今年は回復したが5年前と比べると…4マスへの業種別広告費の「5年間の」推移(2013年発表)

2013/02/27 07:55

2013年2月22日に公開した記事【電通資料を基に過去20余年の媒体別広告費の移り変わりをグラフ化してみる(2012年分反映版)】でも触れているように、電通は2013年2月21日、日本の広告費に関する調査報告書を発表した。その資料によれば、電通推定による2012年の日本の総広告費は「前年比3.2%増の5兆8913億円」であることが明らかにされた。世界同時金融危機・不況で減少した2008年以降継続していた前年比マイナスからようやく転じ、2012年は5年ぶりに前年比プラスの値となった。今回はこの報告書から、いわゆる4大既存メディア「テレビ」「雑誌」「新聞」「ラジオ」における、業種別広告費の5年前と直近(2012年)との比較をグラフ化してみることにした。各業種における、主要媒体に対する中期ベースでのアプローチの変化をかいま見れるはずだ(【発表リリース、PDF】)。

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2012年における媒体別広告費前年比は次の通り。今回取扱う4媒体ではラジオのみが前年比マイナスで、後はプラス。

↑ 2012年媒体別広告費前年比(再録)
↑ 2012年媒体別広告費前年比(再録)

それでは5年単位の変化はどのようなものだろうか。それが今回の記事の主旨。

区切りを「5年」にしたのにはいくつか理由がある。一つは「きりが良いから」。そしてもう一つは同じきりが良い10年前の値との比較となると、データの継続性に問題が生じるため。以前の記事でも記しているが、今データでは「2004年と2005年の間で広告費の区分などの変更がなされているため、厳密にはその間前後のデータに継続性は無い」。10年区切りで考えると、この点に問題が生じてしまう。2016年分のデータからは、10年単位での精査を行うこととし、今回も5年区切りで考えることにする。

報告書には4大既存メディア「テレビ」「雑誌」「新聞」「ラジオ」に対する21に区分した広告主業種別の広告費の推移が掲載されている。2007年と2012年における値を抽出してグラフ化したのが次の図。増加した業種は1つのみ。

↑ 業種別広告費(既存4大メディア全体、2007年と2012年)(億円)
↑ 業種別広告費(既存4大メディア全体、2007年と2012年)(億円)

5年の期間には今なお続いている「金融危機」の期間も含まれている。その影響が「金融・保険」や「自動車・関連品」に大きく出ているのがひと目で分かる。元々大きな額だっただけに、減少比率が大きいと余計に目立つ。

他方、「家庭用品」は元々額が小さかったものの5年前と比べればプラスを見せている。「家庭用品」には「石油・ガス機器、寝具、インテリア、家具、仏具、台所用品、殺虫・防虫剤、芳香・消臭剤など」が該当すると説明されているが、元々視聴者に身近な、そして消費者が新商品に敏感でライバル的な商品が多い業界なだけに、景気動向に左右して出稿を減らすと命取りになりかねないという広告主側の思惑があるものと考えられる。

直上のグラフは額面の推移が把握できるものだが、減少比率を算出してグラフ化すると、個別の業種毎の「4大既存メディアに対する広告費」の減らし具合が見えてくる。

↑ 業種別広告費(既存4大メディア全体、2007年から2012年への変移)
↑ 業種別広告費(既存4大メディア全体、2007年から2012年への変移)

某テレビCMではないが「3割、4割引きは当たり前」の状況で、唯一プラスを示す「家庭用品」が余計に目立つ結果となっている。他方「案内・その他」と「エネルギー・素材・機械」の下げが目立つが、この2項目は金融危機ぼっ発以来ほぼ毎年のように額を減らしているのが確認されている。

↑ エネルギー・素材・機械/案内・その他の広告費推移(対既存4大メディア、億円)
↑ エネルギー・素材・機械/案内・その他の広告費推移(対既存4大メディア、億円)

「エネルギー・素材・機械」「案内・その他」両項目とも基本として金融危機に伴い経費削減を行い、その影響が広告費減退に結びついていると考えれば道理が通る(さらには4マス「以外」への広告費を積み増すため、相対的に減らすという面もあるのだろう)。一方で前者における2011年から2012年に至る急落では「震災関連事故に伴う出費の急増や対メディア施策の転換」が要因と考えらるなど、特異な動きも確認できる。

それにしても5年前比で増加しているのは「家庭用品」1項目のみという寂しい状態。それと共に各業界そのものの盛衰にもよるところがあるが、わずか5年間の動きであることを考えると、あまりにもの額面の変化に驚く人も多いはず。金融危機に伴う広告費の減退がいかに大きかったか、4マスに多大な影響を与えているかが改めて認識できる。



やや蛇足ではあるが、ある手法による影響度を算出しておく。単純に「5年間の総減少額」のうち、どれほどの割合を各業種の減少分で構成したのかを計算したもの。例えば「自動車・関連品」は6.6%と出ているので、5年間の総減少分7903億円のうち6.6%・522億円ほどが減ったことになる。

↑ 業種別・2007年-2012年の広告費変移が与えた影響度(既存4大メディア全体、5年間の変移額のうち占める割合)
↑ 業種別・2007年-2012年の広告費変移が与えた影響度(既存4大メディア全体、5年間の変移額のうち占める割合)

「金融・保険」と「交通・レジャー」だけで減少額の2割強を占めていることが分かる。また、例えば個別の減少率としては59.1%のマイナスと大きい「エネルギー・素材・機械」は、額面の上ではメディアに対する影響が小さめなのが確認できよう。さらに「家庭用品」は5年前比がプラスだったため、「減少額に占める割合」としてはマイナス値が出ている、つまり差額のマイナス化を邪魔していることになる。

広告費全体の大幅な減退は2008-2009年に起きている(リーマンショックによるところが大きい)。5年前比で換算する今件記事の場合、あと1、2回分は今回同様マイナス値の項目が多数を占める傾向が続くことだろう。

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