2015年は近畿圏以外で戸数減少、単価は首都圏・近畿圏共に大幅上昇…17年間のマンション販売戸数と平均単価をグラフ化してみる(最新)

2016/02/23 11:04

不動産経済研究所は2016年2月22日、2015年の全国マンション市場動向を発表した。それによると民間マンションの2015年の発売戸数は7万8089戸となり、前年に比べて6.1%の減少となった。これは2年連続の前年比での減少となる。一方で平均価格は4618万円となり、前年比で7.2%の増加を見せている(【発表リリース一覧ページ:全国マンション市場動向2015年(年間のまとめ)】)。

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2015年における全国のマンション販売動向の詳細な解説はリリースにある通りだが、概要をまとめると以下のようになる。

・マンションの発売戸数は前年比6.1%減。近畿圏、東海・中京圏、北海道、東北、北陸・山陰で増加。首都圏、関東、中国、四国、九州で減少。関東と近畿界隈以外では、大よそ西低東高の状況。多数の物件を有する首都圏で1割近い減少を示したため、全体でもマイナス値を計上する形に。

・発売価格平均値は4618万。前年の4306万円と比べて7.2%の大幅上昇。1平方メートルあたりの単価は65.4万円。前年比で5.1万円・8.5%のアップ。平均価格・単価共に3年連続の上昇。

それでは早速過去のデータと合わせ、発売戸数と発売価格をグラフ化し、状況の推移を推し量ることにする。まずはマンション販売戸数推移。首都圏・近畿圏・その他、そして全国の合計値について。

↑ 民間マンション販売戸数前年比(2015年)
↑ 民間マンション販売戸数前年比(2015年)

↑ 民間マンション販売戸数推移(2015年分反映)
↑ 民間マンション販売戸数推移(2015年分反映)

発売戸数そのものは、直近のいわゆる「不動産プチバブル」時期にも大きくプラスに転じていたわけではない。首都圏・近畿圏ではほぼ横ばいに推移し、「その他」地域が2005年から1、2年増えている動きを見ると、大都市圏ではなくその周辺地域で発売物件数が増加していたことが分かる。

一方で首都圏では2005年から、近畿圏でも2006年あたりから発売戸数の減少が見られ、それに伴い全国合計数も減少。2007年以降は雪なだれ式にその数を減らしている。2009年にはその動きもようやくゆるやかなものとなり、2010年に至ると首都圏ではプラスに転じることになった。他方近畿圏・その他も持ち直しを見せているが、その歩みはゆるやかなものに留まっている。

2013年は景気の回復感、不動産に対する投資意欲の復帰、さらには消費税率引上げ前の駆け込み需要などプラス要素が重なり、特に首都圏で大きく上昇した。近畿圏はメインとなる大阪府の供給が前年からほぼ横ばいだったのを受け、上昇幅も大人しいものとなっている。

そしてその次の年となる2014年は消費税率引上げによる、直前までの特需の反動、さらには消費性向の減退に伴い、どの地域でも大きく販売戸数は減退。全国の値ではリーマンショック後に大きく下落した後、立ち直りを見せ始めた2010年の値である8万4701戸/年にほぼ近しい水準にまで下落してしまっている。

直近の2015年では首都圏の戸数は引き続き減少をしているが、その他の地域では落ち込み度合いは緩やかなものとなり、近畿圏ではむしろプラスに転じている。近畿圏の前年比プラスは2013年以来2年ぶり。他方首都圏の前年比マイナスは2014年から2年連続の動きとなる。全国の値は多分に首都圏に引っ張られるため大きな減退が継続し、数字が確認できる1999年以降では2009年の7万9595戸を下回る過去最少を示す形となった。もっとも上記の通り、地域によって増減の動きが大きく異なり、日本全国で一律的に販売戸数が減っているわけでは無い。

続いて販売価格推移。「その他の地域」は値が非公開のため、全国、首都圏、近畿圏のみの動向を記す。

↑ 民間マンション販売価格前年比(2015年)
↑ 民間マンション販売価格前年比(2015年)

↑ 民間マンション発売価格推移(万円)(2015年分反映)
↑ 民間マンション発売価格推移(万円)(2015年分反映)

販売戸数の動向とは連動性の無い形でのグラフが描かれている。元々マンションは高額商品であり大抵は一生、あるいは半生をかけてローンを支払っていくもの。年間で10%も20%も上下されては困るが、それでも(大きな上昇が見える)2007年は7.1%も上昇していた。2008年は2.3%と上昇率が落ちたが、まだ全国平均では上昇しているのが分かる。

「このまま上昇を続けるのでは」とも思われたが、需給バランスの関係から高値維持は難しいようで、2009年はさすがに下落傾向を見せた。しかし2010年には大手デベロッパーが主導する形で都市部の市場を形成し、それぞれの圏域での上昇を支えていた。

その後数年は下げ基調にあったものの、2013年以降は増加に転じ、その上昇率も以前同様、さらにはそれ以上の動きを示す形となっている。直近の2015年では全国の上昇率はプラス7.2%、首都圏は9.1%。「首都圏は販売戸数が減り、戸当たり単価が大きく上昇」「近畿圏は販売戸数が増え、戸当たり単価は小規模な上昇」と、際立った違いが見受けられ、それぞれの地域におけ民間マンションの需要に違いが生じている感が見受けられる。

例えば東京都区部では戸数は前年比でマイナス11.1%、神奈川県に至ってはマイナス21.3%と大幅減を計上しているものの、戸当たり単価はそれぞれプラス12.3%・プラス13.0%と大幅増加。他方千葉県では戸数がマイナス18.5%と大幅に減っているものの、価格はプラス0.8%に留まっており、同じ首都圏でも差異が生じているのが確認できる。

なお2015年における全国平均値の4618万円は、データが取得可能な1999年以降はもちろんだが、報告書の説明によれば1973年の調査開始以来、最高値の更新とのこと。これまでは1991年の4488万円が最高値だったとの話である。



不動産の動向は取引単価が大きいことから、経済そのものの流れにおいて無視できぬ要素となる。2015年は建築コストの高騰化による敬遠、消費性向の減退、消費税率引上げ時に生じた特需の反動など、さまざまなマイナス要因が重なり、戸数では前年に続き大よそ減退を示す形となった。同研究所ではプラス8.2%・9.0万戸を見込んでいたが、その予想が大きく覆されるほど、建築コストの高騰化と消費税率の引き上げによる購入性向の減退が大きかったことが分かる。

なお同研究所では2016年の販売動向について、8.4万戸・7.6%の増を予想している。また単価の高騰は継続すると見込んでいる。その予想にどこまで実態が近づくか、注意深く見守りたい。


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