アラブ諸国では政治の話題も高利用…ソーシャルメディア上での意見展開、メインは音楽や動画、地域問題

2013/01/15 11:55

ジャスミン革命アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年12月12日、世界主要国におけるソーシャルメディアの使用性向に関する調査報告書【Social Networking Popular Across Globe】を発表した。それによれば18歳以上の大人のうちソーシャルメディア(Facebook以外にツイッター、YouTubeや各国での主要サービス(Tuenti、Orkutなど)含む)利用者においては、2/3の人が音楽や動画に関して自分の意見を述べた経験があることが分かった。地域問題やスポーツでは4割強の人が意見をしている。他方、政治や宗教の点で意見を述べる人の割合は低めだが、アラブ諸国では地域問題や政治にも高い関心が寄せられており、地域問題では8割前後、政治でも6割強の人が意見を述べているのが確認できる。

スポンサードリンク


今調査は2012年3月から4月にかけて、各国18歳以上の800人-約4000人に対し対面あるいは電話による通話形式でのインタビューで実施されたもので、中国以外では国勢調査の結果に基づいたウェイトバックが行われている。また国別の習慣や国内情勢、言語などの違いにより、質問などの点で完全に同じ条件下で行われたとは言い切れないことに留意しておく必要がある。

先に別記事で解説したように、今調査ではイギリスの5割強をはじめ、一部の国を除けば2-5割の人がソーシャルメディアを利用している。

↑ ソーシャルメディアを使ったことがあるか(再録)
↑ ソーシャルメディアを使ったことがあるか(再録)

ソーシャルメディアの特徴の一つには、利用者の意見を他人が共有できることが挙げられる。ウェブサイトやブログでも可能だが、自分の意見を容易に第三者に周知し得るという点では、はるかにハードルが低い。そこで「どのような話題について、自分の意見をソーシャルメディア上で展開したことがあるか」と尋ねたところ、設問項目中では「音楽や動画」がもっとも多く、67%の人が「自分の意見を述べたことがある」と答えた。

↑ ソーシャルメディア上に次の区分に当てはまる自分の意見を展開したことはあるか(ソーシャルメディア利用者限定)
↑ ソーシャルメディア上に次の区分に当てはまる自分の意見を展開したことはあるか(ソーシャルメディア利用者限定)

エンタメ色の強い項目としては「スポーツ」も該当するが、こちらは4割強。そして利用者に直接影響する可能性が高い「地域問題」は46%とやや高め。一方、「政治」は34%、「宗教」は14%と低めである。

ところが今調査対象国のうちアラブ諸国においては、「地域問題」、そして「政治」「宗教」の点で他国と比べ非常に高い値を示している。

↑ ソーシャルメディア上に次の区分に当てはまる自分の意見を展開したことはあるか(ソーシャルメディア利用者限定)(アラブ諸国)
↑ ソーシャルメディア上に次の区分に当てはまる自分の意見を展開したことはあるか(ソーシャルメディア利用者限定)(アラブ諸国)

報告書には「高い傾向がある」として注視しているものの、その理由に関する解説は無い。あるいは口頭など既存のコミュニケーション様式では抑圧されがちなこれらの項目においても、比較的自由に意見を述べられるソーシャルメディアが、特にこれらの諸国に好まれたのかもしれない。ともあれ今件は【それはまるでドミノ倒しのように...中東で広がるデモ】【「ジャスミン革命」の発端地、チュニジアの今】などで解説しているように、ここ数年の間、特に中東・地中海沿岸諸国で吹き荒れた「ジャスミン革命」やその類の動きを後押しする要因として、ソーシャルメディアが利用されたことを示す裏付けにもなる。

↑ ソーシャルメディア上に次の区分に当てはまる自分の意見を展開したことはあるか(ソーシャルメディア利用者限定)(「政治」)
↑ ソーシャルメディア上に次の区分に当てはまる自分の意見を展開したことはあるか(ソーシャルメディア利用者限定)(「政治」)

逆に経済的に先進国区分にある国のいくつかにおいては、ソーシャルメディアの利用でも(特に政治、宗教や文化的な面で)消極的であると報告書は伝えている。確かに一例として政治面の切り口で見ても、上記のグラフにある通り、それらしく見えてくる(ただしその考えではアメリカ合衆国は特異に見える)。

一番最初のグラフを見ると、アラブ諸国ではインターネット普及率そのものはさほど高くないものの、ネット利用者に占めるソーシャルメディア利用率が高いことが分かる。この「ネット利用」はパソコンに限らず、モバイル系も含まれていることを考えれば、「モバイル端末を用いたソーシャルメディアによるコミュニケーションの浸透」が政治・宗教的なやりとりを活発化させた、そして(その是非はともあれ)社会活動の活性化をうながしたと見ることができよう。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー