読売1000万部再達成は果たせず、日経は前半期比マイナス1.30%…新聞販売部数動向(2012年後期分データ更新・半期分版)

2013/02/20 11:30

当サイトでは複数のソースを元に、日本の新聞業界に関する全般的動向を継続して追いかけている。その中の一つが、年二回のペースで読売新聞社の広告ガイドページ経由で公開される、日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」を対象としたもの。そのレポートについて2012年後半期分が、先日2013年2月19日に掲載された。そこで今回は2012年前期分データ更新・半期分版を更新する形で、各種データを最新のものに差し換えると共に、主要新聞社の新聞発行部数などをグラフ化してみることにした。

スポンサードリンク


まずは先日更新された最新データを元にした、主要全国紙、すなわち読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞(日経新聞)・産経新聞の計5紙の「販売部数」。個々の値は各紙広告関連ページで取得することができるが、全紙のものとしては【読売新聞広告ガイド】からリンクをたどり、【販売部数の公開ページ】に掲載されている、「日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」2012年7月-12月平均」で取得することができる。なおこれは朝刊「販売」部数。


↑ 2012年後期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)

かつて「販売部数1000万部超」をうたっていた読売新聞だったが、2011年前半期でその大台を割り込み、以後さらに漸減状態にあった。今半期では後述するグラフにある通り部数を多少ながらも底上げしたものの、念願の「1000万部回復」までには惜しくも至らない状態。

その読売新聞に続くのは朝日新聞、そこから約半分に数を減らして毎日新聞、日経新聞、そして産経新聞の順となる。この順位は以前から変わりない。毎日と日経が一番立ち位置を変えそうな関係にあるが、この一年程の間はむしろ日経の下落率の方が多く、順位の逆転は困難。

読売新聞が他紙と比べて数的に優位にあるのは、『東洋経済の2010年 2/20号 特集:再生か破滅か……新聞・テレビ 断末魔』によれば「ホテルなどへの営業が功を奏している」のが要因とのこと。その状態は今も継続しているものと推測される。さらに今半期は積極的な営業展開を果たしたのか、部数の減少どころか増加を成し遂げている。

また、前半期でも指摘した「朝日新聞絶対防衛ライン(とされていた)800万部」はすでに侵攻を許し、さらに内部にまで侵入された状態。これで2010年前期以降6期連続のカウント。800万部に対して現状では95.5%・マイナス4.5%の減という状態。

読売・産経が健闘、日経はマイナス1.3%
今回も前回同様にいくつか比較グラフを生成し、状況のより詳しい確認を行う。まずは前回記事で掲載したように、前回半期との差異。単純計算で半年の間にどれだけ部数が動いたかを知ることができる。

↑ 2012年後期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2012年前期との比較)
↑ 2012年後期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2012年前期との比較)

今回期は前回期の「主要5紙すべてマイナス」という最悪な状況は避けられ、読売新聞と産経新聞がプラスに転じた。それぞれわずか0.07・0.15%ポイントでしかないが、マイナスが当たり前となる昨今の状況下では、素直に賛美できる値。一方で日経新聞は前期比でマイナス1.30%。前回のマイナス0.84%に続き、今半期でも5紙中最大の下げ幅となった。部数換算では約3.9万部/半年の減少となる。日経新聞は5紙の中でも比較的専門色が強く、手堅いはずなのだが、昨今ではその「専門色」のオーラも薄れつつあるのかもしれない。あるいは専門紙足るべき部門における質が問われている可能性がある。

ちなみに単純に部数だけの減少でみれば、朝日新聞の約3.9万部/半年が最大値(日経新聞の下げ部数とは200紙足らずの差異でしかない)。関係者にとって穏やかならぬ心境には違いない。

次は半年前(つまり前回期)との世帯普及率の比較をグラフ化する。前回記事では東日本大地震・震災の関係で、構成要素の一部が暫定値によるものだったが、今回はそのようなイレギュラー的要素も無く、実質的に誤差の無い値といえる。

なおこの「世帯普及率」とは全世帯のうち、どれだけの世帯に各新聞が届いているかを示しているもの。産経新聞なら2.91%なので、100世帯のうち約3世帯が産経新聞を定期購読している計算になる。

↑ 2012年後期における主要全国紙の世帯普及率(2012年前期との比較)
↑ 2012年後期における主要全国紙の世帯普及率(2012年前期との比較)

朝刊は世帯単位で定期購読されることが多いため、単純な部数よりも新聞のすう勢を推し量れる。これを見ても読売新聞の絶対的なポジション、そして各主要紙の動向が見て取れる。また、今半期では部数を増やした読売新聞と産経新聞が世帯普及率を維持し、部数を増やせなかった朝日新聞、毎日新聞、日経新聞が減らすなど、分かりやすい動きが見て取れる。

核家族化などで世帯数そのものは増加していても、購買世帯がそれに追いついていないどころか減っている。これでは普及率が下がるのも当然といえる。



【1年間で57万部減……新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2012年分・新聞業界全体版)】にもあるように、主要紙の発行部数は少なくとも前世紀末から確実に減少している。さらに【新聞やテレビなどへの新聞やテレビなどへの業種別広告費推移をグラフ化してみる(2011年版・電通資料ベース)】【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ・2011年版)(中)…ネット以外動向概況編】でも触れているが、部数の減少だけでなく質の低下も相まって(お互いが相関、さらには因果関係にもあるのかもしれない)、広告費も急降下状態にある。

昨今の各紙、特に経済や政治面記事において「一次ソースを当たらずに、新聞の記事内容をそのまま鵜呑みにするのは、読者にとって高リスク。虚言を教え込まれてしまいかねない」、表現を変えると「記者側・新聞社側が自らの推測や願望、都合に基づいた記事を構成して事実のように伝えたり、記者会見内容を別物のように編集、果ては誘導尋問まで繰り返す」事例が多発している状況は、単なる「質の低下」とたかをくくって楽観視できる場面では無い。「分かりやすい説明」と、「事実を伝える」「間違いを伝えない」は別物である。

売上を伸ばす努力はしているが、それは思ったように果たせない。それどころか部数の逓減を押しとどめることすらかなわない。当然経費の削減をしなければ、会社の経営が成り立たなくなる。しかし経費削減の過程で「削ってはいけない部分」まで削り、会社全体としての士気減退や能力欠如、リソース不足(例えば記事考察・チェックに専門家に依頼して検証せずに、内部で済ませてしまう)が懸念される。「質の低下」の一因でもある。

しかも経費削減の成果は比較的すみやかに・数字の上ではっきりと表れる一方、その副作用はすぐには数字上に現れることは少ない。マイナス要因は多分において、じわじわと、そして確実に浸透して影響をもたらす。後になって事態の悪化に気が付き、状況の回復を図ろうとした時には、削減した経費以上の手間暇や資金がかかり、あるいは回復すら困難・手遅れになってしまう。

マスメディアの仕組みそのものはいくらでも、それこそ無限の可能性があり、希望に満ちあふれている(いばらの道も少なくないが)。しかしそれを動かす内部の人達の立ち振る舞いに、疑問符を投げかける人が増えているのも事実。、これは一見するとスリム化・健全化に見える経費削減の「副作用」によるものが一因、いや大きな部分を占めている。そう考える人も少なくあるまい。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー