博報堂ではプラス19.6%、新聞の強さが光る(電通・博報堂売上:2012年12月分)

2013/01/16 07:30

【博報堂DYホールディングス(2433)】は2013年1月15日、同社グループ主要3社の2012年12月における売上高速報を発表した。これで【電通(4324)】が同年1月11日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内二大広告代理店の2012年12月次における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めることにする。

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グラフ生成のために用いたデータの取得元に関する解説、各項目に関する留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で記述している。そちらで確認のこと。

二大広告代理店の2012年12月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2012年12月分種目別売上高前年同月比

東日本大地震・震災による直接的な広告費(額面)のへの影響は、数字の上では終息したと断じても良い。そして昨今では震災以前からの広告業界・メディアのトレンドを継続する形が続いている。中期的な概況としては「4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)が苦境に陥っているが、テレビがやや戻しの動きを見せる」「デジタル系、そして屋外広告などの非4マス系の一部が堅調」というもの。特にこの数か月においては「その他」項目が強い動きを示している。

今回月・2012年12月分の特徴としては、「新聞の強さ」「インターネットが足踏み」「『その他』の強さ」の3項目を呈することができる。比較対象となる1年前の状況を示す過去の記事を見ると、「新聞」では1年前も博報堂は大きく上げており、「前年マイナスの反動」という説明はしにくい。あるいは衆議院総選挙関連で、新聞への広告にも活性化の波が押し寄せた可能性はある。

他方、4マス・インターネット広告以外の従来型広告では、1年前は総じて大きく上昇していたため、今回月の軟調ぶりはその反動による可能性も否定できない。また「雑誌」「ラジオ」は1年前もマイナス、今回月もマイナスで(1年前の電通・雑誌はプラスだったが)、状況は悪化している。

現状をさらに把握するため、参考値として電通・博報堂それぞれにおける「一昨年前の値」との比較を算出し、グラフを生成しておく。基準値を設定してその値に「前年における前年同月比」「今件の前年同月比」を順番に掛けただけだが、各項目の実情が良く分かる結果となっている。

電通2012年12月度単体売上(前々年同月比)
↑ 電通2012年12月度単体売上(前々年同月比)

博報堂2012年12月度単体売上(前々年同月比)
↑ 博報堂2012年12月度単体売上(前々年同月比)

やはり今回も「その他」のプラスが目に留まる(単純な前年同月比でも、従来型広告では突出している)。額面も博報堂はともかく電通はそれなりに大きな額で気になるところだが、この項目については以前触れた通り、

●「その他」
電通……衛星その他のメディア、メディアプランニング、スポーツ、エンタテインメントその他コンテンツなどの業務が含まれます
博報堂……スポーツ、エンタテインメント、その他コンテンツ等に関する取引が含まれております。

とだけあり、具体的内容・詳細は不明。マネジメントやアイディア出しなど、広告周りの細々とした作業の集約(、そして対象メディアを区分・特定せずに集計されたもの)と見るべきか。また、昨年の同月も同様の傾向を見せているところから、年末にかけては事業が集中する傾向があり、かつこの一、二年はさらに成長を続けている可能性が高い(。今回は前述した通り、選挙関連のこまごまとした案件も多分にこの項目に含まれていると推測される)。

なお今件記事中最上位にあるグラフに記された値について説明しておくが、これは「個々の会社の前年同月比」であり、額面の絶対額を意味しない。例えばインターネット分野の額面は、他の分野と比べればまだ小さめ。そして個々分野を会社毎に比較した額面上では、電通の方が上となる。

電通・博報堂HDの2012年12月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂HDの2012年12月における部門別売上高(億円、一部部門)

電力需給のひっ迫感は相変わらずどころか政治的要因などで昨年度よりも悪化し、2012年の夏は半ば強制的な節電で多くの経済的・機会的・一般市民の健康面などにおいて被害が生じることとなった(【IEEJ発「今夏電力需給」と「震災後の電力需給分析」】【続く節電要請・逃げる企業…関電管轄内企業の「今後も節電継続」の場合の対応は?】など参考)。そして現在も前政権党の政策による傷跡は大きく、主に北日本、とりわけ北海道電力管轄において、同様の逼迫的な状況が進行中であり、さらに国富の膨大な浪費が進行中(【冬の「ようせい」】)。

そのような電力事情下において、自動販売機や電灯など、電力を常用する公的あるいはそれに準じる施設・機器では、加速度的に節電機能が開発、搭載され、実働を果たしている。

電車内広告新スタイルの広告手法として注目されている「デジタルサイネージ」もまた、地震直後のような「全面電源オフ」という状況からは復帰しているものの、積極的な節電の「強要感」は深く浸透し、以前ほどの活力・積極性は見られない。「全国規模で」電力浪費(に見えるのでバッシングを受けやすい)による非難リスクを自然に避ける、自主規制をする傾向がある。デジタルサイネージが撤去される、各小売店でも昨年以上・過剰とも見えるまでの、身を削る形での節電状況が随所で確認されている(例えば照明一つにしても、明るさが落ちればマーケティングの上では確実に売上にマイナスの影響が出る)。

そのような状況においては電力消費をほとんど伴わない、立て看板をはじめとした従来型野外広告に注目が集まるのは自然の流れ。昨今の「従来型広告の堅調さ」も、社会的状況が影響しているものと見て良い。これからは従来型・4マス・ネットそれぞれの長所を上手く流用・活用・併用し、予算の上だけでなく電力消費の観点からも、慣習にとらわれることなく、費用対効果の高い、そして同時に効果が把握しやすい広告手法が求められる。

他方、今回は幸いにも「新聞」は大きく戻しを見せたが、ここしばらくにおける4マス中「テレビ」以外の3項目における軟調さは、それらの媒体における「メディア力」の低下を強く印象付けさせる。その低下が「絶対的なもの」か、他メディアと比較しての「相対的なもの」かまでは判断が難しいが、広告主の視点からも厳しい取捨選択が行われている可能性は高い。年末年始のかきいれどき以降に、さらなる変化が見られるかもしれない。

ともあれ、経済産業省の広告費データと共に、今後も広告費動向を注意深く見守りたいところだ。

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