しずつではあるが「別姓反対派の増加」「別姓選択賛成派の減少」「通称利用可能派の横ばい」という図式が確認できる。



「高齢化が進み、人口比率の上で『別姓反対派』を唱える可能性が高い高齢者が増えるので、全体的にも反対派が増加するのは仕方がない」とする意見もある。しかし上記グラフの通り、若年層でも特に男性で反対派が増える傾向にあり、その意見にも疑問符を投げかけざるを得ない。本文中でも触れているが、個々の世代特有の意向・傾向というよりは、回答時・当事者の年齢によるものが色濃く出ていると考えた方が妥当性を覚える。

一方理由については、今件調査からだけでは判断が難しい。歳を経る=人生経験が長いことを意味していることから、「今までの制度で長年過ごしてきたが、大きな問題は無かった。だから今後あえて制度を変え、混乱のリスクを積み増しする必要は無いのではないか」という考えを、高齢者の多くは有しているのかもしれない。

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