松屋は新商品を続々投入するも業績は今一つ…牛丼御三家売上:2012年12月分

2013/01/09 11:55

【吉野家ホールディングス(9861)】は2013年1月7日、同社の子会社である牛丼チェーン店吉野家の2012年12月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でマイナス6.0%となった。牛丼御三家のうち【松屋フーズ(9887)】が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年12月における売上前年同月比はマイナス6.4%、【ゼンショー(7550)】が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス4.8%の動きを見せている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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↑ 牛丼御三家2012年12月営業成績
↑ 牛丼御三家2012年12月営業成績

吉野家について昨年同月と比較すると、一年前における客単価前年比はプラス4.3%だったものの、そこからさらに2.5%の引き上げに成功している(2年越しで計算すると約7%のプラス)。【吉野家、新メニュー「牛焼肉丼」を13日から発売】にもある通り9月13日から発売を開始した「牛焼肉丼」、【吉野家、焼味豚丼 十勝仕立てを11月1日から販売再開】のように販売を再開した「焼味豚丼 十勝仕立て」そして11月30日から発売中の「焼鳥つくね丼」(【吉野家から「焼鳥つくね丼」発売】)は確実に客単価の引き上げに貢献している。ただし客入りは大きく減り、これが売上高の頭を押さえる原因となった。

松屋の鶏つくねハンバーグ定食松屋は客数と客単価のバランスを取る姿勢が巧みで、客単価が不調気味でもその分客数がカバーをし、売上高を積み増し、安定的な売上を継続するスタイルを踏襲していた。しかしここ数か月は客数の減退が目立ち、客単価の勢いにも陰りを見せている。今回該当月は【松屋からトンテキ定食登場】【松屋から鶏つくねハンバーグ定食登場】など高単価の新商品を続々と展開してはいるが、客単価はわずかプラス0.3%。客数の減りがそのまま売上高に反映される形となっている。昨年同月の客数はプラス0.8%であることから、「昨年同月が大盛況だったので、その反動でマイナスになった」とも言えず、頭痛の種ともいえる(2年越し計算では客数はマイナス6.0%となる)。

すき家も【牛丼並盛250円…すき家、今年の来客3億人の感謝祭を実施】の通りメイン商品の価格を一時的に引き下げて客の誘引を図ったり、【すき家、高菜明太・キムチ・ねぎ3種のマヨ牛を展開】にある通り新商品の展開で客単価の押し上げを模索している。結果、客単価はプラスとなったものの、客数の減少は止まらない。同社の前年同月における客数はマイナス2.9%。2年越し計算でも今回月は客数がマイナス10.9%となり、「昨年の盛況による反動」との説明は難しい。

12月分を各社一言ずつ……というより今回は全部まとめて一言で表現すると、「三社とも客単価の押し上げも最低限に留まり、客足の遠のきは続き、結果として売り上げも低迷」という形になる。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年12月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年12月)

2011年3月以降は東日本大地震・震災による直接的影響に加え、消費マインドの変化、活力向上祈願も兼ねた安売りセールなどで、客単価や客数、そして売上も大きく変化している。特にこの数年来毎月のように繰り広げられた安売りキャンペーンは「牛丼なのにチキン(鶏)レース」との笑えない状況を生み出し、さすがに今では沈静化を見せている。むしろ客単価を底上げする(見方を変えれば元に戻す)ため、比較的高価格な商品展開が相次いでいる。

この数か月はそれらの「チキンレースに後押しされた無理な前進」の後遺症のような低迷ぶりが目に留まる。特に客数動向の点で、前年同月比マイナスが続いているのが気になる(吉野家は12か月、松屋は9か月、すき家は13か月、客数の前年同月比マイナスが継続中)。牛丼離れ的な動き、さらには消費全体の性向そのものにすら変化が生じ、その影響が出はじめている可能性がある。

松屋の焼肉攻勢昨今では新興勢力である「東京チカラめし」に刺激を受けた形による、焼肉系丼の動きが注目される。この系統の商品は「新鮮味による集客効果」と「客単価の引き上げ」双方の効果が期待できるのがポイント。各社とも本腰を入れており(全店展開か否かは別として、御三家全社で導入済み)、単品としてはそれなりに成果も上がっている。しかし全体に与える影響はまだ小さく、業績そのものを底上げするまでには至っていない。

さらに牛丼価格帯の需要に関して、「東京チカラめし」以外にも麺類の小売企業にお客が流れているとの指摘もある。例えば【ハイデイ日高(7611)】が運営する日高屋の【売上高を確認すると】、この一年はやや起伏があるものの、多くの月で客数を伸ばし、売り上げも上昇中(2012年12月時点で最新年期の既存店売上高前期比はプラス2.1%、客数はプラス2.3%、客単価はマイナス0.2%)であることが確認できる。

ともあれ、引き続き御三家の今後の動向に注目したいところだ。


■関連記事:
【牛丼御三家の店舗数推移などをグラフ化してみる(2012年8月分まで対応版)】

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