直近では96.2万人・漸減中…小学1年生の児童数推移(最新)

2024/03/18 02:42

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2024-0310日本の少子化傾向に伴い小学生や中学生の数が漸減していることは、【小学生や中学生の数の推移】などで確認した通り。義務教育期間となるそれら小中学生の時期において、本人にとって、そして周辺の人達においてももっとも大きな転機となり、多様な関連市場がリンクしてくるのは、小学一年生に他ならない。そこで今回は、その小学1年生の数の動向を精査することにした。

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データ取得元は文部科学省発表の【学校基本調査】。ただしこのページで掲載されている単年の調査結果は数年分しか収録されていないので、総務省の公開データベース【e-Stat】から「学校基本調査」を探し、年次統計を選択。そこから各種必要なデータを選び、逐次取得していくことになる。

ところがその「年次統計」では学年別のデータが見つからない。そこで各調査年毎に「初等中等教育機関・専修学校・各種学校」「学校調査・学校通信教育調査」「小学校」「小学校の学校数・学級数・児童数および教職員数」と順にたどり、該当値を抽出していく。毎年度の分は1992年度以降のものしかないが、とびとびの年度でも取得できる値はすべて用いて精査を行う。

まずは小学1年生の人数推移。直上の「参考資料」で掲載されていた、過去の一部のデータをつなぎ合わせたもの、および年次データが揃っている1992年度以降に限定したグラフ、双方を併記する。

↑ 小学1年生数(国公私立合わせて、人)
↑ 小学1年生数(国公私立合わせて、人)

↑ 小学1年生数の推移(国公私立合わせて、人)(1992年度以降)
↑ 小学1年生数の推移(国公私立合わせて、人)(1992年度以降)

1つ目のグラフでは先の小学生全体の動向同様、2回にわたるベビーブームの影響が確認できる。また1992年以降に限ったグラフを見ればより明らかではあるが、一部イレギュラーな動きもあるものの、ゆるやかなカーブを描きながら減少している事実が再認識できる。そしてその減少具合も、2006年度以降はやや加速の向きもあったが、2012年度に大きめな落ち方をした後は翌年度に前年度比でプラスに転じ、その後も下落の仕方は穏やかになったように見える。

最近における大きな減少から底打ち、回復、そして緩やかながらも再下落への動きが確認できるのが、次のグラフ。

↑ 小学1年生数(国公私立合わせて、前年度比)(1992年度以降)
↑ 小学1年生数(国公私立合わせて、前年度比)(1992年度以降)

高低差が大きいように見えるが、おおよそプラス1%台からマイナス3%台の領域に収まっているのが分かる。そして全体的にマイナス部分が多いことから、少なくとも今グラフの範囲内では少しずつ絶対数は減る傾向にあるのが理解できる。さらに1993年度からの5年間ほどではないが、2006年度から2012年度までは前年比のマイナス幅が大きなものとなっている。

2013年度はしばらく続いていたマイナス基調から転じてのプラス、そしてその流れが2014年度でもかろうじて続いていた、2015年度以降は再びマイナスとなっているが、下げ幅は大人しい。ただし直近年度の2023年度はマイナス3.6%と、記録のある中では3番目に大きな下げ率となっている。

幼少時、特に小学生を対象とした各種商品市場において、ここ数年「少子化が原因」とする説明が増えている。しかし新たに小学生として入学する新入生の減少ぶりはここ数年に限った話ではない。小学生向けの市場に限定しても、市場動向を左右する要因は消費性向の変化、選択肢の拡大、流通経路の多様化など、小学一年生の数そのものの減少以外に多数存在する。単に少子化だけに責を負わせるのは少々無理がある。

ちなみに少子化の進行、最近の動きとして2013年度から2014年度における復調、さらには2015年度の再下降を確認できるのが次のグラフ。

↑ 小学校各学年の構成人数(国公私立合わせて、万人)(2012-2023年度)
↑ 小学校各学年の構成人数(国公私立合わせて、万人)(2012-2022年度)

事故・傷病リスクを考慮すれば、学年が上がるに連れて人数は少なくなるはず。ところが実際には高学年の方が人数が多い。自然発生的な喪失率以上に少子化が進んでおり、結果として低学年の方が人数が少なくなっている次第である。

ただし1年生では2013年度から2014年度に限れば、それ以前の同学年との人数の差で分かる通り、わずかながら増加している。そしてその増加具合が2年生以降では年度がずれる形で生じていることから、減少度合いの増加によるものではなく、単純に小学校に入学する児童が増加、つまり特定年度の1年生が増加し、その児童たちが進級することで前年度比の人数が順繰りに増加していくことを意味している。

もっともこのような動きは単年、あるいは2年間のみのものであることから、多分にイレギュラーなもので、全体的な減少傾向に変わりは無いのだろう。


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