レギュラーガソリン価格と灯油価格をグラフ化してみる(最新)

2020/03/13 10:27

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2020-0313燃焼機関を動力源とする自動車は今や人間の社会生活には欠かせないツールの一つである。個人、世帯単位での移動手段としてだけでなく、流通を支える各種トラックやタンクローリーなど、工事現場などで働く建機、さらにはバスをはじめとした旅客用に至るまで、皆が皆、ガソリンを燃料として動いている(一部は軽油も使っているが)。最近では電気自動車、燃料電池自動車も少しずつ普及し始めているものの、今なお自動車がガソリンを主燃料としていることに違いはない。当然、その燃料たるガソリン価格の動向は多くのドライバーはもちろん、自動車を間接的に利用する人にも気になるもの。今回は基準となる指標として総務省統計局による東京都区部の自動車用ガソリン価格を用い、直近までの動きを確認していくことにしよう。さらに同じ石油を原材料として精製され、冬場に多く使われる灯油の動向も併せて見ていく。

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生産国の思惑で大きく変動するガソリン価格


まずは原油価格(ニューヨーク原油・WTI)と連動する(WTI原油先物価格を参考に円換算されている)ETF(Exchange Traded Funds、証券取引所に上場しており証券口座があれば取引が可能な、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託)の一つ、【WTI原油価格連動型上場投信(1671)】のチャートを抽出し、原材料の価格動向を確認する。



WTI原油価格連動型上場投信
WTI原油価格連動型上場投信・6か月間・5年間の値動き(Yahoo! JAPAN ファイナンスより)

一つ目の過去半年間の動向を見るに、2019年9月14日に生じたサウジアラビアへのドローンなどによる石油施設への攻撃で一時的に急騰したものの、すぐに情勢は安定化し、価格は下落。その後は減産規模の拡大期待を受けでじわりと値を上げている。また景況感の回復から原油の需要が高まりを見せているのも上昇の一因。2020年に入ってからはイランによるイラク領内の米軍基地への攻撃をきっかけとした中東情勢の激化懸念から値を大きく上げたものの、新型コロナウイルスによる新型肺炎の広まりで中国を中心に世界経済の後退が生じ需要減が起きるのではとの懸念が大きなものとなり、さらにOPECと非OPEC国との間で構成するOPECプラスが減産強化に合意に至らず、一部産油国が増産に踏み切る動きを見せたこと(【原油価格の急落】)から急落している。

5年範囲のチャートで見ると、2014年夏をピークとしてそれ以降は急落。2015年の頭に一度安値を付けたあと、ややリバウンドで戻したが、再び値を落とした。2016年に入ってから価格は上下を繰り返しているが、過去の動向と比べれば値幅は大したものではなく、おおよそもみあいの流れの中での動きだったことが分かる。そして昨今の新型コロナウイルスによる需要減退懸念と、減産強化合意失敗による下落が大きなものであることも確認できる。

細かな動向では2017年後半から上昇を見せるも2018年秋口で天井。その後は下落を続け、2019年1月の中頃を底として少しずつ戻しを見せた後に失速し、その後はじわりと持ち直し、そして新型コロナウイルスによる景況感の悪化懸念での下落。直近では一つ目の半年期間のチャートの範囲で見ると大きな上下感を覚えるが、中期的な視点では小幅な値動きでしかない。一方で2020年に入ってから立て続けに生じている売り圧力が、長期ベースで見ても大きなものであることも分かる。

この原油価格の動向を頭に入れた上で、早速ガソリン価格から見ていくことにする。【総務省統計局・小売物価統計調査】からたどり、【総務省統計局・小売物価統計調査(動向編)/価格の動向】にて東京都23区部における小売価格を取得する。

年次データは月次の値を元に各年平均値を独自で算出(1966年分は公開されている4月以降、1967年分以降は12か月分すべてが対象)、月次データのグラフは金融危機が勃発した2007年の頭からに限定し、激しい動向が分かりやすいようにしている。現在月次は2020年2月まで公表されていることから、年次のうち2020年分は2月の値をグラフ上に加えている。

↑ 自動車ガソリン小売価格(東京都区部、年ベース、円)(直近年は計上月までの平均)
↑ 自動車ガソリン小売価格(東京都区部、年ベース、円)(直近年は計上月までの平均)

↑ 自動車ガソリン小売価格(東京都区部、月ベース、円)(2007年1月-2019年12月)
↑ 自動車ガソリン小売価格(東京都区部、月ベース、円)(2007年1月-2019年12月)

↑ 自動車ガソリン小売価格(東京都区部、月ベース、円)(直近2年間)
↑ 自動車ガソリン小売価格(東京都区部、月ベース、円)(直近2年間)

2008年夏期のガソリン価格高騰のイメージが強いため、同年の年次データが思ったより低いことに違和感を覚えるかもしれない。これは2008年後半においてガソリン価格が急落したため、年次における平均値としては押し下げられてしまったのが原因。二つ目の月次データを元にしたグラフで「原油直近天井価格」以後の急落を見れば、その下げ方は一目瞭然である。何しろ半年で70円強もの下落を見せている。

一方、その月次においては、2008年4月の暫定税率一時解除に伴う下げを見せたあとは上昇を続けたものの、原油価格の天井である同年7月から8月付近で最高値をつけ、その後急速に値を下げている。そして原油価格の上昇、2012年末以降はそれに加えて為替レートの円安化とともに再び少しずつ上昇傾向にあり、それが2014年夏まで続いていたのが分かる。これは冒頭のグラフや【原油先物(WTI)価格の推移をグラフ化してみる】にある通り、原油価格の動向にほぼ連動している。2014年夏までのガソリン価格の上昇ぶりは、為替レートにおける円安化とともに、原材料の原油価格の上昇に伴うものであることが、改めて認識できよう。

2020-0313時点2014年秋以降は急速な原油価格の下落に伴い、稲穂がこうべを垂れるがごとく、値を落としている。月次の通りガソリン価格の大幅な下落は2014年11月から生じているが、2009年の下落以降継続していた上昇気運が同年夏まで続いていたことから、2014年の年次では結果として年間平均値でも高値のまま、161円を付けてしまった。この金額は直近の金融危機(156円)を超え、第二次オイルショックの時の値(172円)にすら手が届きそうな値であり、同年夏までの高値ぶりを改めて実感できる結果となっている。

昨今では数年分の上昇をすべて吐き出し、一時的な戻しがありながらも2016年3月に109円で底値を付けるまで下落は続き、その後は何度かの踊り場を見せながらも上昇。2018年10月に157円を示して天井感を見せ、急落を示した。今回月となる2020年2月は前月比で3円安い148円。ここ1、2年では150円が天井に見えるような動きではある。

灯油価格の動向は?


ガソリンとはやや違った傾向を見せているのが灯油価格。こちらは東京都内・18リットルのデータを採用し、グラフを作成した。

↑ 灯油小売価格(東京都区部、年ベース、18リットル、円)(直近年は計上月までの平均)
↑ 灯油小売価格(東京都区部、年ベース、18リットル、円)(直近年は計上月までの平均)

↑ 灯油小売価格(東京都区部、月ベース、18リットル、円)(2007年1月-2020年1月)
↑ 灯油小売価格(東京都区部、月ベース、18リットル、円)(2007年1月-2020年1月)

上下変動のようす、グラフの形状はガソリンとほぼ同じだが、「計測史上」最高額はすでに2007年12月の時点で達成してしまっている。そしてその後も上昇を継続、結局最高値は2008年8月の2468円となった。この記録はいまだに破られていない。

幸いにも2008年においては、最高値をつけた夏以降、原油価格の急落を受けて灯油価格も下落。利用頻度が高まる2008年12月の時点では、価格は2006年の水準前後にまで戻っている。そしてその後はガソリン価格の変移と比べると緩やかではあるが、再び細かな上下を繰り返しながら、中期的に上昇の気運の中にあった。

2014年夏以降の動向もガソリンとほぼ同じで、同年秋からは大きな下落の最中にある。灯油を多用する2014年度の冬期に突入した時点でも安値は続き、前年度の同時期と比べても安値で推移した形となった。

2015年に入ってからはガソリン同様原油価格に連動する形で値を少し戻した後、もみ合いから小幅な上昇、そして再び横ばいにシフトし、その後は下値を模索する気配を見せていた。2017年に入ってからは9月に至るまでほぼ横ばいの流れが続いていたが、10月以降はガソリン同様に上昇の動きを示した後、2018年11月を天井におおよそ横ばいの動きにある。ここ数か月はいくぶん上昇の動きとも解釈できるが、それでも上げ幅は限定的に過ぎない。



2014年夏頃までは当方(不破)が巡回しているウェブサイトやブログ、ツイッターやFacebook上のタイムラインでも、自動車を運転する人による「ガソリン代がツライ」「また上がったの?」的な話をよく目にした。「景気ウォッチャー調査」をはじめとする各種市場調査、民間の商業関連の調査でも、電気代などとまとめて「エネルギーコスト」との表現が成され、ガソリン代の上昇に対する負担増に関する影響の大きさが認識できた。ガソリンスタンドを目にするたびにスタンドにおける価格をチェックすると、少しずつではあるものの確実に、2014年夏頃までガソリン価格は上昇していた。

これは上記にある通り、原油価格の高騰によるところが大きい。為替レートの変動(円安・ドル高)の影響もあるが、2014年夏までは1ドル100円あたりを行き来しており、ガソリン・灯油価格に大きな影響を与えるものでは無い。

ところが2014年夏の終わり頃以降、為替の大幅な円安化と原油価格の大幅下落の2要素から成る、ガソリン・灯油価格に大きな影響を与える事象が同時期に発生している。円安化の理由は【円ドル為替相場の移り変わりをグラフ化してみる】でも解説の通り、日米両国の金融政策上におけるいくつかの決定と、アメリカ経済の復調を受けて、そして原油価格が大幅下落をはじめたのは【これは驚いた、ルーブル安がゴリゴリ進んでいる件について】【止まらぬルーブル安、一時1ドル80ルーブルに】などで解説の通り、石油市場においてシェア維持を模索するOPECとシェールオイルによる市場参入を模索するアメリカとのチキンレース的な状況によるもの(原油を輸出することで外貨を稼いでいるロシアのルーブル安は、主にこの「レース」に巻き込まれた形)。

また中国や欧州の景気鈍化などを受けて世界的な需要が減退したこと、その上原油安に伴い資産評価減を受けた石油関係各社が債務返却のため生産を継続どころか拡大しなければならなくなり、結果としてますます供給過多が進んだ結果とする分析もある。アメリカ合衆国が40年ぶりに原油輸出の解禁を決めており、これもまた供給増加による価格のさらなる値下がり圧力となった。

2016年春先以降は「アメリカドルの下落」「アメリカ合衆国の採掘所稼働率の低下や原油生産量の減少」「アメリカ合衆国での行楽による自動車利用拡大に伴う需要増加(5月以降)」などから原油価格が上昇する材料が出そろう形となり、価格は上昇の動きにあった。そして昨今では多様な国際情勢の変化、原油産出国の思惑が絡み合い、穏やかならぬ値の動きが成されている。情勢そのものの見極めだけで無く、事象に絡んだ取引サイドの思惑・解釈も多様におよび、それぞれが価格に反映される・されないは値の動きを見てからで無いと判断ができないため、動向予想がしにくい状態が続いている。また2017年夏のアメリカ合衆国の台風による被害で原油価格が上下するように、気象状況でも実情、さらには思惑も大きく影響を受ける。

【ガソリン価格比較サイトgogo.gs】のデータを確認すると、レギュラーガソリン(東京都)は2020年3月12日時点の平均価格として、141円90銭をつけている。前回月(145円70銭)と比較すると3円80銭の値下がり。

ガソリン・灯油ともに、現在の日常生活には欠かせない。そして冒頭にも触れた通り、直接消費するのみならず、流通においても多用されるところから、ガソリン価格の変化は多種多様な商品価格にも大きな影響を与えることになる。さらには費用・経費の上で、ガソリン価格次第でビジネス領域を縮小したり、商売そのものを断念せざるを得ない事例もある。今後もガソリン、そして冬季においては生命線にも直結する灯油価格の動向には、深い留意を払いたい。


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