子育て世代の男性の就労と家事・育児手伝い事情(最新)

2023/03/10 02:34

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2023-0222兼業世帯の増加や育児休業が話題として取り上げられるに連れ、男性の家事・育児手伝いにもこれまで以上にスポットライトが当てられるようになりつつある。結婚や育児に関する社会全般の状況と問題点、それに関連した施策状況をまとめ上げた内閣府の白書「少子化社会対策白書(旧少子化社会白書)」でも、男性の就労と家事・育児に係わる解説は一定分量を割いてなされている。今回はその「子育て世代における男性の就労時間」と「子供を含む世帯を持つ男性の家事・育児手伝い事情」について、当サイト側で一次情報を基に最新値を盛り込んだ上で、概要をまとめていくことにする(【労働力調査(詳細集計)年平均(速報)結果発表ページ】)。

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単純に総時間だけでなく、インターバル的な面でも手間がかかる子育てでは、夫婦間の連携・協力が欠かせないものとなる。例えば乳児の夜泣きに関して、場合によっては夜中でも数十分の間隔で起きて、あやす必要が出てくる。多くの世帯は「夫が世帯を収入面で支える就労を行い」「女性は専業(専業主婦)で、あるいはパート・アルバイトをしながら(兼業主婦)家事や育児を行う」。しかし、今世紀に入ってからはやや減少傾向を見せるものの、乳幼児の育児と重なる場合が多い30代で、少なからずの男性は残業を強いられ、週60時間以上の就労状態にあるのが実情となっている。

次に示すのは白書に収録されていた公開値をきっかけとし、一次情報となる労働力調査の2022年までの年平均値を基に作成した、状況推移を示すグラフである。よい機会でもあるので、直近となる2022年分に関してはより詳細な値を併記しておく。なお今件は男性雇用者のうち非農林業就業者で、休業者を除いた人における比率である。

↑ 就業時間が週60時間以上の男性雇用者の割合(年齢階層別)
↑ 就業時間が週60時間以上の男性雇用者の割合(年齢階層別)

↑ 就業時間が週60時間以上の男性雇用者の割合(年齢階層別)(2013-2022年)
↑ 就業時間が週60時間以上の男性雇用者の割合(年齢階層別)(2013-2022年)

↑ 就業時間が週60時間以上の男性雇用者の割合(積み上げ式グラフ、年齢階層別)(2022年)
↑ 就業時間が週60時間以上の男性雇用者の割合(積み上げ式グラフ、年齢階層別)(2022年)

2022年時点では例えば男性30代の9.1%、約1/11が週60時間以上労働。60時間未満の90.9%の人も全員が法定労働時間の40時間/週きっかりではなく、その多くが相当量の残業をさせられている。30代から40代の長時間労働理由について資料では具体的説明は無いが、「会社から与えられる仕事量(残業が必要な作業)が増える一方、それを上手にこなす経験の蓄積が不足しており、時間がかかる」「部下を持ち始めるなどで、立場的に残業が多くなる役職にいる人が多い」「積極的に残業をこなして手取りを増やし、家計を支えようとしている」など多数の可能性(しかも恐らくは重複する形)が想定される。

最新の2022年分では、30代以外の年齢階層で前年から長時間労働者の比率が増加を示している。2022年に限れば2020年からの新型コロナウイルス流行による業務時間の短縮要請などの反動が生じているのだろう。さらに、例えばリモートワークの場合仕事とプライベートの区別がしにくくなるため、実質的な就業時間はこれ以上に伸びている可能性もある。ともあれ今件「男性の家事・育児への参加」の観点では好ましくない傾向ではある。

1日は24時間しかない。就労時間が長くなることで、必然的に帰宅時間も遅くなり、結果として家事や育児の「機会」は減る。しかし一方で、「なぜ短時間と成らざるを得ないのか」にもスポットライトを当てなければ、問題の根本的な解決には至らない。「夫の家事育児への参加機会が少ない」原因は今件説明したように「夫の残業が多い」のが一因なのも間違い無い。ただしそれだけではなく、社会習慣的なものをはじめ他にも多様な要素が考えられる。「子育て世代における夫の就労時間が長い」との事象・現実を見据えるとともに、夫婦を取り巻く環境を包括的な視点から見つめ、夫婦としての子育てを見定めていかねばならないだろう。


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