「夫婦別姓選択」賛成派は反対派を上回る(最新)

2018/02/16 05:04

2018-0215内閣府は2018年2月13日、「家族の法制に関する世論調査」の結果を発表した。それによると法的に婚姻状態にある夫婦が同じ名字(姓)を名乗らねばならない現行の法令制度に関し、現状を維持すべきだとする意見は3割近くいることが分かった。夫婦が婚姻前の名字を名乗ることを希望していた場合、それぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ってもよいように法律を変えても構わないとする意見は4割強に達している。男女別では男性の方が、年齢階層別では年上ほど現行法を支持する意見が強くなっている(【発表リリース:家族の法制に関する世論調査】)。

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今調査は日本全国の18歳以上の日本国籍を有する者の中から層化2段無作為抽出法によって選んだ5000人を対象に、2017年11月30日から12月17日にかけて、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は2952人。男女比は1396対1556、年齢階層比は18-29歳が253人、30代354人、40代525人、50代477人、60代566人、70歳以上777人。過去の調査も同様の様式だが、前回までは20歳以上を対象としている。

日本の現行法では、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗らなければならないことになっている。これについて「現行制度と同じように夫婦が同じ名字(姓)を名乗ることのほか、夫婦が希望する場合には、同じ名字(姓)では無く、それぞれの婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めた方がよい」、さらには「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべき。しかし婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めた方がよい」との意見がある。これらの意見について、現行法の維持も併せて3つ、さらには「分からない」を加えた4つの選択肢を提示し、どれが自分の意見・意思にもっとも近いもの一つを選んでもらった結果が次のグラフ。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(2017年11-12月)
↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(2017年11-12月)

全体としては「現行法維持派」が29.3%、「旧姓選択可能に法律変更派」が42.5%、そして「通称選択可能に法律変更派」は24.4%。13.2%ポイントの差をつけて、法律を変更した方がよいとの意見を持つ人が多い結果が出ている。

男女別では男性が現行法の維持をより強く望む一方、女性は男性よりも通称の利用を法的に認めるようにすべきとの意見が強くなっている。現状では結婚に際して女性が名字(姓)を変える対象となる事例が多いだけに、それに対する抵抗感も強いのだろう。もっとも男女の差は数%でしか無く、単純に統計上の誤差の範囲で、実質的に差は無いとの解釈もできる。

続いて色々な属性別に仕切り直し、その動向を見ていくことにする。まずは男女の上での年齢階層別。概して若年層ほど「旧姓選択可能に法律変更派」が多く、年齢が上がるに連れて「現行法維持派」が多くなる。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(2017年11-12月)(男女、年齢階層別)
↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(2017年11-12月)(男女、年齢階層別)

女性では40代までさほど意見の内容が変わらないのに対し、男性は18-29歳まででは「現行法維持派」が多いものの、30代で大きく減少し、それ以降は少しずつ「現行法維持派」が増えていく傾向なのが興味深い。もっとも男女とも「現行法維持派」と「旧姓選択可能に法律変更派」と「通称選択可能に法律変更派」の合計の立ち位置が逆転するのは70歳以上。60代までは「実姓、通称いずれにせよ旧姓選択の余地を残すべきだ」とする考えが支配的と見ることができる。

これを婚姻状態や子供のいる・いない別で仕切り分けしたのが次のグラフ。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(2017年11-12月)(婚姻状態、子供の有無別)
↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(2017年11-12月)(婚姻状態、子供の有無別)

死別の人の「現行法維持派」が多いのは、回答者自身が年を取っている場合が多いからに他ならない。一方で未婚や内縁状態の人で「旧姓選択可能に法律変更派」が多いのは、法的な婚姻状態となるのを躊躇する理由の一つに、自分の名字(姓)を変えねばならないからとの理由があるからだと考えられる。

他方子供のいる・いない別では子供がいる人の方が「現行法維持派」は多い。これは詳細は別途解説するが、「仮に制度が変わるとしたら、どのような状況になるか」、そしてそこから生じるマイナス点を「自分の問題として」想起しやすいからだと思われる。実際、今調査別項目において「夫婦の名字(姓)が違う場合、子供に何か影響が生じる」とする意見は62.6%に達している。

経年推移ではどのような動きを見せるだろうか。選択式夫婦氏制度に関する調査は大よそ5年おきに実施されているが、1996年より前の調査はそれより後のと比べて選択肢の違いが大きく、単純比較は困難。そこで1996年以降今回発表分もあわせ5回分を並べてみることにした。

↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(全体、経年推移)
↑ 選択的夫婦別氏制度に関する意見(全体、経年推移)

「通称選択可能に法律変更派」と「分からない」を合わせた値はほぼ変動無し。「現行法維持派」と「旧姓選択可能に法律変更派」がつばぜり合いを繰り広げている状態。少なくとも1996年以降では今回発表された2017年時点がもっとも変更派の割合が高いが、実質的には2001年5月の時点とほぼ同じで、調査時の世論動向で多少のゆらぎが生じている程度に見える。

選択的夫婦別氏制度に関しては1996年に法制審議会によって導入が答申(行政官庁への意見具申、あるいは問い合わせへの回答)されたが、法改正には至っていない(【選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について(法務省民事局)】)。説明によれば1996年と2010年に法務省側で改正法案を準備したが「国民各層に様々な意見があることなどから、いずれも国会に提出するには至りませんでした」とのこと。また2015年12月に閣議決定された第4次男女共同参画基本計画でも多様な意見を併記した上で、引き続き民法改正の検討を進めるとしている。


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