2016年は都市圏では戸数減少・地方で増加、単価は近畿圏で上昇…18年間のマンション販売戸数と平均単価をグラフ化してみる(最新)

2017/02/22 05:11

不動産経済研究所は2017年2月20日、2016年の全国マンション市場動向を発表した。それによると民間マンションの2016年の発売戸数は7万6993戸となり、前年に比べて1.4%の減少となった。これは3年連続の前年比での減少となる。一方で戸当たりの平均価格は4560万円となり、前年比で1.3%の減少を見せている(【発表リリース一覧ページ:全国マンション市場動向2016年(年間のまとめ)】)。

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2016年における全国のマンション販売動向の詳細な解説はリリースにある通りだが、概要をまとめると以下のようになる。

・マンションの発売戸数は前年比1.4%減。北海道、東北、関東、中国、九州が増加したが、首都圏、近畿圏、東海・中京、北陸・山陰が減少している。多数の物件を有する首都圏で1割強減少を示したため、全体でもマイナス値を計上する形に。

・発売価格平均値は4560万。前年の4618万円と比べて1.3%の小幅下落。1平方メートルあたりの単価は65.5万円。前年比で0.1万円・0.2%のアップ。面積単価は1991年に計上した66.7万円/平方メートル以来25年ぶりの高値(物価水準の勘案は無し)。

それでは早速過去のデータと合わせ、発売戸数と発売価格をグラフ化し、状況の推移を推し量ることにする。まずはマンション販売戸数推移。首都圏・近畿圏・その他、そして全国の合計値について。

↑ 民間マンション販売戸数前年比(2016年)
↑ 民間マンション販売戸数前年比(2016年)

↑ 民間マンション販売戸数推移(2016年分反映)
↑ 民間マンション販売戸数推移(2016年分反映)

発売戸数そのものは、直近のいわゆる「不動産プチバブル」時期にも大きくプラスに転じていたわけではない。首都圏・近畿圏ではほぼ横ばいに推移し、「その他」地域が2005年から1、2年増えている動きを見ると、大都市圏ではなくその周辺地域で発売物件数が増加していたことが分かる。

一方で首都圏では2005年から、近畿圏でも2006年あたりから発売戸数の減少が見られ、それに伴い全国合計数も減少。2007年以降は雪なだれ式にその数を減らしている。2009年にはその動きもようやくゆるやかなものとなり、2010年に至ると首都圏ではプラスに転じることになった。他方近畿圏・その他も持ち直しを見せているが、その歩みはゆるやかなものに留まっている。

2013年は景気の回復感、不動産に対する投資意欲の復帰、さらには消費税率引上げ前の駆け込み需要などプラス要素が重なり、特に首都圏で大きく上昇した。近畿圏はメインとなる大阪府の供給が前年からほぼ横ばいだったのを受け、上昇幅も大人しいものとなっている。

そしてその次の年となる2014年は消費税率引上げによる、直前までの特需の反動、さらには消費性向の減退に伴い、どの地域でも大きく販売戸数は減退。全国の値ではリーマンショック後に大きく下落した後、立ち直りを見せ始めた2010年の値である8万4701戸/年にほぼ近しい水準にまで下落してしまっている。

2015年以降は首都圏では引き続き戸数の減少が続く一方で、近畿圏では減少度合いが緩やかなものとなり、その他地域ではむしろ直近では大幅に増加している。リリースでは地方中核都市の動向にスポットライトが当てられているが、その内容を抽出すると札幌市では5.3%増、仙台市79.8%増、名古屋市6.0%減、広島市129.8%増、福岡市27.8%増など、多くのエリアで目覚ましい伸びが見受けられる。マンション新造の勢いが都市圏、特に首都圏から地方都市にシフトした感はある。

全国の値は多分に首都圏に引っ張られるため減退が継続し、数字が確認できる1999年以降では大きな減退を示した2009年の7万9595戸、さらにこれまで過去最少値だった前年2015年の7万8089戸を下回り、過去最少を更新する形となった。もっとも上記の通り、地域によって増減の動きが大きく異なり、日本全国で一律的に販売戸数が減っているわけでは無い。

続いて販売価格推移。「その他の地域」は値が非公開のため、全国、首都圏、近畿圏のみの動向を記す。

↑ 民間マンション販売価格前年比(2016年)
↑ 民間マンション販売価格前年比(2016年)

↑ 民間マンション発売価格推移(万円)(2016年分反映)
↑ 民間マンション発売価格推移(万円)(2016年分反映)

販売戸数の動向とは連動性の無い形でのグラフが描かれている。元々マンションは高額商品であり大抵は一生、あるいは半生をかけてローンを支払っていくもの。年間で10%も20%も上下されては困るが、それでも(大きな上昇が見える)2007年は7.1%も上昇していた。2008年は2.3%と上昇率が落ちたが、まだ全国平均では上昇しているのが分かる。

「このまま上昇を続けるのでは」とも思われたが、需給バランスの関係から高値維持は難しいようで、2009年はさすがに下落傾向を見せた。しかし2010年には大手デベロッパーが主導する形で都市部の市場を形成し、それぞれの圏域での上昇を支えていた。その後数年は下げ基調にあったものの、2013年以降は増加に転じ、その上昇率も以前同様、さらにはそれ以上の動きを示す形となっている。

直近の2016年では全国の上昇率はマイナス1.3%、首都圏はマイナス0.5%、近畿圏はプラス3.5%。その他地域総合の価格動向が無いのは残念だが、戸数の動きと類似しているのが目に留まる。レポートではいくつかの地域の価格も計上されているが、首都圏では東京都区部以外の該当地域すべてで上昇(例えば千葉県ではプラス4.5%)、近畿圏では全地域で上昇しており、例えば和歌山県ではプラス15.7%、兵庫県では10.7%と大幅に上昇している状況が確認できる。

また面積単価は全国平均だけでなく首都圏も近畿圏も上昇中。こちらも千葉県でプラス8.9%、和歌山県で12.0%など、戸当たりで大きく伸びた地域での上昇が見てとれる。



不動産の動向は取引単価が大きいことから、経済そのものの流れにおいて無視できぬ要素となる。2016年は全体戸数が減少したものの、都市圏での減少が著しい一方で地方圏が伸び、戸当たり単価や面積当たり単価でも同じような傾向が見受けられるなど、民間マンションの動きが都市部からその近郊にシフトする動きを見せている感はある。

なお同研究所では2017年の販売動向について、7.85万戸・2.0%の増を予想している。その予想にどこまで実態が近づくか、注意深く見守りたい。


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