被災三県ではわずかながらプラスを確認…全国紙の地域別世帯シェア動向(2012年下半期版)

2013/02/22 08:45

先に【読売1000万部未再達成は果たせず、日経は前期比マイナス1.30%…新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2012年後期分データ更新・半期分版)】で半期単位での新聞・全国紙における最新動向を確認した。今回は【読売新聞社の広告ガイドページ】でのデータ更新に合わせ、全国紙5紙(読売、朝日、毎日、日経、産経)の都道府県別シェアの更新を行うことにする。

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まずは概要的に「全国紙5紙の朝刊世帯普及率」をそれぞれ算出し、単純に合計したものを都道府県別に列挙した。なお今回のデータは先の記事同様、日本ABC協会「新聞発行社レポート 普及率」2012年7月-12月平均データを一次ソースとしている(ことになる)。

↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率・単純合計値(2012年下半期)
↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率・単純合計値(2012年下半期)

グラフ中に但し書きがある通り、「1世帯が複数の全国紙を購読している事例も多分にあるため、この値がそのまま『いずれかの全国紙を購読している世帯普及率』では無い」ことに留意する必要がある。例えば奈良県なら98.2%とあるが、奈良県ではほぼ全世帯がいずれかの全国紙を購読していることを意味しない。あくまでも主要5紙それぞれの普及率を単純に足しただけの、「全国紙普及の(相対的)指標」程度のものである。

とはいえ、多数の世帯が全国紙を複数定期購読している状況も想定しにくい(例えば日本工業新聞と産経新聞という組み合わせのように、業界紙と一般紙という組み合わせなら十分ありうるが……)。このグラフで高い値を示している地域(関東・近畿圏や山口県)ではやはり、以前の地図展開記事【「全国紙」の都道府県別トップシェア新聞を地図化してみる(2010年下半期版)】において読売や毎日のシェア比率が高い結果が出ており、納得もできる。

次に、直前期2012年上半期からの差異を計算したのが次のグラフ。

↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率・単純合計値(2012年上半期から2012年下半期への差異)
↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率・単純合計値(2012年上半期から2012年下半期への差異)

奈良県及び愛媛県での0.15%ポイントのプラスをはじめ、7県でのプラスが確認できる。一方で佐賀県の0.88%ポイントなど残りの都道府県はすへてマイナス。特に一部の県で大きな下げ率が確認できるなど、関東圏以外では西日本での不調ぶりが目立つ。

前回の記事で注視した東日本大地震・震災における被災三県(岩手県・宮城県・福島県)は、いずれもわずかながらプラスを示している。人の「戻り」が影響しているのかもしれない。

続いて全国を「北海道・東北」「関東」「中部」「近畿」「中国」「四国」「九州・沖縄」に区分し、それぞれの地域別に各新聞の朝刊世帯普及率を算出した。

↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率(地域別)(2012年下半期)
↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率(地域別)(2012年下半期)

元々普及率が高めの関東・近畿だが、中でも読売新聞と朝日新聞が高い値を示しているのが一目で分かる。特に関東では両紙がずば抜けている。一方、例えば毎日新聞は近畿や九州・沖縄などの西日本の方が強い、朝日新聞は中部地域では読売以上の世帯普及率を誇っている・四国でもほぼ同列に迫っている、産経は関東と近畿で他地域より強めなど、地域特性や各新聞社の特徴などが見えてくる。特に産経新聞の動向は顕著で、人口密集地域に集中してリソースを割いているようすがうかがえる。

この値について、前半期からの変移を計算したのが次のグラフ。

↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率(地域別)(2012年上半期から2012年下半期における変移)
↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率(地域別)(2012年上半期から2012年下半期における変移)

まず最初に目に留まるのが、近畿における朝日新聞の減少ぶり。前半期比で0.23%ポイントの減少。県別の動向を確認したが、滋賀県ではプラスマイナスゼロなものの、京都府のマイナス0.31を筆頭に三重県のマイナス0.21・兵庫県のマイナス0.19(いずれも%ポイント)など、大きな減少が起きている。組織改編を行ったのか、あるいは同地域でプラス化している他紙、具体的には読売新聞と毎日新聞に大きく顧客を奪われる「何か」があったのかもしれない。

また全般的には「部数で」前半期比プラス化している読売新聞と産経新聞の健闘が見て取れる。毎日新聞も関東と近畿では伸びているが、四国と九州・沖縄でのマイナスがそれを帳消しにしている。

なお前半期の記事で再考察課題としていた、被災三県が含まれる北海道・東北の大幅な下げ方だが、今半期では他地区と大きな差異は無かった。前半期の下げ方は多分に調整時の誤差だった、あるいは震災絡みの短期的な動きだったと考えて良い。

地域別に見ると、上記に挙げた朝日新聞以外では、日経新聞の下げ方が目立つ。北海道・東北、中部、近畿ではかろうじて小幅に留まっているが、それ以外の地域では、特に西日本で大きな減少が確認できる。これでは全体で、部数減少率が前半期比でマイナス1.30%という値が出ても仕方がない。

前回の記事同様、各新聞社別に普及率グラフを再構築したのが次の図。

↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率(新聞別)(2012年下半期)
↑ 全国紙5紙の朝刊世帯普及率(新聞別)(2012年下半期)

読売新聞の強さは関東や近畿のような、人口密集地域での世帯普及率の高さにあることがひと目で分かる(商業施設での強さが改めて理解できる)。朝日新聞もそれに近い動きを見せており、戦略的にはほぼ同じ方向性にあることが考えられる。産経新聞も傾向的には読売や朝日に近い、つまり人口密集地域へのリソース集中・顧客獲得方針にあると思われるが、絶対値があまりにも不足しており、今一歩両紙には及ばないのが実情。一方で毎日新聞の近畿圏での異様な強さも前半期から変わらず。



今件記事は半年単位での定点観測なため、ゼロカンマ数%での動きが主であることから、いわゆる「メリハリ」にはやや欠けるところがある。しかし確実に各新聞社で「動き」はあり、さらに今回の朝日新聞のように、イレギュラー的な「流れ」をとらえることもできる。

新聞全体の購読者数・購読世帯が漸減し、部数も減る中で、各社がどのような動きを果たし、各地域でのシェアが動いていくのか。今後も注意深く見守っていきたい。

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