全体ではわずかにプラス、ラジオがやや軟調(経産省広告売上推移:2013年1月発表分)

2013/01/21 11:55

経済産業省は2013年1月15日、特定サービス産業動態統計調査において、2012年11月分の速報データを発表した。それによると、2012年11月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でプラス1.0%と増加していることが明らかになった。主要項目別では「ラジオ」がマイナス6.4%と、もっとも低迷しているのが確認できる(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得元や選択項目の詳細に関しては記事の一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】の中で解説している。そちらで確認してほしい。今記事はその2012年11月分データ(公開は2013年1月)の速報値を反映させたもの。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2012年10-2012年11月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2012年10月-2012年11月)

比較しやすいように先月発表データ(確定値に修正済み)と並列して図にした。今回月では取り上げた項目の一部で、先月と比べ状況の改善が確認できる。とはいえ、前年同月比では「インターネット広告」以外すべてでマイナス。特に「ラジオ」の下げがキツく、目立つ形となっている(金額は小さいので、売上高合計に与える影響はさほど大きくない)。また該当月の電通・博報堂に関する記事【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2012年11月分)】でも、「ラジオ」の大きな下げ方と「インターネット広告」の堅調ぶりが目立つ形となっており、今件結果の傾向の正しさが再認識できる。

先月に続き、「前年同月」が震災起因で大きく下げた値の反動値となり、状況を正しくつかめないリスクを回避するため、「前々年同月比」も算出し、グラフを作成する(次回、つまり2012年末分までは継続して算出する予定)。今回の場合は2010年11月の値との比較となる。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前々年同月比(2010年11月→2012年11月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前々年同月比(2010年11月→2012年11月)

2年越しの変動でも、「インターネット広告」の上昇機運、4マスの軟調さ、その中でも「テレビ」は復調の兆しがあることや、「新聞」「ラジオ」の崖っぷちぶりが見て取れる。

今回も該当月における各区分の具体的売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データとの違和感を覚える部分もあるが、参考値の一つとしてとらえてほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2012年11月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2012年11月、億円)

金額面で見ると昨今では何度か「新聞」を抜き、主要5項目では「テレビ」に次ぐポジションを得る機会を持つようになった「インターネット広告」(【新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる(2012年7月まで対応版)】)。今月発表分は先月分に続き、「インターネット広告」を「新聞」が追い抜く形となった。まだ両者間には決定的な差は出ていないようだ。

次に、公開されているデータの中期的推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2012年11月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2012年11月分まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で2009年後半以降は回復、プラス圏を維持」「テレビは2010年あたりから戻しの雰囲気」「ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小」「雑誌はかなり厳しいレベルの下げ幅を継続していたが、ここしばらくは復調の雰囲気も」という傾向を見せてい”た”。そして東日本大地震・震災による影響で2011年3月分から、グラフは大きなうねり・変移を起こしている。

今回月は半年ほど前に生じた「震災後の下落との比較による結果で生じた、反動の伸び」の勢いがしぼみ、急速に下落していた先月までの動きに抑えがかかり、復調の気配が見受けられる。「インターネット広告」の伸びのおかげで、合計値がプラスに転じたのも好感すべき動き。

新聞購読元々紙媒体の電子媒体への一部移行と適正な住み分け(紙媒体のすべてが電子媒体に移行する・必要があるわけではなく、紙媒体にも長所は多い)、電子媒体の広告プラットフォームとしての立ち位置の正当評価は、メディアの技術進歩や需給関係の変化と共に、漸次進行する。日本の場合は他の先進諸国とは異なり、既得権益を悪と決めつけ、それを「打破しなければいけない」と風潮する報道メディア自身が大きな既得権益にあぐらをかく状態で、さらにそれを頑ななまでに守り通そうとする動きが見られる(要は「ミイラ取りが元からミイラだった」)。結果として各メディアの「立ち位置の正常化」「世界の流れに追随する歩み」は遅れているのが現状。もっとも、すべての面で単純に世界の流れへ追随することが正しいのか否かは別の話。

一方で東日本大地震・震災とそれに伴う各種震災・人災は、消費者の中に心理変化を芽生えさせた。そして広告出稿側のコスト意識の変化(多くは費用対効果の厳粛・厳密化)、地震報道などで一部ながらも露呈した各媒体の「真の価値」に対する、視聴者・広告主による意識の移り変わりのきっかけとなった。広告業界ですらも一部軌道修正の上で、全体における変化の「時計の針」を押し進めている。

今後も電通・博報堂の月次レポートの分析と共に、特定サービス産業動態統計調査の結果の追跡に傾注し、メディアと広告の状況変化の移り変わりのチェックをお勧めしたい。単月ではつかみとれない時代の躍動が、数か月、数年の流れを見て行くうちに、頭にイメージされるに違いない。

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