共働きか否かを問わず増加する夫の育児時間(2011年社会生活基本調査)

2013/02/20 08:45

育児の時間総務省統計局は2012年7月13日から12月21日にかけて、2011年社会生活基本調査の結果を発表した。そこで【ボランティア活動の実態をグラフ化してみる(2011年社会生活基本調査)】を皮切りに、気になるポイントを逐次抽出し、必要な場合には追加資料やデータベース上の詳細値を使い補足した上でグラフ化し、状況の把握を行っている。今回は共働きの世帯と、夫が働き妻が専業主婦をしている世帯における、夫婦、特に夫の家事や育児の時間の推移を見ていくことにする(【平成23年社会生活基本調査(総務省)】)。

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今調査は1976年以降5年おきに行われているもので、1日の生活時間の配分と過去年間における主な活動状況などを調べている。そしてその結果は仕事と生活の調和の推進や男女共同参画社会の形成、少子高齢化対策などの各種行政施策の基礎資料として役立てられることになる。

今調査では生活様式に関して「睡眠」「身の回りの用事」「食事」「通勤・通学」「仕事(収入を伴う仕事)」「学業(学生が学校の授業やそれに関連して行う学習活動)」「家事」「介護・看護」「育児」「買物」「移動(通勤・通学を除く)」「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」「休養・くつろぎ」「学習・自己啓発・訓練」「趣味・娯楽」「スポーツ」「ボランティア活動・社会参加活動」「交際・付き合い」「受診・療養」「その他」の20に区分している。今回はこの中で家事関連(「家事」「介護・看護」「育児」「買物」)と、その中の1要素である「育児」にスポットライトを当て、経年推移を確認していく。

まずは包括的な家事全般を意味する「家事関連」の時間に関し、夫婦それぞれにおける1日あたりの生活時間の変化を、共働きか否かで区分した上でグラフ化したのが次の図。

↑ 共働きか否か別・生活時間の推移(妻)(家事関連)(一週全体、一日平均)(夫婦と子供の世帯)(1986-2011年)
↑ 共働きか否か別・生活時間の推移(妻)(家事関連)(一週全体、一日平均)(夫婦と子供の世帯)(1986-2011年)

↑ 共働きか否か別・生活時間の推移(夫)(家事関連)(一週全体、一日平均)(夫婦と子供の世帯)(1986-2011年)
↑ 共働きか否か別・生活時間の推移(夫)(家事関連)(一週全体、一日平均)(夫婦と子供の世帯)(1986-2011年)

妻は「家事関連」では「専業…変わらず」「共働き…増加」の動きを示している。一方で夫は妻の就業状況に関係なく増加。時間数そのものは妻の数分の一でしかないが、夫は25年の間に共働きで2倍強、妻が専業主婦の夫では3倍近くに増加している。妻の家事を夫が肩代わり、というよりは、家事全般にかける時間そのものが増え、その増加分のうち多分を夫が負担している感が強い。そして共働き世帯では夫のサポートではカバーしきれず、妻の負担(=家事時間)が増えている状況。

以前【共働きか否かで大きく変わる妻の家事時間(2011年社会生活基本調査)】でも触れた通り、「家事関連」の中でも特に時間の割合が多く、状況で大きく時間が変化する、そして夫婦間での負担が問題視されるのが「育児」。そこで「家事関連」のうち「育児」要素を抽出し、同じように経年変化を見たのが次のグラフ。

↑ 共働きか否か別・生活時間の推移(妻)(家事のうち育児)(一週全体、一日平均)(夫婦と子供の世帯)(1986-2011年)
↑ 共働きか否か別・生活時間の推移(妻)(家事のうち育児)(一週全体、一日平均)(夫婦と子供の世帯)(1986-2011年)

↑ 共働きか否か別・生活時間の推移(夫)(家事のうち育児)(一週全体、一日平均)(夫婦と子供の世帯)(1986-2011年)
↑ 共働きか否か別・生活時間の推移(夫)(家事のうち育児)(一週全体、一日平均)(夫婦と子供の世帯)(1986-2011年)

共働きで無い夫はややイレギュラーな動きを示しているが、概して夫婦・共働きか否かを問わず、育児時間は1996年までは横ばい、今世紀に入ってからは漸増の動きを示している。伸び時間そのものでは妻は25年の間に専業34分・共働き26分と、夫をはるかに上回る伸び時間を示しているが、「伸び率」では夫の伸び具合が著しい。

一部グラフ化は略するがこの25年の間に、

●共働き
・夫……家事全体増加、「家事」増加、「育児」増加
・妻……家事全体増加、「家事」減少、「育児」増加

●非共働き(妻が専業主婦)
・夫……家事全体増加、「家事」増加、「育児」増加
・妻……家事全体変わらず「家事」減少、「育児」増加

という動きが確認できる。つまり、共働き世帯では夫が妻の家事全体を少しずつサポートするようになり、その分妻の「家事」を減らせたが、「育児」への手間が増えたため結局家事全体の時間が増えてしまう構造が見えてくる。

一方共働きでない世帯では、元々妻の家事時間全体がほぼ上限に近かったのか、家事全体の時間は変わらず、「育児」の増加分を「家事」の減少で補てんしている形となっている。当然「家事」そのものがおろそかになるリスクが生じるため、夫がそれを補助するように「家事」、そして「育児」をも増加させている姿が見えてくる。

「育児」時間の増加そのものの理由は、今調査結果では何も語られていない。単純に「子供を世話することの重要性」への認識が深まり、より一層時間をかけるようになったからかもしれない。

また、夫婦以外に任せる機会が減った可能性も考えられる。【保育園と幼稚園の利用度合いの変化…子育て支援利用の動向をグラフ化してみる】でも解説している通り、日中の保育を行う立ち位置の人・組織は父母以外に、祖父母や幼稚園・保育園などがある。核家族化の進行で祖父母に「育児」の一部を任せられる機会のある人が減ったため、夫婦の負担が増えたと考えれば、道理は通る。また、一時預入施設の需給問題も一因かもしれない。

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