雑誌の下げ幅2ケタ台、ネットに加えてテレビもプラスに(経産省広告売上推移:2013年2月発表分)

2013/02/12 07:55

経済産業省は2013年2月8日、特定サービス産業動態統計調査において、2012年12月分の速報データを発表した。それによると、2012年12月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でプラス0.9%と増加していることが明らかになった。主要項目別では「雑誌」がマイナス11.8%と、もっとも低迷しているのが確認できる(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得元や選択項目の詳細に関しては記事の一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】の中で解説している。そちらで確認してほしい。今記事はその2012年12月分データ(公開は2013年2月)の速報値を反映させたもの。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2012年11-2012年12月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2012年11月-2012年12月)

比較しやすいように先月発表データ(確定値に修正済み)と並列して図にした。今回月では取り上げた項目において、あまり動きが無かった項目・大きく下落した項目・大きく上昇した項目と、それぞれ個性的な動きを示している。「新聞」は大きなプラス、「雑誌」は大きなマイナス。「テレビ」はややプラスだが先月の動きとはさほど変わらず、「ラジオ」「インターネット広告」もほぼ変化なし。該当月は衆議院総選挙が行われた月でもあり、これが「新聞」の特需的な要素となったものと考えられる。一方で「雑誌」は特に変わった外部的要因は無く、前年同月でもマイナス0.8%を示していたため、反動による動きでもない。

該当月の電通・博報堂に関する記事【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2012年12月分)】でも、「新聞」の堅調さと「雑誌」の不調が確認できており、今回の経産省のデータ傾向が今調査のみの特異的なものでは無く、広告市場の状況を表していることが分かる。

先月に続き、「前年同月」が震災起因で大きく下げた値の反動値となり、状況を正しくつかめないリスクを回避するため、「前々年同月比」も算出し、グラフを作成する(この算出は今回月で終了する)。今回の場合は2010年12月の値との比較となる。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前々年同月比(2010年12月→2012年12月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前々年同月比(2010年12月→2012年12月)

2年越しの変動でも、「インターネット広告」の上昇機運が再確認できる。一方「新聞」は今回月の特需が貢献し、2年越しでもプラスを見せる形となっている。

今回も該当月における各区分の具体的売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データとの違和感を覚えるが、参考値の一つとして見てほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2012年12月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2012年12月、億円)

金額面で見ると昨今では「新聞」を抜く月が増え、主要5項目では「テレビ」に次ぐポジションを得る機会を持つようになった「インターネット広告」(【新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる(2012年7月まで対応版)】)。今月発表分は先月分に続き、「インターネット広告」を「新聞」が追い抜く形となった。今回は「新聞」に特需があったにも関わらず両者間には大きな差が出ている。次回月以降の動きが気になるところだ。

次に、公開されているデータの中期的推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2012年12月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2012年12月分まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で2009年後半以降は回復、プラス圏を維持」「テレビは2010年あたりから戻しの雰囲気」「ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小」「雑誌はかなり厳しいレベルの下げ幅を継続していたが、ここしばらくは復調の雰囲気も」という傾向を見せてい”た”。そして東日本大地震・震災による影響は広告費にも及び、2011年3月分からグラフは大きなうねり・変移を起こしている。

今回月は半年ほど前に生じた「震災後の下落との比較による結果で生じた、反動の伸び」もほぼ無くなり(2年越し比の算出を今回で終えるのも、それが理由)、個々の現況にあった形での動きが出始めている。直近では「雑誌」の落ち込み具合と共に、「新聞」の動きが特需で終わるのか、それとも次回月以降も続くのか、気になるところだ。

元々紙媒体の電子媒体への一部移行と適正な住み分け(紙媒体のすべてが電子媒体に移行する必要はない。紙媒体にも長所は多い)、電子媒体の広告プラットフォームとしての立ち位置の正当評価は、メディアの技術進歩や需給関係の変化と共に、漸次進行する。日本の場合は他の先進諸国とは異なり、既存メディア自身が既得権益化し、保守的な態度を維持していることから、「立ち位置の正常化」「世界の流れに追随する歩み」は遅れているのが現状。もっとも、すべての面で単純に世界の流れへ追随することが正しいのか否かは別の話。

一方で東日本大地震・震災とそれに伴う各種震災・人災は、消費者の中に心理変化を芽生えさせる結果も生み出した。そして広告出稿側のコスト意識の変化(多くは費用対効果の厳粛・厳密化)、地震報道などで露呈した各媒体の「真の価値」に対する、視聴者・広告主による意識の移り変わりのきっかけとなった。旧態依然の面が多い広告業界ですらも一部軌道修正の上で、全体における変化の「時計の針」を押し進めている。

今後も電通・博報堂の月次レポートの分析と共に、今件特定サービス産業動態統計調査の結果を確認し、メディアと広告の状況変化の移り変わりを追うことをお勧めする。単月ではつかみとれない時代の躍動が、数か月、数年の流れを見て行くうちに、頭にイメージされるに違いない。

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