震災によるボランティア活動の活性化実態(最新)

2017/11/05 05:07

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総務省統計局が2017年7月14日以降順次結果を発表している2016年社会生活基本調査では、人々の行動様式を多様な観点から確認することができる。今回はその公開データにおいて、ボランティア活動への取り組みのうち、2011年3月に発生した東日本大地震・震災によるものと考えられる、「災害に関係した活動」の行動者率の特異的な動きについて見ていくことにする(【平成28年社会生活基本調査】)。


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今調査の調査要綱、「ボランティア」の定義は先行記事の【ボランティア活動の実態】を参照のこと。

その記事でも一部言及しているが、ボランティア活動の具体的種類のうち「災害に関係した活動」の行動者率は2011年において大きな飛躍が確認できる。なお2001年は元データの都合上、70歳以上がすべてひとまとめにしてあるため、75歳以上が空欄になっている。

↑ 「ボランティア活動」の種類別行動者率(「災害に関係した活動」)
↑ 「ボランティア活動」の種類別行動者率(「災害に関係した活動」)

●「災害に関係した活動」の具体例
・救援物資の確保・輸送
・炊き出しなどの災害時の救援
・災害復旧のための資金の募集
・現地での労力奉仕
・災害後の被災者への救援

2001年と2006年の間にはゼロカンマ数%ポイントの差異があるが、これは「ぶれ」の範囲で、社会的情勢の変化に伴うものではない。一方、2006年から2011年にかけての動きは、「何らかの状況変化に伴う動き」であることは、誰が見ても一目瞭然である。そしてその理由は2011年3月に発生した東日本大震災によるものと見て間違いない(震災は3月、今調査の2011年分は10月に実施。その時点で「過去1年間に行ったか否か」を訪ねている)、震災によるものに他ならない。特に従来ほとんど動きの無かった若年層における大きな伸び、中堅層の活躍ぶりが見て取れる。

この2006年から2011年への変移を確認したのが次のグラフ。

↑ 「ボランティア活動」の種類別行動者率(「災害に関係した活動」)(2006年から2011年への変移、ppt)
↑ 「ボランティア活動」の種類別行動者率(「災害に関係した活動」)(2006年から2011年への変移、ppt)

元々20代や30代は行動者率が低めだったのも一因だが、この層の大きな伸びが実体として表れている。先の震災におけるボランティア活動に、多数の若年層が参加するようすが伝えられているが、それが単なる見た目だけのもの、演出的な切り貼りによるものではないことが、改めて確認できるというものだ。また、2006年時点では最多階層が40代後半から60代にかけてだったものが、2011年では30代後半から50代前半にシフトしたことも、注目すべき動きではある。

他方直近の2016年では2011年と比べて災害の数そのものが減っている(とはいえ調査年には熊本地震をはじめ、複数の大規模災害が発生しているが)こともあり、2011年からは行動者率が大きく減っている。しかしながら前々回の調査結果と比べると、ほとんどの属性で行為者率は増加していることが確認できる。

↑ 「ボランティア活動」の種類別行動者率(「災害に関係した活動」)(2006年から2016年への変移、ppt)
↑ 「ボランティア活動」の種類別行動者率(「災害に関係した活動」)(2006年から2016年への変移、ppt)

震災で生じた特異的な災害に関係したボランティア精神の高まりは一過性のものではあったが、その一部は長期的なものとして定着をしているようである。


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