災害廃棄物の処理は4割強にまで進行…震災がれき処理動向(2012年12月31日時点)

2013/01/26 12:00

当サイトでは震災の回復状況を把握するため、逐次統計値上から2011年3月に発生した東日本大地震・震災における被害状況をまとめている。今回は先月公開した記事を更新する形で、「震災がれき」と呼ばれているもの、具体的には災害廃棄物等、つまり災害廃棄物と津波堆積物の処理最新動向を精査することにした。

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文中・グラフ中にある「産業廃棄物」「津波堆積物」など用語の定義は一覧ページ【震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】上ので解説済み。そちらで確認のこと。

最初に算出するのは、災害廃棄物などの仮置き場への搬入状況。災害現場から災害廃棄物等はひとまず仮置き場に移され、そこから各種処分が行われる。災害現場から直接処理場に運んでも混乱が生じるだけなので、まずは仮置き場への移動が必要なのだが、全体では災害廃棄物が88.3%・津波堆積物は61.4%に留まっている。

↑ 災害廃棄物等の仮置場への搬入状況(2012年12月31日時点)
↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2012年12月31日時点)

再計測や新たな廃棄物の発生で数字が上下することはあるが、現時点でもなお1割強の災害廃棄物・約4割の津波堆積物が現場に残されている計算になる。資料ではこの件について「浸水している農地において重機作業が困難」「損壊家屋等の解体量が多く、 大規模な建物が含まれ解体に時間を要する」など、進捗状況の遅れの理由の一端を説明している。

また今回分では特に福島県の災害廃棄物の搬入状況に大きな進展が見られる。これは今回発表分から「対策地域内」にあるものについては国が直轄で処理を行うため、その分が発表・計算から除外されたことによるもの。

続いて処分がなされた災害廃棄物などの動向を記したグラフ。「処分」には対象の状況によって多種多様な手法がある。埋め立て処分の他には再生燃料として用いたり、素材として売却処分・再利用が行われている(「未処理」には「仮置場」に搬入されたものも含む)。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2012年12月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2012年12月31日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・22012年12月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2012年12月31日時点)(万トン)

仮置き場への集約率と比べ、処理・処分済み具合が随分と低い状況が確認できる。特に津波堆積物処理がほとんど進んでいない。これは処理に時間がかかること、それぞれの被災県内での処理では追いつかない一方、県外での処理には今なお「さまざまな(思惑を内包する)」障害・妨害があり、大きな期待がよせられない結果による。

復興庁には2011年12月時点から災害廃棄物等の搬送動向が記録されているが、処理・処分動向が掲載されるようになったのは2012年2月14日分・津波堆積物にいたっては2012年7月31日分から。そこで記録があるものにつき、処理状況を折れ線グラフ化したのが次の図。一番右、2012年12月31日時点は、震災から1年半以上経過していることを前提に確認してほしい。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況

直近の2012年12月31日時点で災害廃棄物の処理は4割強、津波堆積物にいたっては1割強でしかない。

なお今回、前回と比較して災害廃棄物処理率が大きく上がり、津波堆積物処理率の伸び率が落ちているが、これは処理の進展に加え、各自治体の震災がれき判定において、一部の災害廃棄物が津波堆積物に移行したものの結果による(数字には多分に推計のものがあり、状況の進展と共により現実に即した値に置き換えられるため)。例えば岩手県では震災がれき総量に変化は無いものの、災害廃棄物(処理・未処理合わせて)が394.7万トンから365.7万トンに減り、津波堆積物(同)が130.4万トンから159.4万トンに増加している。上記の解説にもある通り、津波堆積物の処理のしにくさを考えると、現場における困難さが今までの想定以上に積み重なったことになる。

単純計算をすると(震災直後の混乱期における処理不可能状況を半年とし、現在まで約16か月の処理期間が得られたと仮定する)、このペースでは災害廃棄物の処理が終了するのはあと約1年半強、津波堆積物は7年強かかることになる。時間が進むにつれて処理に慣れが生じる一方、現場からの回収・処理の難易度が上がる対象も増えて、処理施設の寿命問題も生じてくるため、この試算もあながち的外れではないものと考えられる。なお単純加算すれば、震災から3年半の経過でようやく、震災による災害廃棄物の処分が片付くことになる。

最後に、やや蛇足になるが、現時点での処理状況を一目で把握できるように、各県ごとの災害廃棄物・津波堆積物の処理済み・未処理トン数と、双方を合わせた総重量に対する処理進捗状況を計算したグラフをあげておく。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2012年12月31日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2012年12月31日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2012年12月31日時点)(対全体進捗比率)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2012年12月31日時点)(対全体進捗比率)

いわゆる「震災がれき」の処理進捗がよく把握できるグラフとなっている。現場で作業をする方の労苦がしのばれると共に、「多種多様な」障害・妨害による遅延の「現状」が見て取れよう。


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