松屋、焼き牛めしの全国展開が功を奏したか…牛丼御三家売上:2013年1月分

2013/02/06 07:45

吉野家ホールディングス(9861)は2013年2月5日、同社の子会社である牛丼チェーン店吉野家の2013年1月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でマイナス3.8%となった。牛丼御三家のうち松屋フーズ(9887)が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年1月における売上前年同月比はマイナス11.2%、ゼンショー(7550)が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス9.2%の動きを見せている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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↑ 牛丼御三家2013年1月営業成績
↑ 牛丼御三家2013年1月営業成績

吉野家について昨年同月と比較すると、一年前における客単価前年比はプラス3.0%であり、そこからさらに8.3%もの引き上げに成功している(2年越しで計算すると約12%のプラス)。【吉野家、新メニュー「牛焼肉丼」を13日から発売】にもある通り2012年9月13日から発売を開始した「牛焼肉丼」、【吉野家、焼味豚丼 十勝仕立てを11月1日から販売再開】のように販売を再開した「焼味豚丼 十勝仕立て」、そして同年11月30日から発売中の「焼鳥つくね丼」は確実に客単価の引き上げに貢献している。売上も【吉野家の焼き物系丼、累計5000万食突破】にある通り、堅調なようだ。ただし客入りは減少を継続中で、これが売上高の頭を押さえる原因となった。

松屋の牛すき焼き御膳松屋は客数と客単価のバランスを取る姿勢が巧みで、客単価が不調気味でもその分客数がカバーをし、売上高を積み増し、安定的な売上を継続するスタイルを踏襲していた。しかしここしばらく間は客数の減退が目立ち、客単価の勢いにも陰りを見せている。今回該当月は【牛すき焼き御膳(松屋) 試食】のように引き続き高単価の魅力的な新商品を展開する一方、試験的に導入していた「焼き牛めし」の全国展開を開始するなど(【松屋の「焼き牛めし」全国発売へ】)、精力的な動きを見せており、客単価はプラス6.2%とそれなりに良い値を示した。しかし客数の減りは大きく、売上は御三家中最大のマイナス値を示すこととなった。昨年同月の客数はマイナス0.9%であることから、「昨年同月が大盛況だったので、その反動でマイナスになった」との解釈もできず、頭痛の種ともいえる(2年越し計算では客数は約マイナス17%となる)。

すき家では【すき家の「とりそぼろ丼」、女性向けサイズでリニューアル】【すき家のお子様メニューに「とりそぼろ丼」「チーズ牛丼」「チーズカレー」が追加】にある通り、該当月では子供・女性向けのアピールを強化する動きが見られる。しかし客単価の伸びはいまいちで、客数の減りも厳しい。同社の前年同月における客数はマイナス5.8%。2年越し計算でも今回月は客数が約マイナス16%となり、「昨年の盛況による反動」との説明は難しい。

1月分を各社一言ずつ……というより今回は全部まとめて一言で表現すると、「三社とも客単価の上昇はそこそこだが、客足の遠のきは続き、結果として売り上げも低迷」という形になる。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2013年1月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2013年1月)

2011年3月以降は東日本大地震・震災による直接的影響に加え、消費マインドの変化、活力向上祈願も兼ねた安売りセールなどで、客単価や客数、そして売上も大きく変化している。特に数年前において毎月のように繰り広げられた安売りキャンペーンは新鮮味を失い、ブランド力の低下すら懸念され、今では沈静化を見せている。むしろ客単価を底上げする(見方を変えれば元に戻す)ため、比較的高価格な商品展開が相次いでいる。

去年後半以降はそれらの「チキンレースに後押しされた無理な前進」の後遺症ともいえる、各社の低迷ぶりが目に留まる。特に客数動向の点で、前年同月比マイナスが続いているのが気になる(吉野家は13か月、松屋は10か月、すき家は14か月、客数の前年同月比マイナスが継続中)。牛丼離れ的な動き、さらには消費全体の性向そのものにすら変化が生じ、その影響が出はじめている可能性がある。

吉野家のビーフカレー昨今では新興勢力である「東京チカラめし」に刺激を受けた形による、焼肉系丼の動きが注目される。この系統の商品は「新鮮味による集客効果」と「客単価の引き上げ」双方の効果が期待できるのがポイント。各社とも本腰を入れており、上記の吉野家や松屋の事例にある通り、正式導入が行われる動きにある。単価の面ではそれなりに成果も上がっているようだ。しかし業績全体に与える影響はまだ小さい。

さらに牛丼価格帯の需要に関して、「東京チカラめし」以外にも麺類の小売企業にお客が流れているとの指摘もある。例えばハイデイ日高(7611)が運営する日高屋の【売上高を確認すると】、この一年はやや起伏があるものの、多くの月で客数を伸ばし、売り上げも上昇中(2013年1月時点で最新年期の既存店売上高前期比はプラス0.3%、客数はプラス0.5%、客単価はマイナス0.2%)であることが確認できる。

一方、コンビニで相次いで展開される低価格弁当やミニサイズの食品、数々のお総菜などの多様なサービス展開が、従来牛丼を食する層のシェアを侵食している可能性もある。例えば直近データを元にした記事【2012年12月度のコンビニ売上高は既存店が2.0%のマイナス】によると、既存店全体では売り上げ動向はマイナス2.0%だが、日配食品はプラス6.6%と堅調に推移している。昨今のコンビニのレジ横商品をはじめとした日配食品の充実ぶりを見ると、あながち見当違いの話でもなさそうだ。

ともあれ、引き続き御三家の今後の動向に注目したいところではある。


■関連記事:
【牛丼御三家の店舗数推移などをグラフ化してみる(2012年8月分まで対応版)】

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