「夫婦別姓選択」反対派、賛成派をわずかに上回る

2013/02/19 11:30

結婚内閣府は2013年2月18日、「家族の法制に関する世論調査」の結果を発表した。それによると法的に婚姻状態にある夫婦が同じ名字(姓)を名乗らねばならない現行の法令制度に関し、現行を維持すべきだとする意見は4割近くに達していることが分かった。一方で夫婦が婚姻前の名字を名乗ることを希望していた場合、それぞれ婚姻前のを名乗っても良いように法律を変えても構わないとする意見もほぼ同数に及んでいる。男女別では男性の方が、世代別では歳を経るほど現行法を支持する意見が強くなっている(【発表リリース】)。

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今調査は2012年12月6日から23日にかけて層化2段無作為抽出法を用い、全国20歳以上の日本国籍を持つ人から選ばれた5000人に対し、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は1959人。男女比は1366対1675、世代構成比は20代242人・30代369人・40代506人・50代479人・60代699人・70代746人。

日本の現行法では、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗らなければならないことになっている。これについて「現行制度と同じように夫婦が同じ名字(姓)を名乗ることのほか、夫婦が希望する場合には,同じ名字(姓)ではなく、それぞれの婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めた方がよい」、さらには「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべき。しかし婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めた方がよい」という意見がある。これらの意見について、現行法の維持も合わせ3つ、さらには「分からない」を加えた4つの選択肢を提示し、どれか自分の意見・意思にもっとも近いもの一つを選んでもらった結果が次のグラフ。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見
↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見

全体としては「現行維持派」が36.4%、「旧姓選択可能に法律変更派」が35.5%、そして「通称選択可能に法律変更派」は24.0%となっている。0.9%ポイントの差だが、現制度の維持を望む人が多い。

男女別では男性が現状の維持を強く望む一方、女性は男性よりも制度の改正(旧姓、通称共に)を望む意見が強くなっている。概して女性が名字を変える対象となる事例が多いだけに、それに対する抵抗感も強いのだろう。

続いて色々な属性別に仕切り直し、その動向を見ていくことにする。まずは性別・世代別。概して若年層ほど「旧姓選択可能に法律変更派」が多く、壮齢層ほど「現行維持派」が多い。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(性別、世代別)
↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(性別、世代別)

男性では40代までほぼ意見が変わらないのに対し、女性は逐次「現行維持派」が増えていくところが興味深い。もっとも男女とも「現行維持派」と「旧姓選択可能に法律変更派」の立ち位置が逆転するのは60代以降。見方を変えれば50代までは概して「実姓にしても通称にしても、旧姓選択の余地を残すべきだ」とする考えが支配的ということになる。

これを未既婚・子供の有無で区切った上で見たのが次のグラフ。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(未既婚、子供有無別)
↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(未既婚、子供有無別)

未婚よりも既婚、子供が居ない人よりも居る人の方が「現行維持派」が多い。これは「仮に制度が変わるとしたら、どのような状況になるか」、そしてそこから生じるマイナス点を「自分の問題として」想定しやすいからだと思われる。実際、同調査別項目において「夫婦の名字が違う場合、子供に何か影響が生じる」とする意見は67.1%に達している。

経年変化ではどのような動きを見せるだろうか。選択式夫婦氏制度に関する設問は5年おきに呈されているが、1996年より前の調査はそれより後のと比べて選択肢の違いが大きく、単純比較は困難。そこで1996年以降今回発表分もあわせ4回分を並べてみることにした。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(全体、経年変化)
↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(全体、経年変化)

「通称選択可能に法律変更派」と「分からない」を合わせた値はほぼ変動なし。「現行維持派」と「旧姓選択可能に法律変更派」がつばぜり合いを繰り広げている状態。少なくとも1996年以降では2001年時点がもっとも変更派の割合が高く、以降は少しずつ「現行維持派」が積み増ししているように見える。

選択的夫婦別氏制度に関しては1996年に法制審議会によって導入が答申(行政官庁への意見具申、あるいは問い合わせへの回答)されたが、法改正には至っていない(【選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について(法務省民事局)】)。説明によれば1996年と2010年に法務省側で改正法案を準備したが「国民各層に様々な意見があること等から、いずれも国会に提出するには至りませんでした」とのことである。

世代間、属性間の意見の隔たりが大きい現状(グラフ記載は略するが、世代の移動が行われる10年単位でさかのぼって結果を見ても、やはり若年層は「実姓にしても通称にしても、旧姓選択の余地を残すべきだ」が多く、高齢層は「現行維持派」が多い)では、状況の変化は難しそうである。

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