アルゼンチン上昇続く、エジプトやレバノンの動向も気になる(国債デフォルト確率動向:2013年2月)

2013/02/15 14:45

以前【国債・公債のデフォルト確率上位国をグラフ化してみる(2010年12月17日版)】で説明した通り、経済動向を推し量るのを目的とし、債権リスクを示す指針の一つ「CPD」を元に、主要国・地域の国公債のデフォルト確率上位国を2010年12月から1か月単位で毎月確認している。今回は2013年2月分として、同月15日時点の数字についてグラフ化と現状の検証を行うことにした。

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国公債のデフォルト確率を表す言葉CPD(5年以内のデフォルト可能性)の細かい定義、データの取得場所、さらには各種概念の説明は一連の記事まとめ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で行われている。そちらで確認してほしい。

今件のグラフは日本時間で2013年2月15日、つまり(日本時間で)本日取得したばかりの一番新しいデータで生成している。前回も掲載されていた国・地域については前回値を併記している。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年2月15日時点)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年2月15日時点)

以前の記事で解説したように、欧州中央銀行が財務危機対策・ユーロ防衛策の一環として、国債の無制限買取について合意したことを受けて、EU諸国のCPDは大きく後退した。またユーロ圏内では債務問題に関して、辛い状況は続くものの危機のピークを越え、収束の方向に歩みを進めているとの思惑が強まりつつある。政治的不透明感など不確定要素は多いが、少なくとも市場の雰囲気としては昨年と比べれば楽観視出来るレベルである。これらの動向を受け、今回計測月ではヨーロッパ諸国の値が軒並み下げている。

一方でヨーロッパ以外の諸国、今回は特にアルゼンチンとエジプトの悪化が目立つ。前者は先月伝えた通り、2001年に起こしたデフォルトに絡む処理関連で、最近再び債務問題へのリスクが懸念されており、これがまだ尾を引いている。他方エジプトでは「革命」後の政治的混乱(政局面だけでなく、物理的な対立にまで及んでいる)に納まりが付かず、これが経済状況にも大きな悪影響を与えている。


↑ エジプトのムルシー大統領に反対する勢力による抗議デモと、治安部隊との衝突を伝えるニュース映像(RT公式)
↑ ↑ エジプトのムルシー大統領に反対する勢力による抗議デモと、治安部隊との衝突を伝えるニュース映像(RT公式)。【直接リンクはこちら】

また先月同様、アメリカの州(公債)のうちイリノイ州が入っているのが目に留まる。先月からは5%ポイント以上の下げ(状況改善との判断)を示しているのが幸いだが、同国の州レベルでの財務状態の厳しさが、改めて思い知らされる。

今回の上位陣グラフでは、矢印で示したようにアルゼンチンとエジプトの上昇が目立つ。また上位常連組だったEU加盟国のCPDによる順位付けは先月同様に低下を継続しており、上記に触れたように「欧州債務危機」の風向きは明らかに昨年までとは変化を見せている。【IMFが自らの方針としていた「緊縮財政で景気回復」への総括を始めたようです】などで触れている通り、IMFが公的文書で「緊縮一辺倒の方針が過ちである」ことを認める姿勢を見せたことやそれを裏付ける発言が相次ぎ、対象各国の施策も成長戦略を多分に絡めたものに移行すべきとの話もある。風向きの変化を実感できる話は日に日に増えている。

なお日本の国債に対する値は4半期ごとに更新されるCMD Visionのリスクレポートの最新版【2012年第4四半期リスクレポート(CMA Release Global Sovereign Credit Risk Report Q4 2012、PDF)】で確認できる。それによると、CPDは6.6%で順位は23位。前四半期の2012年第3四半期の6.9%・17位と比較すると、状況自身は改善、相対順位は悪化。CPDの算出上では、日本の財務状況回復の歩みは上位他国と比べて緩やかだと判断されている(状況自身は改善しているが、他国の方が改善スピードが速く、順位が下がる次第)。この傾向は数四半期変化がないが、今後どのような動きを見せるかが注目される。

日本の企業動向、株式市場にも大きな影響を与えている、そしてCPDの動きにも(間接的に)影響を及ぼしている(ユーロ安はユーロ圏の財政が不安定化しているのが最大要因。そして財政不安状態はそのままCPDの上昇につながる)ユーロ動向だが、ここしばらくは欧州中央銀行の動きを受け、そして上記にあるように楽観論の拡大化、さらには日本の政治状況の変化に伴う財政・金融施策「を行う姿勢」などの大規模な動きに呼応し、大きくユーロが戻している。

↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2013年2月14日)
↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2013年2月14日)

大きく経済・政治動向が動くこのような状況だからこそ、失業率の動向と合わせ、債券リスクに絡むCPDの値は、各国、特にEU諸国の経済情勢をかいま見る有効な指標の一つとなる。今後もEUの失業率同様、CPD値の変化には注意を向ける必要があろう。


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