2022年は戸数は減少、販売価格は微増…24年間のマンション販売戸数と平均単価(最新)

2023/03/07 16:09

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2023-0307不動産経済研究所は2023年2月21日、2022年の全国マンション市場動向を発表した。それによると民間マンションの2022年の発売戸数は7万2967戸となり、前年に比べて5.9%の減少となった。これは2年ぶりの前年比での減少となる。一方で戸あたりの平均価格は5121万円となり、前年比で0.1%の上昇を見せている(【発表リリース一覧ページ:全国新築分譲マンション市場動向2022年(年間のまとめ)】)。

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2022年における全国のマンション販売動向の詳細な解説はリリースにある通りだが、概要をまとめると以下のようになる。

・マンションの発売戸数は前年比5.9%減。首都圏と近畿圏で減少し、その他の地域では増加している。首都圏は12.1%減と大幅な減少ぶり。

・発売価格平均値は5121万。前年の5115万円と比べて0.1%増。1平方メートルあたりの単価は79.3万円。前年比で0.9万円・1.1%のアップ。

それでは早速過去のデータと合わせ、発売戸数と発売価格をグラフ化し、状況の推移を推し量ることにする。まずはマンション販売戸数の推移。首都圏・近畿圏・その他、そして全国の合計値について。

↑ 民間マンション販売戸数前年比(2022年)
↑ 民間マンション販売戸数前年比(2022年)

↑ 民間マンション発売戸数(地域別、戸)
↑ 民間マンション発売戸数(地域別、戸)

発売戸数そのものは、直近のいわゆる「不動産プチバブル」時期にも大きくプラスに転じていたわけではない。首都圏・近畿圏ではほぼ横ばいに推移し、「その他」地域が2005年から1、2年増えている動きを見ると、大都市圏ではなくその周辺地域で発売物件数が増加していたことが分かる。

一方で首都圏では2005年から、近畿圏でも2006年あたりから発売戸数の減少が見られ、それに伴い全国合計数も減少。2007年以降は雪なだれ式にその数を減らしている。2009年にはその動きもようやくゆるやかなものとなり、2010年に至ると首都圏ではプラスに転じることになった。他方近畿圏や「その他」も持ち直しを見せているが、その歩みはゆるやかなものにとどまっている。

2013年は景気の回復感、不動産に対する投資意欲の復帰、さらには消費税率引上げ前の駆け込み需要などプラス要素が重なり、特に首都圏で大きく上昇した。近畿圏はメインとなる大阪府の供給が前年からほぼ横ばいだったのを受け、上昇幅も大人しいものとなっている。

そしてその次の年となる2014年は消費税率引上げによる、直前までの特需の反動、さらには消費性向の減退に伴い、どの地域でも大きく販売戸数は減退。全国の値ではリーマンショック後に大きく下落した後、立ち直りを見せ始めた2010年の値である8万4701戸/年にほぼ近い水準にまで下落してしまっている。

直近となる2022年では首都圏と近畿圏では減少、その他の地域ではわずかに増加。前年における前年比でもその他の地域は他地域と比べて増加幅が大きかったが、直近年でもその他地域の好調ぶりが目にとまる形となった。

首都圏の内情を見ると、東京23区や都下、神奈川県では大きな減少を示しているが、千葉県では小幅な減少にとどまり、埼玉県では増加の動きすら見られる。他方、近畿圏では兵庫県や滋賀県で減少し、他の府県では増加している。

続いて販売価格推移。「その他の地域」は値が非公開のため、全国、首都圏、近畿圏のみの動向を記す。

↑ 民間マンション販売価格前年比(2022年)
↑ 民間マンション販売価格前年比(2022年)

↑ 民間マンション発売価格(地域別、万円)
↑ 民間マンション発売価格(地域別、万円)

販売戸数の動向とは連動性の無い形でのグラフが描かれている。元々マンションは高額商品であり大抵は一生、あるいは半生をかけてローンを支払っていくもの。年間で10%も20%も上下されては困るが、それでも(大きな上昇が見える)2007年は7.1%も上昇していた。2008年は2.3%と上昇率が落ちたが、まだ全国平均では上昇していた。

「このまま上昇を続けるのでは」とも思われたが、需給バランスの関係から高値維持は難しいようで、2009年はさすがに下落傾向を見せた。しかし2010年には大手デベロッパーが主導する形で都市部の市場を形成し、それぞれの圏域での上昇を支えていた。その後数年は下げ基調にあったものの、2013年以降は増加に転じ、その上昇率も以前同様、さらにはそれ以上の動きを示す形となっている。

直近の2022年では全国の前年比上昇率はプラス0.1%、首都圏でプラス0.4%、近畿圏ではプラス1.6%。その他地域総合の価格動向が無いのは残念だが、どの地域でも上昇している。近畿圏の中身を見ると、特に京都府での上昇率が大きくプラス24.4%を示している。人件費や材料費の高騰によるコストの増加や、利便性の高い地域への人気の集中などを受け、単価は上昇傾向を続けており、今後もこの右肩上がり状態は続きそうだ。



不動産の動向は取引単価が大きいことから、経済そのものの流れにおいて無視できぬ要素となる。2022年は全体戸数は減少したが、販売価格は上昇している。

なお同研究所では2023年の販売動向について、見込みは約7.5万戸、前年比2.8%増とのを予想している。その予想にどこまで実態が近づくか、新型コロナウイルスの流行や資源高騰をはじめとした多数の要因の影響も合わせ、注意深く見守りたい。


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