下げ幅は縮小したが全項目マイナスに違いなし・前年同月比でマイナス4.2%(2012年12月分大口電力動向)

2013/01/24 11:55

電気事業連合会は2013年1月22日、2012年12月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年12月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で715億kWhとなり、前年同月比でプラス3.1%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス4.2%を記録し、7か月連続で前年同月の実績を下回ることになった。LEDの導入など継続的な効果を示す節電効果が地味に影響しているようだ(【電力需要実績発表ページ】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事の一覧ページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で説明を行っている。そのページを見てほしい。

2012年12月においては大口全体で前年同月比マイナス4.2%。「前年同月比」ではあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる。

大口電力使用量産業別前年同月比(2012年11月-2012年12月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2012年11月-2012年12月)

今月も先月に続き、全項目がマイナス。下げ幅は多くの項目で縮小しており、それが唯一の救いとなっている(もっとも「非鉄金属」の大幅な下げ幅拡大は気になるところだが)。

1年前の記事と比較すると、1年前も全項目でマイナス。下げ幅も似たり寄ったりであり、「昨年同月では上昇したのでその反動により、今月はマイナスになった」という説明は成り立たない。むしろ電力消費の減退が勢いを衰えさせずに継続している感すらある。「前々年」同月比を算出したのが次のグラフだが、全項目がきれいにマイナス化。

大口電力使用量産業別「前々年」同月比(2012年12月)
↑ 大口電力使用量産業別「前々年」同月比(2012年12月)

特に「繊維」「紙・パルプ」「化学」の3項目は1割を超えており、単なる省エネ・節電化のみでは説明できない。電力使用量がそのままその業界の生産・景気動向をストレートに表すわけではないとはいえ、衝撃的な値には違いない。

先月比のグラフでは短期はともかく中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

中期的な大口電力使用量の動向としては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向(これも多分に「リーマンショック」の反動の面が大きい)がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きが2011年3月で止まり、それ以降は大きく下落しているのが確認できる。無論東日本大地震・震災を直接・間接起因とするもの。

その後2012年2月までは多くの項目でマイナス圏での推移が続いているが、工場の物理的な損害以外に、(原材料の調達不足、タイムシフト・デイシフトをはじめとする各種節電対策など)多種多様な稼働率・生産調整が影響している。

2012年3月以降は「震災による大きな減少」からの反動の色合いが強く、多数の項目で大きく跳ねている。しかしこのリバウンド的な跳ねも一時的なもので、4月以降は失速、6-7月の領域で完全に低迷状態に陥り、以降はその状態が継続しているのが分かる。ちなみに今回の2012年12月・全体値の「前々年」同月比はマイナス7.8%になる(上記グラフより)ことは、知っておいて損は無い(同様の計算による2012年11月・全体値の前々年同月比はマイナス7.0%だった)。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとなる指標の一つ。被災した工場の物理的復興は相当率なものとなったが、電力の安定供給や需要の回復を望めず生産施設をたたんでしまった事例をはじめ、節電対策による消費電力減退、景気低迷に伴う生産調整など、生産力の数字的低迷は否めない。そして昨年2012年の夏期は節電「要請」(だが企業にとっては実質的に電力使用制限令と同程度のプレッシャーがある)に伴い、インフラに携わる者も含め、多くの企業や市民が難儀を強いられ、大きな負担を背負った。さらに今冬も、警戒される地域こそ異なれど、同じ状況が繰り返されている。

今後も全体の需給の流れと共に、特に製造業の動向を間接的に確認できる、大口電力の動向は注意深く見守っていきたい。

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