特に日本で年末商戦効果、今四半期だけで世界では765万台のセールス…ニンテンドー3DS販売数動向(2012年度3Q)

2013/01/31 11:50

任天堂(7974)は2013年1月30日、2012年度(2013年3月期、2012年4月-2013年3月)第3四半期決算短信を発表した。当初の想定より円安が進んだことで為替差益が発生し、経常利益・純利益は黒字となったものの、先日発売された新型・据え置き型ゲーム機「Wii U」本体の採算が厳しいこともあり、営業利益は赤字を計上している。今回はそれらの業績はさておき、【ニンテンドー3DS本体の販売動向をグラフ化してみる(2012年度第2四半期決算短信反映版)】に続く形で、ニンテンドー3DS(3DS LL含む)の販売動向をまとめ、グラフ化してみることにする。

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↑ 3DS LL ブルー×ブラック
↑ 3DS LL ブルー×ブラック

データの取得場所の解説、対象としている機種(3DSシリーズ)の概要などは一連の記事まとめページ【定期更新記事:ニンテンドー3DS販売動向(任天堂)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

今回発表されたデータを元に、先の記事と同様に同機の販売動向をグラフ化したのが次の図。なお四半期短信掲載の元データは万台単位までの表記で、今回はその値を差し引きしているため、項目によっては実数値と2-3万台程の差異が生じている場合がある。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)

現時点で発売開始からの累計販売台数は、全世界で2984万台。今期(連結累計)に限れば1271万台。現時点で今期販売目標台数が1500万台(全世界)(※今回の四半期短信発表にあたり、目標台数が1750万台から250万台分下方修正された)であり、その8割強という計算になる。このようにグラフ化すると、改めて年末商戦の大きさが確認できる。なお最初の期「2010年4月-2011年3月」は一年分の時間区分ではあるが、発売日が2011年2月26日以降(日本での発売が世界で最初)のため、実質的に他の期同様四半期と見て問題は無い。

そして直近の2012年度第3四半期(2012年10月-12月)においては、売上は年末商戦の恩恵を受け、すべての地域で前四半期比プラスを見せている。もっとも前年同四半期では日本国内でこそプラスだが、米大陸・その他の地域ではマイナスを示しており、日本国外での苦戦ぶりがうかがえる。米大陸では3DS LLの不調、その他地域では全体的な足踏みが原因のように見える。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2012年10月-12月期、3DSと3DS LL区分)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2012年10月-12月期、3DSと3DS LL区分)

これを販売時期に区分し、それぞれの時期における各地域での販売数を積み上げた形にしたのが次のグラフ。2011年度第1四半期の不調ぶり、そして値下げ効果と年末商戦効果が2011年度第3四半期の大きな上昇気流となったこと、さらにはその反動で次の四半期が再び大きく落ち込んだこと、上にも記しているが年末商戦の勢いの大きさや、2012年の年末商戦は2011年のそれと比べてやや勢いに欠けているのが良く分かる。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(期別推移)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(期別推移)

日本での値下げ発表は2011年7月28日、値下げ開始は同年8月11日。第2四半期における値下げ効果が発揮された時期は2か月足らずでしか無い(日本国内の話)。にもかかわらず販売台数は日本国内だけで4倍強(21万台→87万台)に達している。そしてそこからさらに3倍以上もの売上が第3四半期に発生しており、年末商戦の勢いが改めてうかがい知れる。その分、第4四半期の失速ぶりが目立つ(それでも第2四半期よりは多い)。

今回発表分の2012年度第3四半期では上記にある通り年末商戦の伸び、そして昨年同四半期と比べて国外市場での低迷ぶりが見えてくる。前年同期比計算をすると、日本は17%プラスなのに対し、米大陸は22%マイナス・その他地域は15%マイナスとなり、特に米大陸の軟調さが目に留まる。

最終的な2012年度期における販売目標台数に対する、進捗状況結果をグラフ化したのが次の図。なお先にも触れている通り、今期の販売目標は当初の1850万台から1750万台、そして今四半期決算発表において1500万台に下方修正されている。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2012年4月-2013年3月期における目標販売台数1500万台に対する達成状況)(第3四半期時点での同期内販売累計)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2012年4月-2013年3月期における目標販売台数1500万台に対する達成状況)(第3四半期時点での同期内販売累計)

達成率はおおよそ85%。月日の長さだけで考えれば75%に届いていれば目標達成は可能になるため、見た目ではまずまずの進捗ぶりといえる。もっとも今四半期積み上げ分が多分に年末商戦によるもの、そして新型家庭用据え置き型ゲーム機「Wii U」の発売後による相乗効果もあった上でのものなこと、さらに1月-3月期は年末商戦の反動を受けやすいことを考えると、今回目標を250万台下方修正しても、ぎりぎりの線との見方もできる。



今四半期決算短信では3DSのセールスに関し、『とびだせ どうぶつの森』のヒット(パッケージ版・ダウンロード版あわせて273万本の販売)をはじめ、定番タイトルのロングセールスもあり、堅調に推移したとしている。

一方、2012年度の販売目標を前四半期に続き再び、そして2.5倍の量となる250万台もの下方修正をしたこと、さらに先日のロイター報【任天堂<7974.OS>、13年3月期は2期連続の営業赤字へ 来期営業利益1000億円以上目指す方針】などでも任天堂の岩田聡社長の言として「国内では順調に推移したが、海外では十分な勢いが出せていない」などと共に、今後勢いをつけるために有力ソフトを(海外に)積極的に投入していくと伝えており、厳しい状況であることが見て取れる。

3DSにとって連動性による相乗効果が期待できた「Wii U」も発売されたものの、同社長言による「年始以降、勢いを保てておらず、足元では事前の予想通りに販売できていない」「ソフトの開発が予定通り進まなかった」(ロイター)などのコメント、そして販売計画を550万台から400万台に下方修正したこともあり、期待したほどの底上げ効果は得られなかったようだ。

ニンテンドー3DS使用中スマートフォンをはじめとしたモバイル端末の普及で携帯ゲーム機を含めた家庭用ゲーム機のシェアが「食われる」との説は根強い。ゲームファンの多くは両者を区分して考えており、必ずしも競合せず、むしろ共存する手法を取ることで相乗効果を狙えるとの話もある(【任天堂曰くの「ソーシャルゲーム」とは】でも解説しているが、ライバル視されがちなスマートフォンやソーシャルメディアを、むしろ自社ゲームの販促ツール的な形で使ってもらうような「仕組み」を提供したのも、その考えの一つ)。

他方、区分をする必要性を覚えない層も少なからずいること、時間や可処分所得は有限であることを考えれば、比率はさておき、確実にモバイル端末と携帯ゲーム機が競合しあうのは事実。かつて携帯型のゲーム機が「デジタルモバイルゲーム機」の世界では独壇場だった時代と、スマートフォンやタブレット機などの類似ツールが存在する現在とでは、状況は大きく異なる。変化を続ける環境の中で、任天堂が3DSを通じてどのような「価値」を提供し、支持を集めていくのか。長い蓄積を持つ同社の知恵の絞りどころといえよう。

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